書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(乃梨子×笙子×日出実)】お・せ・ろ

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~ お・せ・ろ ~

 

 ある休日、昼下がりのファーストフード店内。
 乃梨子は久しぶりに中学時代の友人達と顔を突き合わせていた。特に何か用事があったわけではなく、唯と光がメールのやりとりをしていて、久しぶりに皆で集まりたいね、なんてことを話しているうちに決まってしまっただけのこと。
 だが乃梨子としても、旧友達と親交を深めることはやぶさかでない。ちょうど予定も空いていたことだし、こうして繰り出してきたという訳である。
 ちなみに春日と唯は同じ公立の高校に、光は私立の高校に通っている。
 集まって話すといっても、たいしたことを話すわけではない。お互いの溝を埋めるべく、それぞれの学校のことを話したり、あるいは中学時代の思い出話に花を咲かせたり、全然関係ないドラマや音楽の話になったり、まあ女子高校生らしいといえば、らしいのではないだろうか。
「……しかし、なんだこう、誰かデートに行ったとか色っぽい話は出てこないものかね」
 春日がアイスコーヒーを飲みながら、皆を見回すようにして言った。確かに今まで、色恋の話は出ていなかった。
 思い返してみれば、中学生時代もその手の話題とは縁遠かったような気がする四人であった。
「そんなこと言ってもさぁ~」
 光が口を尖らす。
 唯も曖昧に笑っているだけだし、言いだしっぺの春日だって、自分にそういう話があるならそろそろ口に出しているだろう。
「デートなら、先週したけれど」
 仕方なく、乃梨子が話題を提供することにした。
「え、マジで?」
「わー、乃梨ちゃん、やるぅ」
「相手、どんな人なの? 教えて教えて」
 案の定、非常に良い食いつきっぷりだった。隠すような内容でもなかったので、乃梨子は素直に話をして聞かせた。
 しばらくして話し終え、一同の顔を見回してみると、なぜか一様に困惑したような、あるいはなんとも言いがたいような表情をしていた。
「ニジョー、あんたやっぱり、そっちの方に……」
「まあ、なんというか、ねえ?」
「い、いいじゃない。お、応援してあげようよー」
 三人が三人ともに微妙な反応を示す。共通していえることは、引き気味だというところだろうか。
 乃梨子は少し不機嫌になる。
「何よ、せっかく話したのに」
「いや、だって乃梨子……そのデートの相手って……女の子、なんでしょう?」
「ん、当たり前じゃない」
 光の疑問に、即答する。
 笙子が女の子以外の何であるというのか。
「いや……なんというか、それじゃ乃梨子は、女の子の恋人がいてデートしていると」
「えっ」
 光を見る。
「そういうこと、なんだろ?」
 春日を見る。
「わ、私は応援しているからねっ、例え乃梨ちゃんがビアンでも!」
 拳を握り締めて赤面している唯を見る。
「あの、ちょ、ちょっと待って。別にそういうわけじゃ」
 慌ててほんの少し、腰を浮かすが。
「だって、その笙子ちゃんとラブラブ遊園地デートでしょ」
「一つのジュースを二本のストローで、二人で飲んだんだろ?」
「腕組んでアトラクション見て回ったって」
「ま、まあ、そう言ったけれど」
 遊園地に行きたいと言ったのは笙子だし、ジュースはビッグサイズで一人で飲むには大きすぎるから二人で飲もうってことになったし、人が多いからはぐれないように腕を組んだだけだし。
 そりゃ、腕に押し付けられた笙子の胸の膨らみに思わずにやけたり、ナンパ男から身を呈して笙子を守ったり、帰りの電車では疲れてもたれかかってきた笙子の重みが心地よかったり、色々あったけれども。
「そ――それくらい、普通でしょ? みんなだって、あるでしょう?」
「いや」
「全く」
「ない」
 あっさりと否定され、乃梨子は衝撃を受けた。
 これでさらに、日出実ともデートをしているなんて言ったら、なんと思われるか。乃梨子はごく一般的、ストレートなのだから。
 笙子と日出実とは、そう、仲の良い友達だ。女の子同士で遊びに行くときだって、デートというだろう。
「アンタさあ、なんだかんだいって、すっかりはまったね」
 春日の言葉に内心では、「そんなことない」と首をふりつつも。
 実は三人と会ってから、春日のショートパンツから伸びた太腿や、唯の緩い胸元から覗いて見える微妙な谷間や鎖骨とか、服の上からでも分かるくらい豊かに育った光の胸の膨らみばかりに目がいっていたのは事実であった。
 いやでも、三人とも高校生となり、実に魅力的で可愛くなっているのだから、不可抗力ということで仕方なかろう。
 乃梨子は一人頷き、旧友たちとの再会を終えたのであった。

