【作品情報】
作品名:22年目の告白-私が殺人犯です
著者:浜口 倫太郎
ページ数:310
ジャンル:ミステリー
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
最後にひっくり返される度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 最後に意外な展開の面白いミステリーを読みたい
書籍編集者・川北未南子の前に突如現れた美しい青年・曾根崎雅人。
彼から預かった原稿は、巧みな文章で綴られ、彼女を魅了した。
しかし、そこに書かれていたのは、22年前に実際に起こった連続絞殺事件、その犯人による告白だったのだ。
『私が殺人犯です』と題された本はたちまちベストセラーとなり、曾根崎は熱狂を煽るかのように挑発行為を続ける。
曽根崎はなぜ、このようなことを行っているのか?
その真意があかされたとき、新たな真実が浮かび上がる。
映画をノベライズした作品なのですね。
通常、小説を映画化する流れが殆どだと思うので、なかなか珍しいパターンかもしれません。
映画は観ておりませんが、作品は楽しく読ませていただきました。
作者が濱口さんということで、安心して読めたのもあります。
逆に濱口さんの作風から、殺人とかそういうのが出てくるとは思わなかったのですが、映画のノベライズということでそれも納得。
物語は、弱小出版社の編集者である川北のもとに、とある原稿が預けられたことで始まる。
その原稿とは、かつて世間を震撼させ迷宮入りしたまま時効を迎えた連続絞殺事件の告白本だった。
殺人を告白する内容でありながら、巧みな文章で練り上げられた作品に川北は魅せられ、出版することになる。
圧倒的な美貌を誇る曽根崎のルックスともあわせ、たちまちのうちに大ベストセラーとなり曽根崎は大ブームを巻き起こす。
だがなぜ、時効を迎えてから何年も経過してからこのようなことをしでかしたのか?
そこにこそこの作品の意味があるというか、真骨頂というか。
本が売れ、サイン会は大盛況、報道番組にまで出演するという派手な行動を行う曽根崎。
翻弄される、被害者の遺族や関係者たち。
読み手の方も、果たしてどこに向かっているのだろうかと読みながら気になっていく。
それが終盤になって一気に物語は動き、うねり、収束に向かっていく。
あかされる、連続殺人事件の真実。
曽根崎の真意。
なるほど、そういうことかー、と納得させられる。
きちんと伏線というか、そういう描写もあるので、最後のどんでん返しもある程度納得いく。
映画用だからかなり派手に、おいおい、と思わなくもないところあるけれど、それはご愛敬。
最初から最後まで一気にいけます。
面白いんだけど意外とあっさりしているというか、なんだろう、難しいな・・・
どこかで誰かも言っていたけれど、映画のノベライズだから、作者からほとばしる魂のようなものが感じられないのかもしれない。
上手く、読みやすいんですけどね。