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ギャグ・その他 マリア様がみてる

【マリみてSS(色々・ネタ)】小ネタ集6 ショート百合4

更新日:

 

1.
「あの……祥子さん。そんな、無理しなくてもいいのよ?」
「い、いいえっ。無理などしていませんっ」
そういいつつも、祥子の顔は紅潮し、体もがちがちに硬くなっている。
三奈子は笑顔を作り、祥子の頬を両手で挟んだ。
「ほら、こんな怖い顔しているじゃない」
指で祥子の頬をつまみ、軽く引っ張る。祥子の美しい顔が歪む。
「いっ……にゃ、にゃにをひゅるのれふかみにゃこひゃんっ」
「あははっ、何言っているのか分からないわよ?」
三奈子が笑うと、ポニーテールも可笑しそうに揺れる。
なんとか三奈子の指を離すと、頬を抑えて涙目で、恨みがましそうに三奈子を見つめる祥子。
「ひどいわ、もう」
「ごめん、ごめん。でも……ほら、祥子さんにあんな顔、してほしくなかったから」
「あ……」
頬を手でさすりながら、はっとする祥子。そして、表情を暗くして俯く。
「ご、ごめんなさい。でも、私、本当に……」
「ストップ。そこまで。ね、祥子さん、焦らなくていいんだし。急ぐ必要ないから」
にっこりといつもの笑顔を見せ、歩き出す三奈子。
だが、三歩も進まないうちに、祥子に腕を掴まれてしまう。
「ほら、だから祥子さんもう……」
と、苦笑いしながら三奈子が振り向いたところ。
「---っ?!」
祥子が突撃してきた。そして、唇が重なる。
不器用な、ただ唇を押し付けるだけのキスだけれど、目をぎゅっと瞑って必死な表情の祥子に三奈子の心は温かくなる。
「……ほ、ほら。き、キスくらい、無理なんか、していないでしょう?」
やがて唇が離れると、強気に言い放つ祥子。明らかに無理をしているのだけれど、口にはしない。かわりに。
「……そうね、でも次にするときは、歯がぶつからないようにしてね」
と言って、祥子の手を取るのであった。

 

2.
「由乃ちゃんはちっこくて可愛いなー」
「ふにゃーっ?! だから聖さまっ! いきなり後ろから抱きつくのはやめてくださいっ!!」
まるで毛を逆立てた子猫のように暴れる由乃ちゃん。
その姿がまた可愛くて、聖は更に強く抱きしめてしまう。
ついでに、手は小ぶりなバストの方へと……
「って、イテテテっ」
手の甲を、つねられた。
「もー、本当に手癖が悪いんですから」
ジト目で見つめてくる由乃ちゃんに、聖は苦笑いをしてこたえる。
「いいじゃない、別に減るもんじゃなし」
「当たり前です、これ以上減ったら困ります」
「そうよねえ、私だってさすがにこれ以上小さくなったら楽しみが……」
「聖さまっ!」
「な、何よ、由乃ちゃんが自分で言ったんじゃない。それに大丈夫、小さくても感度は良いし……イタタタ!」
今度は手に噛みつかれてしまった。慌てて手を離すと、歯型がくっきり。本当、子猫みたい。
一方の由乃ちゃんは、顔を赤くしてこちらを睨みつけている。
「聖さま、勝負ですっ! きょ、今日こそ、ぎゃふんといわせて見せますからっ!」
「ふふん、そういって昨日も負けてナースになったのは由乃ちゃん。その前はスク水、その前は猫耳……」
「今回こそ、私が勝ちますから!」
恥しさか怒りか、更に真っ赤になって宣言する由乃ちゃん。うん、悪いけれど今日も負ける気がしない。
今日はどうしよう、メイドにしてご主人様プレイでも……と妄想すると、俄然ヤル気が出てくる。
「きーっ!! 今からそんな勝ち誇ったような顔して! ぜったい、ぜーったいに勝つんだから!」
負けん気を見せ付ける由乃ちゃん。そんな由乃ちゃんの真っ直ぐさ、ストレートなところがどれだけ聖の心を
爽やかにしているか、由乃ちゃんは知るまい。教える気もないけれど。
「さーて、じゃ今夜はチアガールのコスプレ由乃ちゃんを美味しくいただいちゃいましょうか」
「だ、だから、今日こそ私が勝つんですからっ!!」
騒がしくて楽しい、子猫ちゃん。聖はぷんぷんしている子猫ちゃんを愛しく見つめるのであった。

 

3.
マリア像の前で、偶然にも祐巳さん達と会った。
「ごきげんよう、志摩子さん、瞳子ちゃん」
「ごきげんよう、祐巳さん、由乃さん」
いつも通りの挨拶を交わすけれど、なぜか瞳子ちゃんの声と表情が硬い。どうしたのだろう。
「あれ、瞳子ちゃん、なんか怒っている?」
敏感に察知した祐巳さんが尋ねたけれど、瞳子ちゃんはそんなことないと素っ気無い態度。
一時期、祐巳さんと険悪になったものの、その辺のわだかまりももうとけたはずなのに。
少しばかり雑談して、祐巳さんたちと別れる。だけど、瞳子ちゃんの様子は変わらない。
「どうしたの、瞳子ちゃん。何かあったのかしら?」
「……別に。なんでもありません」
取り付くしまもないといった感じだったが、どうも怒っているのとは様子が異なるようだ。
志摩子は首を傾げながらも、隣にいる縦ロールがよく似合う少女をじっと見つめた。
志摩子の視線を感じて居心地が悪いのか、瞳子ちゃんは顔を背けた。その横顔を見て、もしかしてと思う。
(怒っているのではなくて……もしかして、嫉妬?)
一度、そう思うと他には考えられなかった。思い返してみれば、瞳子ちゃんは意外と独占欲が強い。
でも、それを正直に表に出すのが嫌いで、こんな拗ねた態度を見せることがあった。
分かってしまうと、他愛もないというか、むしろそんな彼女が可愛くて仕方なくて。
「……ふふ」
「な、何を笑っているんですか?」
「うふふ、なんでしょうね」
「な、な、わ、私は別にっ!」
にっこりと微笑んで見せると、別に何も口にしていないのに一人で慌てだす瞳子ちゃん。
「大丈夫よ、私の一番は、瞳子ちゃんだけだから」
そう言って、彼女を安心させるように、彼女の小さな手をそっと握った。
「なっ、何を言っているんですかっ! わっ、私は別にやきもちなんて妬いていませんからっ」
口を尖らす瞳子ちゃんだったけれど。
その小さな手は、私の手を離すまいと、強く握り返してきたのであった。