 

 帰り道、乃梨子はまた色々と考えていた。
 確かに、あの三人と比べたら、同性とのスキンシップは多いかもしれないが、女子校という環境で周囲に女子しかいないのだから、当然のことだろう。そんな女子校生活に慣れるというのも、当たり前のことなのだ。
 とりあえず、あまり気にせずに、普段どおりに生活を続けていれば問題ないはずだと割り切ることにした。
「いやー、ニジョーは中学時代からクールでどっちかってーと女の子からの方が人気あったけれど、高校に入ってホントに開花したんだな」
 隣では、電車の方向が同じ春日がにやにやしながら、また話を蒸し返している。
「何よ、春日の方がよっぽど女の子からモテていたじゃない。ラブレター、一体何通もらったの?」
 春日はバスケ部のエースで、スラリとした体つきにショートカット、整った顔立ちだけれど人懐っこい笑顔を持っていて、下級生の女子から相当な人気があった。リリアンでいえば令に相当するような生徒だった。
「いやいや、確かにあたしも多かったけれどニジョー、あんた知らなかったかもしれないけれど実は」
 と、春日が何か言いかけたところで。
「……あれっ、乃梨子さん?」
 声をかけられた。声の聞こえてきた方を見てみれば、なんと笙子がすぐ近くに立っていて、乃梨子のことを目を丸くして見ていた。うーん、そんな表情をしている笙子も実に可愛らしい。
「わ、偶然。今日は、お買い物か何か?」
「中学時代の友達と会っていて、その帰り。笙子さんは?」
「私は、お母さんからの頼まれごとついでに買い物。で、やっぱり帰るところ」
 乃梨子の隣に並んで立つ笙子。
 私服姿は、やはり可愛らしいミニスカートとカットソー。ニーソックスをあわせているのは、もう狙っているとしか思えない。
「お、おいニジョー」
 春日が小声で囁いてくる。
「ひょっとしてこの娘が、さっき言っていたニジョーの彼女? めっちゃくちゃ可愛いコじゃん!」
「だから、そういうんじゃないってば。変なこと言わないでよ、笙子さんに」
「どうしたの、乃梨子さん?」
 首を傾けて、「?」を頭に浮かべている笙子。
 乃梨子は手を振り、春日のことを紹介した。
「はじめまして、内藤笙子です。春日さん、っていうんですね、うわぁ~、すごい、格好いいですね春日さんって!」
「あ、ど、どうも」
 近寄ってきた笙子に正面から見つめられ、尚且つ手をギュッと握り締められて、春日はわずかに頬を赤らめた。
「乃梨子さんと並んでいると、凄い絵になるね、素敵な二人で」
「い、いや、あたしなんかそんな」
 あたふたしている春日を見て、リリアン独特とでもいうノリというかスキンシップに、乃梨子も当初は面食らっていたことを思い出した。
「本当ですよー、春日さん、モテるでしょう?」
「そ、そんな、あたしなんか全然」
「嘘だぁ、私だったら断然、春日さんのファンになっちゃいますよ」
「あ、ありがとう。で、でも、しょ、笙子さんの方がよっぽど可愛いと思うけれど」
「やだ、そ、そんな……恥しいです」
 赤くなった頬を抑え、視線をそらしてしまう笙子。
 そんな笙子の姿を見て、ますます赤くなっていく春日。
 なぜか良い雰囲気になっていく二人を見て、乃梨子の方はといえば内心は面白くなかった。
「電車、遅いね」
 だから、わざと話を違う方向に逸らした。
「なんでも、途中で車両故障があったみたいだよ」
 乃梨子達も随分と待っているのだが、なかなか電車はホームに姿を見せず、そうこうしているうちにホーム内に立つ人の姿もどんどん増えてきている。
「でも、乃梨子さん達がいて良かった。一人で待っていると、退屈だったろうし」
「確かにね」
 三人でお喋りをしながら待っていると、やがてようやく電車がやって来る旨、ホーム内に放送が流れた。
 電車遅延のせいか、ホームに入ってきた電車の車内も、そしてこれから電車に乗ろうとしているホームも、人で溢れ返っている。
 正直、乗りたくはなかったが、待っていたところで仕方が無く、三人は押し流されるようにして、予定外の満員電車に乗り込んだ。
「うわあ、結構、キツイ」
「く、苦しいぃ~」
 どうにか乗り込むことはできたが、なかなかに厳しい状況であった。朝の通勤、通学ラッシュほどではないが、動くのは辛い。
 扉の近くで、三人は周囲の人間に押し潰されそうになりながら、固まっていた。扉に背を預ける格好で笙子、その笙子と向かい合う格好で春日、春日の背中にくっつく格好で乃梨子、という状態である。
「すごい、混んでるね」
「笙子さん、大丈夫?」
「な、なんとか」
 春日は扉に手をつっぱり、どうにか笙子に圧力がかからないよう、空間を作ろうと踏ん張っている。まるで、笙子を守るナイトである。
「あ、あの、春日さん、無理しなくていいよ?」
「ん、なにが?」
 踏ん張っていることをなるべく悟られないよう、苦しい表情は見せないようにしている春日。むしろ、笑顔さえ浮かべている。
 中学時代から春日はこんな感じで、だから女子から人気が高かったのだ。
 そんな春日だから、そう言われて「はい」と素直に引き下がるわけにもいかない。どうにか体勢を維持しようと、腕と足に力を入れる。
 しかし、いくら格好良いとはいえ、一介の女子高校生である春日に物凄いパワーがあるわけもなく、電車の揺れと慣性、そして他の客の重さにおのずと限界はおとずれる。
「きゃっ」
「わっ、ご、ごめっ」
 腕で完全には支えきれなくなり、笙子の体を正面から圧迫する格好となる。耐えようと体が反る形となるが、それでもどうしようもない。やがて、笙子の豊かな胸が、春日の胸を圧迫し始める。
 柔らかな胸が歪み、潰される感触が春日の胸に伝わってゆく。
「ごごご、ごめん、笙子さん」
「う、ううん、わ、私の方こそ……」
 顔もすぐ目の前に迫っている。
 至近距離で、春日と笙子は見つめあう格好となっている。顔を逸らしたくても、満員電車の中で動くと周囲に迷惑もかかるわけで、そう動くわけにもいかない。
 一方、背後からは乃梨子が抱きつく形となっていて、春日の背中に乃梨子の胸が押し付けられていた。
 前後からの挟撃に、春日の思考は段々と変になってきていた。

