書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(江利子×蓉子×聖)】これでも恋する乙女たち

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~ これでも恋する乙女たち ~

 

 

 江利子は蓉子に恋していた。
 中学一年で初めて会ったときは、経緯などもあってあまり良い印象を受けなかったけれど、一緒に委員会活動をしているうちに、いつの間にか蓉子に惹かれていた。もっとも、蓉子のことが好きだと気がついたのは三年生のときで、それまでは単に、今まで出会ったことがないような人間ということで興味を持っただけだと、自分自身そう思っていた。
 どうして、委員会のときにもっと距離を縮めていなかったのだろうと、今となっては後悔している。
 何せ、強敵がいるのだから。

 その名は、佐藤聖。

 江利子のライバルであり、親友であり、蓉子をめぐる恋敵でもある。
 どうにかして聖を出し抜きたく、そしておそらく聖も同じ思いであることは間違いなく、だけど二人ともいざ蓉子に対するとなると途端にヘタレてしまうので、蓉子に本気で気持ちを伝えることがまだ出来ていない。薔薇の館に三人でいても、もどかしく時は過ぎてゆくばかり。
「……じゃあ次、8274」
「んと、HB。あたしは、4680」
「2H……んーと、じゃあ次は」
「ちょっと二人とも、何しているの」
 紙を取り上げられる。
 顔をあげてみてみると、眉をひそめた蓉子が立っていた。
「頭脳ゲームよ。蓉子もやる?」
「やりません。もぅ、真面目にやっていると思ったら、遊んでいただけなんて」
 ちょっと怒ったような表情と、仕方ないわねぇ、とでもいいたそうな表情が混ざり合った様は、蓉子独特のものである。「もぅ」とか「仕方ないわね」とか、その辺の台詞も心をくすぐってくる。
 やっぱり、蓉子は可愛いなぁ、なんて思ってしまう。怒られて嬉しがるなんて、実はMなのだろうかとか、考える。
 蓉子は、「やれやれ」といった仕草をしながら、自席に戻って仕事を続ける。江利子は仕事をするフリをして、蓉子のことを眺めている。
 整った顔立ち、さらさらの黒髪、時折見せる考える仕種、どれをとっても可愛すぎる。
「ちょっとちょっと、江利子」
「ん?」
 隣の席の聖の声に、目だけを聖の方に向ける。せっかく蓉子を鑑賞していたのにと、苦情を無言で訴えると、「いいからいいから」と、手招きされる。見れば、聖は何やら雑誌を広げていた。いったい何だと、首をのばして覗き込んでみると。
「おお、これは、これは」
「いいっしょ? 江利子はどっち?」
「断然、右ね」
「あたしは左」
「あー、なんかわかるかも、聖っぽい」
 ギロリ、と蓉子の視線を感じるが、無視。なぜなら、無視していれば必ず蓉子は注意しにやってくるはずだから。
「……もう、今度はなんなの?」
 案の定、再び立ち上がって蓉子がやってきた。そして、笑っている聖の手から雑誌を引ったくって、開いていたページに目を落とす。
「――っ!」
「蓉子は、どっちがいい?」
「やっぱ、右の娘よねぇ?」
「いやいや、左の娘でしょ」
 聖が持ってきていたのは、グラビア雑誌である。それも、ちょっとエッチ目。ちなみに先ほど見ていたのは、二人のモデルの女の子が白と黒の対照的な下着姿で、お互いの胸を押し付け合い、脚を絡ませ合うようにしていた見開きの写真。
 江利子が良いといった右のモデルの娘は黒の下着で、ショートカットに強気な感じの目をしていて、とてもスレンダーなボディライン。
 聖が一押しの左のモデルは白の下着で、長い黒髪をリボンで結わいたちょっと幼い顔立ち。だけど胸はたわわに実り、太腿もむっちりと美味しそう。
 ちなみに他のページでは、お風呂場で抱き合うようにじゃれている女の子とか、乱れたパジャマ姿で絡み合っているとか、とにかく美少女がエッチな格好でらぶらぶなシーンが満載なのである。
 みるみるうちに、蓉子の顔が茹だってゆく。
「こ、こ、これは、没収します!」
 くるりと、背を向ける蓉子。
「えー、横暴だー」
「いやいや、没収っていって、家に持ち帰るんじゃないかしら」
「あー、なるほどね。もう、水臭いな蓉子ったら、言ってくれればいくらでも貸してあげるのに」
 蓉子をからかうときは、とにかく江利子と聖は気があう。
 背中を向けている蓉子の肩が、ぷるぷると震えている。
「も、もうっ! 江利子と聖の、バカ!」
 振り返り、真っ赤になりながら叫ぶけれど、その瞳は潤んでいてまるで泣きそうである。そして、そんな蓉子の姿を目にして、江利子と聖はキュンとなるのだ。
 ああもう、蓉子ってば可愛いなあ! と。
「ごめんごめん、蓉子、この通り」
「うん、私も調子に乗りすぎた。謝るわ、ごめんなさい」
 もちろん、フォローだって忘れない。こう見えて蓉子は頑固だし、拗ねると結構、長いのだ。拗ねる蓉子がまた可愛いのだが、相手をしてくれなくなるのが辛いことは、経験してわかっている。
 蓉子の肩をつかんで立ち止まらせ、胸の前で両手を組み、下から上目づかいで反省のポーズ。聖も、得意の人懐こい笑顔で蓉子に擦り寄る。
「ちょ、ちょっと、江利子、聖」
 さらに蓉子ににじり寄り、腕をとって胸を押し付ける。蓉子の顔が、先ほどとはまた異なった感じで赤くなるのを見逃さない。もっとも、江利子自身だって実は心臓ドキドキものなのである。こういう時くらいしか蓉子に大胆に迫ることができないのだ。
 聖も反対側から蓉子ににじりよっているから、負けるわけにはいかない。
「わ、わかったから」
 江利子と聖を振りほどこうと動いた蓉子の手から、雑誌が落ちる。