 

4.
私の名前は有馬菜々。アドベンチャー、すなわち冒険が好きな少女である。
私は冒険をしている。
大きな山を登る。その頂には、美しい岩が私を待ち受けるように勃っていた。
記念にその岩に登頂すると、山が大きく揺れた。地震だろうか。
山を越え急な断崖をおりると、なだらかな平野が続く。
進んでいくと窪地が見えたので、周囲を一周すると、大地が僅かに揺れる。地盤が緩んでいるのか。
私はそのまま窪地を通り過ぎ、更に突き進む。すると、前方にはやわらかに揺れる草原。
かき分けるように前進していくと、次第に深くなっていき、しっとりとした感じがまとわりついてくる。
湿原なのか。どんどんと、湿度が高くなっているようだ。
いや、気のせいではない。前方で、湧き水が出ている。初めはわずかなものだった。
しかし、私が近づくにつれて溢れる水の量はどんどんと増大している。
私は更に近づき、その水源に辿り着き、その神秘の湧き水の謎を解き明かそうと、その奥地へと足を---
「……っ、だ、駄目よ菜々ちゃん、そ、それ以上はっ?!」
駄目といわれても、私の好奇心は止められない。まずは、湧き水の味はどのようなものか……
「ふぁっ……ん、ダメぇ……そんな汚い……」
汚いことなどない。湧き水はとても綺麗だ。ただ、味は不思議なものだったが。
ちなみに私は此処までの道程で、装備の多くを失っていた。それほどのアドベンチゃーだったのだ。
「う……あるかないかの僅かな膨らみと谷間……瑞々しい太腿、可愛らしいショーツ……菜々ちゃん可愛い……」
そう、私にも危険は迫っている。だけれど、引くわけにはいかない……んぁっ……
「菜々ちゃん……その、これ以上は、ね? お願いだからロープを解いて?」
「蓉子さま……ここまできて、私も引くわけにはいかないのです。危険は承知のうえなのです」
「ひいてちょうだい! っていうかそんな姿見せられたら私だってムラムラっと……」
「あ、あ、何か私の体に巻きついてきました。ピンチです、そんな、押し付けて……うう、負けません!」
「や、ちょっと菜々ちゃん、そんな対抗しなくて……や、止まらな……凄っ菜々ちゃ……」
……菜々の冒険は終わらない。

 

5.
教室の中でかわされるのは、噂話。お嬢様学校といわれるリリアンでも、やはりそれは同じであって。
「ねえ知っている? 雅美さん、順子さんに告白したんですって」
「英恵さん、ついに瑞樹さまにお抱かれになったらしいわよ。どんな感じだったのかしら……きゃっ」
「ねえ和子さんと遊那さんもお付き合い長いでしょう? そろそろ、その辺はどうなのかしら?」
そんな会話が休み時間には交わされていて、薔薇の館にてそのことを話題にしているのは
おかっぱの少女と、長身の少女と、縦ロールの少女。
「もう、女子校って本当にそんなことばかりなのね」
「普通に会話してますものね。私もびっくりですよ」
「あの、お二人とも」
「瞳子は幼稚舎から通っているから、違和感ないかもしれないけれど」
「高等部から入った私と乃梨子さんは、本当に驚きましたよ」
「いえ、ですから乃梨子さんも可南子さんも」
「日常的に百合っているというか、誰もがそれを当然のことと思っているのよね」
「瞳子さんには悪いですけれど、なかなか慣れないというか」
「……あの。ですから、そんなコトしていて全く説得力ないんですけれど」
瞳子の冷たい視線を受けているのは乃梨子と、その乃梨子を膝に乗せて抱きかかえる格好の可南子。
「しょ、しょうがないじゃない、他の椅子はその、硬くてお尻がいたいのよ。だから仕方なく」
「私だって、そんな乃梨子さんが可哀相だから仕方なく……あ、でも、嫌というわけではないですよ?」
「あ、うん、私だって、嫌じゃないよ……ん、やだ、可南子さんったら。そんなぎゅっ、て」
「でも、強く抱きしめないと落ちてしまいます。だから、胸を触っているのもわざとでは」
「う、うん、分かってる……あッ……ん、もうっ、可南子さんったら……んっ!」
「ん……ほら、乃梨子さんが急に振り向くから、唇が触れ合っちゃったじゃないですか」
「ごめん……やだ、ちょっと可南子さん、変なトコ触るからブラが外れちゃっ……もう、お返しよ」
いつの間にか向きを180度変え、可南子と向き合う格好で可南子の膝の上に座っている乃梨子。
その手は、胸元に差し入れられている。完全に、二人の世界に浸っている姿を見て。
「二人ともパーフェクトにガチじゃないですかっ! も、もう、私だって……祐巳さまぁんっ!」
駆け出す瞳子なのであった。

*制服はワンピースでは? という突っ込みは無しの方向でお願いします。

 

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