 以下、春日の脳内思考。

 う、うわあ、笙子さんの胸、大きくて柔らかくて気持ちいい。笙子さんて着やせするんだな。こんな美少女で、胸も大きいなんて反則だよな。うう、でも胸が、胸が、お、押し付けられて柔らかくて、あー、しかも胸だけじゃない、足も、腕も、体全体が柔らかいというか。
 こんな大きな目で、顔を赤らめながら上目遣いで見られたら、そりゃあニジョーじゃなくなってふらふらっと……って、あ、あたしは違うから!
 あぅ、でも胸が。
 や、やだ、それに今日、スポーツブラっていうか、タンクトップだから、ちょっと、擦れて……あ、声出そう。しょ、笙子さん、気づいているかな? どうしよ、いやらしい女だって思われたら。
 うう、笙子さんもだけれど、ニジョーの胸も背中に感じる……笙子さんみたいに大きくないけれど、確かに柔らかい感触が二つ、背中に、暖かくて。それにニジョー、あたしの腰からお腹に手を回す格好で抱きついているから、より密着感が。あ、や、首筋にニジョーの吐息が……そ、そこは駄目なのにぃ。
 はわわ、な、何、今の刺激……って、や、や、笙子さんの脚があたしの脚を割って入ってきて……そ、そんなところ押し付けたら駄目だって! に、逃げないと、って、ニジョー、腰を押し付けてこないで、そんなに前に出されたら……ああっ、笙子さんの膝が、グリグリって、だ、駄目っ……!!

