【作品情報】
作品名:星を継ぐもの
著者:ジェイムズ・P・ホーガン
ページ数:309
ジャンル:SF、ミステリー
出版社:東京創元社
おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
ハードSFの金字塔度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 面白い本が読みたいと思っている人
月面で見つかった謎の遺体。
調べてみると、死後五万年を経過していることが分かった。
五万年前に人類は月に行ったのか?
それとも人類とは全く異なる異星人がいたのか?
現在の人類とつながりはあるのか?
さらに調査を進めていく中で色々と明らかになっていく事実。
ハードSFにして一大ミステリーの傑作。
1970年代に書かれた作品であろうがなんであろうが、面白いものは面白い。
そして、色褪せることもない。
物語は、月面で発見された一人の遺体から始まる。
その遺体は、調べてみるとなんと死後五万年は経っているということが分かった。
当然ながら、その頃地球では現在のような科学文明は発展しておらず、月に行けたはずなどない。
実は地球の科学は発達し、一度は月に行けるほどまでとなったのに滅びたのか?
それとも別の異星で人類以外の文明が発展して月までやってきたのか?
だけど遺体を調べると、どう考えても現在の人類と同じにしか見えない。
調べると色々なことがわかってくるけれど、それによってまた新たな謎も深まっていく。
ハードSFであり、ミステリーであるというのも頷ける内容、展開で物語は進んでいく。
この作品の面白いところは、一人の天才がその謎の解明をしていくところではなく、世界中のあらゆる分野の優秀な学者たちが集い、知識を集結し、謎を解明しようとしていくところである。
言語学者は、残されていた手帳などから言語や文化を解読する。
解読された文章や数学式から、物理学者や電子化学者が残されていた機器類の解析を進める。
生物学者は遺体の状況からどのような生物だったのかを紐解く。
色々なところが結びついて少しずつ明らかになっていくのは、膨大なパズルを解いていくような面白さがあると感じられる。
もしも自分がこのプロジェクトのどこかに位置していたら、未知のものが少しずつ解明されていくのを目の当たりにして楽しいだろうなと想像する。
大勢で一つのことを成し遂げるために熱中するというのはやはり読んでいても燃える。
きっと現場は一種の祭りのような感じさえあったのではなかろうか。
様々な分野の話が出るとはいえ、分かりやすくかみ砕いて書かれているので、決して読んでいて難解過ぎるということはない。
その辺のバランスも素晴らしい。
ハードSFでありながら、エンタメ感を十分に味合わせてくれる。
そうして、やがて明らかになる真実。
なるほど、そういうことだったのか!
そう思わせてくれる謎解きは鮮やか。
更にラストの余韻。
もはや言うことはない。
うーん、そんなところはない!