「――ん?」
「あ」
 テーブルの上に落ちて、ちょうど開いたページにはやはりグラビアアイドルの女の子の際どい写真が掲載されていたのだけれど。
「こ、これって」
「あちゃー」
 それは、少し赤の入った髪をショートボブにした、クールでちょっと大人びた感じの女の子、その名は『北条れな』ちゃん、19歳。Cカップの形の良いバストにくびれたウエスト、可愛らしいおへそ、小ぶりなヒップにすらりとのびた脚。
 雑誌の中で彼女は、ブラウスの前をはだけブラジャーに包まれた胸をさらし、ひもショーツの右サイドのリボンをほどいて指でつまんでいる格好。ちょっと下を向いて、上目づかいに、挑戦的な瞳を向けてきているのが印象的。
 彼女はそう、蓉子にとてもよく似ていた。
 ひそかに、聖と江利子、二人の最近のお気に入りなのである。
 何せ蓉子に似たかわいこちゃん(死語)が、雑誌の中とはいえ露出度の高い格好で様々なポーズをとってくれるのだ。しかもポイントが高いのは、彼女のクールな表情はとても知的なのだ。
 これが、無邪気に大笑いをしていたり、はしゃぐ姿だったりすると、それはそれで可愛いかもしれないがどこか醒めるところもあったと思う。しかし、れなはどんな写真でも大人びた姿を見せている。Hなポーズをとっていてさえ、媚びるような顔は見せない。だから世間的にはさほど知られていないし、人気もそれほど高くないようだが、既刊の写真集二冊はきちんと購入している。
「あれー、なんかこの子、誰かに似ているような」
「あら本当、そう言われてみると」
 と、わざとらしく聖と呼吸を合わせてみるが。
「あなた達……そんなに私をからかうのが、楽しいのかしら?」
 怒気オーラが漂う。
 蓉子に怒られるのはうれしいが、あくまでそれは本気でないときのこと。本気で蓉子を怒らせたら、震えあがって逃げ出したくなる。
「ちち、違うよ、この子すごい綺麗だから、つい買っちゃっただけなのよ」
「そうそう、純粋に綺麗で、それでいて可愛さも持っていて、魅力的よねえ」
「うん、実際にこんな子が近くにいたら、絶対に惚れちゃうね」
「間違いないわ、私だって好きになってお付き合いしたいと思うわきっと」
「ま、また……そんなこと、言って」
 蓉子の怒りが萎んでいき、かわりに照れが浮上してくる。
「ホントホントだって、ちょー可愛いよねこの子、ねえ江利子?」
「もう、食べちゃいたいくらいよね、聖?」
 本当に、こういうときは阿吽の呼吸である。
 蓉子は完全に照れモードに入り、自分の両手の指を絡ませながら何か小声でモゴモゴと言っている。
 ああ、そんな仕種を見せられると、子宮が熱くなってくる。
「と、とにかく、この本は没収するわよ」
 結局、蓉子は雑誌を手にして席に持っていってしまった。
 どこかにしまえばいいものを、テーブルの上に置いたままにしているものだから、仕事を再開するものの時折雑誌に目がいき、見て一人で恥ずかしくなっているのか、わずかに赤くなったりして慌てて書類に向かったりしている。
 そんな光景を見て癒される二人なのであるが。
 あんな、どさくさ紛れにしか告白できない自身のヘタレっぷりに、心の内で嘆く。
 妙なところではとにかく鈍感な蓉子は、絶対に本気に受け取らないと分かっているからこそ、口にすることが出来るのである。
「あーもー、今日はもうやる気でなーい」
「右に同じく」
 机に突っ伏す二人。
「江利子、聖、なんで真面目に仕事してくれないのよーっ」

 やっぱ蓉子は、かわいいなぁ。

 蓉子に怒られながらそんなことを思う、ダメダメな江利子と聖なのであった。

 

 

おしまい

 

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