 サンドイッチ状態の春日はとんでもないことになっていた。とりあえず、笙子の脚をどうにかしようと、笙子の脚を押し返そうと手を伸ばす春日。
「え……は、春日、さん?」
 笙子が驚きの目を向ける。
 春日の手は、笙子の太腿を撫ぜ上げながら、スカートを捲りあげていた。しかもそのまま、笙子の臀部を触る格好になっていた。
「ちちち、違うの、これはそうじゃなくてぇ、はうううっ」
「ひぁんっ」
 同時に悲鳴を上げる春日と笙子。
 電車が揺れ、笙子の脚が更に強く春日に押し当てられたのだ。その刺激を受けて、春日もまた強く笙子の太腿を掴んでしまったのだ。
 一方、そんな二人の様子を見ていた乃梨子は。
「――春日、あんた人のこと色々言いながら、随分とまあ」
「にに、ニジョー違うんだって、これは、あの」
「言い訳なんか聞きたく……うわっ!?」
「っ!?」
 カーブで揺れ、人並に押される。
 その弾みで、春日のお腹あたりに回されていた乃梨子の手がずれて、右手は春日と笙子の胸の間に、左手は春日のお尻へと移動。
「ど、どこ触ってんだよ、ニジョー! お前、やっぱりそっちの」
「手、手が抜けないのっ」
「馬鹿、そんな、動かしたら……はぁん」
 二人の胸に押し挟まれ、圧迫されて手が抜けない。抜こうと動かそうとすれば、胸を刺激する形となる。抱きしめていた格好だったため、手の平は必然的に春日の胸を覆い包むようになっている。
「春日……結構、大きいんだ」
「やだ、何恥しいことを……」
 普段、男らしい春日が真っ赤になって恥らう姿が、ギャップもあって凄く可愛らしく乃梨子には見えた。
 そんな思いのせいか、無意識のうちにもう片方の手も動き、ショートパンツの中にするりと滑り込んでいた。肌触りのいいショーツと、張りのあるヒップの感触が手の平に伝わってくる。
「……って、私は何をっ!?」
「何をじゃないぃ。そ、そんなところ、触るなぁ」
 春日はもはや涙目で、力なく体を震わせているだけで抵抗できない。そんな様が、乃梨子を興奮させる。
「春日さん、だ、大丈夫? もう少しで駅に着くから、頑張って」
 様子の見えない笙子は、単に春日が満員電車で辛い体勢になっているだけだと思い、励ましの声をかけているが、実はその豊かな胸と脚で春日を追い込んでいることに気がついていない。
「ご、ごめん春日、もうこの状態じゃ、手が抜けない」
 前後左右から圧力をかけられ、まともに身動きを取ることが出来ない乃梨子のその言葉は事実であったが、乃梨子はその事実を更に利用するかのように、意識してか無意識なのか、春日を更に責め立てる。
 シャツの上からでも微妙に分かる胸の先端部分を指で挟み、ショーツの上からお尻の割れ目を指でなぞるように、電車の揺れにあわせる形で何度も往復させてしまう。
「うあ、あ、あぅ」
 力無く、春日の頭が垂れる。笙子の肩に顎を乗せるような形となっている。
「春日さん、あと少しだから」
 囁く笙子の唇が、春日の耳たぶあたりを刺激する。
「春日、ご、ごめん、でも私も動けなくて」
 小声で呟く乃梨子の息が、うなじに吹きかけられる。
 正面からは笙子の天然攻撃を受け、後ろからは乃梨子の責めを受け、春日の意識は真っ白になりかけていた。
「や、だ、駄目……こ、こんな場所でっ」
 最後の理性を振り絞り、どうにか堪えようとする春日であったが。
 駅に着き、ブレーキをかけた電車の慣性により大きく揺れた弾みで、笙子と乃梨子に今までで一番強く挟まれ圧迫された。
 それは同時に、今まで受けてきた刺激もまた最大だということ。
「くっ……うぁあっ!」
 大きな声が漏れそうになるのを、気がついた乃梨子が慌てて春日の口を手で覆い、抑えこんだ。

