【作品情報】
作品名:プロジェクト・インソムニア
著者:結城 真一郎
ページ数:279
ジャンル:ミステリー
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
どんでん返し度 : ★★★★★★☆☆☆☆
こういう人におススメ! : 特殊設定ミステリが好み
「年齢・性別・属性の異なるメンバーが夢のなかで生活を共にする」。
特殊睡眠導入剤〈フェリキタス〉の開発で莫大な財を成した、ソムニウム社による極秘人体実験、〈プロジェクト・インソムニア〉。
被験者に選ばれた蝶野は、失意の日々から一転、自らの願望を〈クリエイト〉できる〈夢〉の世界に魅了されてゆく。
しかし、とある〈疑念〉の発露が、完全なる理想郷を、突如おぞましい悪夢へと変貌させる。
ここは夢か、それとも――。
自分がいる場所は夢の中なのか、それとも現実なのか?
似たような物語は、VR、仮想現実を扱った作品が過去にもある。
- クラインの壺(岡嶋二人)
- クリス・クロス(高畑京一郎)
等。
本作は仮想現実とは異なるが、夢の世界を複数人で共有して生活する、という点では非常に似ている。
夢の中ならでは、ある程度自由なことが出来るし、好きなものをクリエイトすることもできる。
宇宙人と戦ったり、映画顔負けのアクションをしたりして、死ぬこともない。
主人公は、そんな夢の世界で生活する実験、〈プロジェクト・インソムニア〉に参加することになった青年、蝶野。
しばらくは共に実験に参加したメンバー達と楽しむ蝶野だが、ある時を境に一転する。
夢の中で死んだら、現実でも死ぬ。
そんなことが現実に発生したときから、夢の世界は悪夢へと変わる。
疑心暗鬼になる実験参加メンバー達。
誰が、どのような目的で、参加者たちを殺そうとしているのか?
クローズドサークルの中で、さらに夢の中でという特殊設定下でのミステリ―ともいえる。
夢の中といえど、夢の中でできることできないこと、夢だと認識する方法、など制約が設定されており、それを活かした謎といえる。
伏線が色々と張られており、それがきちんと作中で回収されていくのはなかなか見事。
最後まで一気に楽しめます。
ちりばめられている伏線が結構分かりやすいというか、それ自体は問題ないのですが、なぜ主人公や登場人物は気が付かない!?
と思えるようなものもあったりして。
さすがに不自然じゃね?
と、思うところもあるのが少しだけ残念だったところ。