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ファンタジー 書評

【ブックレビュー】黄昏の岸 暁の天(著:小野不由美)

更新日:

【作品情報】
 作品名:黄昏の岸 暁の天 十二国記
 著者:小野不由美
 ページ数:478
 ジャンル:ファンタジー
 出版社:新潮社

 おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
 王の苦しさが分かる度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : シリーズファン

 

■作品について

戴国(たいこく)は驍宗(ぎようそう)が玉座に就いてから急速に復興に向かっていた。
ところが、文州(ぶんしゆう)の反乱鎮圧に赴(おもむ)いたまま王は戻ってこない。
すると、悲報に衝撃を受けた泰麒(たいき)もまた姿を消してしまう。
王と麒麟、双方が消えて混迷し、国は傾いていく。
国の未来を憂いた女将軍・李斎は命を賭して慶国へと助けを求めに国を出たが・・・

■良かった点

混沌の戴国です。
国王と麒麟、その両方がいなくなり、満身創痍で景国に辿り着いた李斎。
ただし、慶国もまだ新王となって再建の途上、余裕があるわけではない。
しかも、王が国境を越えて他国に干渉をすると天の理に背いてしまうことになる。
戴国の麒麟は陽子と同じような立場を持つ男の子、どうにかして助けたいと考えた陽子が起こす行動はなかなか。
十二国の王と麒麟が協力しての泰麒救出作戦は面白い。
こうやって、各国の王と麒麟の性格とか分かるのが良いですね。 その関係性とか。

そして本作によって十二国記の前日譚ともいえる「魔性の子」と話がつながる。
泰麒に何が起こったのか。
点が線に繋がるというのはまさにこういうこと。
ただ単に作品を一つずつ書いているのではなく、壮大な世界、物語の中の一片を切り取って本にしているということが分かる。
だからこそ、ファンタジーでありながらリアリティを感じさせる、魅力的な作品・シリーズに仕上がっているのだ。

また本作では新たに動き出している慶国の様子が描かれているのも嬉しい。
祥瓊や鈴がどのような立ち位置で働いているのか。
慶国の未来を想像するのが楽しくなる。

しかしそれ以上に気になるのが、戴国がどうなるか、だろう。
本作ではそこまで描かれていない。
はやく、その続きを読ませてくれと、何人の人が小野主上に懇願していることだろうか。
もちろん、私もその一人である。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

戴国がどうなるのか、気になる所で終わってしまっているところとしかいいようがありません。
もうねぇ。

 

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