 電車がホームに停まり、扉が開いて人が押し出される。
 乃梨子達もまた、押されるようにしてホームに出たが、ホームに出るなり春日は膝から力が抜けたようにしゃがみ込んでしまった。
「大丈夫、春日さん? 電車、すごかったもんね、気持ち悪くなっちゃった?」
 心配そうに、しゃがみこんだ春日の肩に手をかける笙子。
「いや……むしろ」
「?」
 乃梨子の呟きに、首を傾げる笙子。
 呼吸も荒く、まだ立ち上がれない春日の姿を見て、乃梨子は決まり悪そうに春日の隣にしゃがみこんだ。
「……ごめん、春日。えーと、なんというか、とにかくごめん」
 さすがに申し訳ないことになったと、乃梨子も思っている。
 春日は、赤くなった顔、赤くなった目で、乃梨子をちらりと見る。
「うう、や、やっぱりニジョーあんた、そんなことに……」
 いつもと違う、涙声で弱々しい春日。
「違う、不可抗力だって。でも春日、可愛かったよ」
「なっ……あ、あたしがかかかかか、かわいいって、ななな、何をっ」
「本当だよ。いやー、春日があんなに可愛いなんて、知らなかったなー」
 そう、乃梨子が言ってにっこり微笑むと。
 春日は耳まで真っ赤になってしまった。
「あー、春日さん、服、乱れちゃってるよ」
 笙子もまた春日の隣にしゃがみ込み、春日の乱れた服を甲斐甲斐しく直してくれている。乱れたというよりは、乱された、という方が正しいのだが。
「ああ、だ、大丈夫、だから」
 さすがに恥しいのか、ずり落ちかけたショートパンツは自分で直す。果たして恥しいのは、ショートパンツがずれていたことか、それともそれ以外の理由によるものか。春日は胸と股間を手で隠すようにしていた。
 乃梨子が顔を近づけ、また春日にだけ聞こえるように囁いた。
「……大丈夫、春日? まさか」
 そう言い、ちらりと視線を下に向ける。
「ばば、ばっ、馬鹿っ! そ、そんなわけないだろ。そりゃ、危うくその直前まで……わ、わっ!」
 一人慌てて、大忙しの春日。
 そんな春日を見て、やっぱり恥しがる春日はギャップがあって可愛いな、などと思っていた乃梨子であったが。
「春日さん、顔真っ赤だよ! のぼせちゃったのかな、どこかで休もうか」
 と、本気で心配している笙子が、覗き込むようにしてきた。
 すると、しゃがみこんでいるから殆ど四つんばい状態で、カットソーの首もとの部分から中が覗いて見え、笙子のたわわな胸が重力に引かれて更に大きな谷間を作っているのが、乃梨子と春日の二人の目に飛び込んできた。
 加えて、大迫力で揺れている。
「だだっ、大丈夫、だからっ!」
「きゃあっ!」
 混乱した春日は、接近してきた笙子の肩を押して返した。すると笙子はバランスを崩して尻餅をついてしまった。
「あ、ご、ごめん笙子さ……っ!」
「…………っ!」
 春日も、乃梨子も釘付けになる。
「いたた……、う、うん、大丈夫だから、えへへっ」
 笑っている笙子であったが。
 尻餅をつき、ミニスカートの中身が乃梨子と春日にモロ見え状態になっていた。
 むっちりとした柔らかそうな太腿に、水色ストライプの可愛らしいショーツがバッチリ、二人の網膜に焼きつかれた。
 しかも、電車の中で色々あったせいか、微妙に食い込んでいた。
「きゃ、やだ、恥しいなぁもう」
 自分の体勢に気がついて、笙子は恥らいながらスカートを直したが。
「……あれ、乃梨子さん、春日さん、どうしたの?」
 連発で強烈なクリーンヒットをくらった二人は。
 笙子に背を向けて、鼻から流れ落ちる血の滴を懸命に手で抑えていた。
「に、ニジョー、お前やっぱり、完全にそっちの世界に!」
「な、何よ、春日だって鼻血垂らしてるじゃない!」
「こ、これは、電車でのぼせたからっ」
「ウソばっかり、笙子さんのおっぱいとパンツ見たからでしょう、やーらしい、女の子のエロい姿見て鼻血出すなんて、春日こそやっぱり」
「うるさいっ、あたし、高校でも女の子からモテてるんだぞ! これで、変なことになったらニジョーのせいだからなっ」
「変なことって何よ、そんなん自分の責任でしょうが。てゆうかやっぱり中学時代から手ぇ出してたんじゃないの?」
「中学時代はまだ出してないっ」
「中学時代は、ってことは、今は手つけてるってことでしょ」
「ニジョーと一緒にするなっ!」
「私だって、まだそこまでは、いってないもんっ!」
「ちょ、ちょっとちょっと二人ともどうしたの、いきなり喧嘩して……ってやだ、二人ともそんな鼻血出して、女の子なんだから殴り合いなんて駄目だよう」
 突然の展開に訳が分からないながらも、慌てて二人の仲裁に入り込む笙子。二人の間に入り、体を離そうとする。
「もう、二人とも落ち着いてっ!」
 両手を使って、乃梨子と春日の体を引き離すが、その笙子の両手の平は乃梨子と春日、それぞれの胸を掴んでいた。
 笙子は夢中になってのことで、気がついてはいなかったが。
「ぶはっ!!」
 乃梨子と春日の二人は、笙子に自分の胸を鷲掴みにされて揉まれていることを認識し、途端に新たな鼻血を噴出して倒れてしまった。
(ちなみに笙子はそこまで強く掴んでいないし、揉んでもいない。二人が勝手に思い込んだだけである)

「うわわわわ、ふ、二人ともどうしたのーっ!?」

 

 慌てふためく笙子であったが。

 

 倒れている二人の女子高校生の顔は、なぜか満足げな、どこか満ち足りたような幸せな顔をしているのであった。

 

おしまい

 

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