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ファンタジー 書評

【ブックレビュー】滅びの園(著:恒川 光太郎)

投稿日:

【作品情報】
 作品名:滅びの園
 著者:恒川 光太郎
 ページ数:320ページ
 ジャンル:ファンタジー
 出版社: KADOKAWA

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 SFファンタジー度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 世界観に味わいのある作品が好き

 

■作品について

冴えないサラリーマン、鈴上誠一はある日、ふと降り立った駅から異界に迷い込む。
だけどその異界は、地上での生活に倦み疲れた鈴上にとっては温かくて優しい、楽園のような世界だった。

一方、地上では謎の生物「プーニー」によって浸食され、人類の存亡が脅かされていた。
プーニーの抵抗値の高い人がプーニー対策要員として働き活躍する中で変化が発生し始める。

やがて鈴上の暮らす異界と、プーニーに覆われた地球が・・・

恒川光太郎らしさの光る、ダークSFファンタジー。

■良かった点

恒川さんらしい世界観が健在である。
仕事や家庭に疲れたサラリーマン、鈴上。疲れて、思わず電車から女の人を追いかけて降りたら異界でした。
なんの説明もなし、だけどなぜかそれが自然。
普通の世界のようで、普通ではないことが分かる。

走っている電車が止まるのは「精霊の森駅」、「最果ての丘駅」、「煉瓦迷宮駅」などなど。
どんな場所だか行ってみたくなること間違いなしな駅ですね。
不思議だけど優しい、疲れていた鈴上を包み込んでくれる、誰も傷つかない楽園のような世界。
そこで女性と出会い、結婚し、子供も出来て満ち足りた生活を送ったら、元の世界なんて知ったこっちゃないですね。

鈴上がいなくなった地球は逆に謎の生命体「プーニー」によって滅亡の危機、なのですが、こちらはこちらでそれを感じさせない飄々とした感じなのがまた、らしいといっちゃあらしい。
そもそもプーニーが白いモチのようなもので、気持ち悪さとそうでもなさを絶妙に持ち合わせている。

面白いのは、プーニーによる侵略は日々進んでいくのに、人類は人類でそれに慣れてゆき、追いつめられていくのにそれが日常になっていくところ。
プーニーの侵略もスピード感がそこまでないので、人ってのは慣れていく生き物なんだなぁと思ってしまう。

異界の楽園、絶望の地上。
謎の楽園で暮らす鈴上にとって、楽園を壊そうとするものは敵であり、悪魔にも思えるだろう。
異界にいる鈴上が、地球の人類にとってどれだけ希望の星であろうと、助けを求めて来ようと、鈴上にとっては知ったことではない。
どちらが正しいとか間違っているわけではない。立場が異なれば敵対関係となるということを示唆しているのか。

結末は物悲しく、残酷でもある。
めでたしめでたし、ではない。
救われる者もいる。一方で絶望に沈む者もいる。

やっぱり、言うなら「残酷」、だよなぁ。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

現代っぽくなっているのが良いのか悪いのか、初期の頃の作品のような静謐な世界でないことがちょっと物足りなく感じるか。
初期の恒川作品が好き! という人には、もしかしたらその辺の物足りなさを感じるかもしれない。

 

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