【作品情報】
作品名:陽だまりに至る病
著者:天祢 涼
ページ数:253
ジャンル:ミステリー
出版社:文藝春秋
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
社会の闇度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : コロナという直近の社会問題を取り込んだ作品を読みたい
あなたのお父さんは、殺人犯なの――?
ネグレクト、貧困、そしてコロナが少女たちを追い詰める。
現代社会の闇に迫る切ない社会派ミステリー
小学五年生の咲陽は、「父親が仕事で帰ってこない」という同級生の小夜子を心配して家に連れ帰る。
だが、コロナを心配する母親に小夜子のことを言いだせないまま、自分の部屋に匿うことに。
翌日、小夜子を探しているという刑事が咲陽の家を訪ねてくる。
小夜子の父親が、ラブホテルで起きた殺人事件の犯人ではないかと疑念を抱く咲陽だが――。
〈仲田・真壁〉の神奈川県警刑事コンビのシリーズ作品。
今回は、コロナと貧困をテーマに描かれる。
社会派作品ということで、近年で最も話題になり尚且つ社会的影響も大きいコロナを絡ませてきた。
そして貧困家庭。
コロナで廃業に追い込まれたり、仕事がなくて生活に困る人が多いのは事実だろう。
実際に、コロナ影響で人生が変わってしまった人も多いでしょう。
そういう今だからこそ描きたかったのだろう。
ただ主人公である咲陽は小学五年生であり、そういったコロナの影響という意味では間接的に関わるというか理解するという感じ。
自分の両親の仕事は大丈夫なのか。
もしこのままだったら自分の将来はどうなるのか。
大丈夫だと思っていたけれど不安になり、揺れていくというのは実際にありそうとも思える。
初めは自分の家はそれなりに裕福だと思っていたけれど、実はコロナ影響はあって・・・みたいな不安を抱く子供も実際にいそうです。
そんな状況で更に同級生の女の子の貧困であったり、その子の父親が殺人犯かもしれないと知ってしまったり。
責任感が強いだけに、一人で考え込んでしまう咲陽はなんとも。。。
殺人事件にしても、咲陽の家に関しても、実際にありえそうと思わせられるものはある。
それでも、苦しいだけで、辛いだけで終わらなかったのは、少しは救われる気もした。
うーん、なんとうか。
どうしても「希望が死んだ夜に」を基準に比べてしまうと、圧倒的に物足りなさを感じてしまう。
コロナが及ぼした影響ももちろん描いているけれど、なんというか、微妙。