【作品情報】
作品名:夢みる宝石
著者:シオドア・スタージョン
ページ数:312
ジャンル:SF
出版社:早川書房
おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
奇想・幻想度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : とにかく不思議な雰囲気の作品を読んでみたい
家出した少年・ホーティはとあるカーニヴァルにもぐりこんだ。
そこには普通ではない人たちが集まっていたが、特に団長のモネートルは奇妙な趣味を持っている。
宇宙からきたという水晶の蒐集と研究である。
不思議な水晶にまつわる、幻想的な物語。
スタージョンは本当に不可思議というか、奇才を放つ作家である。
スタージョンが描く物語はミステリーであり、ホラーであり、SFであり、ファンタジーである。
これ、といった定まったモノのない、それでいてスタージョンでしかありえない、という作品ばかり。
それは異色作家短編集を読めばわかると思う。
そんなスタージョンの多くの作品に共通するのは、「幻想的」という単語だと思う。
本作でもそれはいかんなく発揮されている。
少年ホーティが紛れ込んだカーニヴァル。
そこの団長、モネートルの奇妙な趣味。
少年と、そして水晶を巡って繰り広げられる物語は、実に人間的でありながら幻想的で、それを両立させているのがスタージョンという作家。
錯綜する人間関係。
渦巻く感情。
そんな中でモネートルのヒールっぷりは読めばわかる。だが、モネートルがいればこその作品でもある。
はたしてどのような結末を迎えるのだろうか?
そう思わせた中で流れ込んでいくラストはとても美しい。
SFなんだけど、人間を描き。
奇想と幻想を巧みに描く。
そもそも、
「夢みる宝石」
っていうのが素晴らしいですね。
スタージョンは異色作家と言われていますが、本作は読みやすく、手に取りやすい一作。
いやーなんだろう。
スタージョンの作品はスタージョンの作品、としかいいようがないから、どこをどう変えたらとかはないんです。
あとは、これが合うか合わないか、でしょう。
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