【作品情報】
作品名:ガーディアン
著者:薬丸 岳
ページ数:290
ジャンル:ミステリー
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
社会問題度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 学校問題に切り込んでみたい
とある中学校に赴任した英語教師の秋葉。
その学校では匿名の生徒による自警組織「ガーディアン」なるものがあり、学校の平和を維持していた。
しかしそれは平和にするという名のもとに行われている「制裁」であった。
ガーディアンの正体は。
教師と生徒はどのように行動すべきなのか?
大きく荒れていなくても、ちょっと不良ぶった子がいて、教師に反抗する生徒がいて、校則を守らない生徒がいて。
おそらく、どこの学校でも大なり小なりあるだろう。
そして、生徒達は教師には言えない悩みを持っていたりする。
いじめ、スクールカースト、家庭問題、生徒同士の問題。
それを解決するために生まれた「ガーディアン」
問題を起こした生徒に「制裁」をする。選ばれた生徒は、学校中の生徒から無視される。
1週間程度で制裁は解かれるが、身に染みた生徒は二度と問題を起こさなくなる、と、そういうわけですね。
しかし、こんなことをしていても仮初めの平和にしかならない。
作中である生徒が言っていましたが、その身になって初めて、自分に親友と呼べるような存在がいないことに気付くという。
皆から無視された時、話しかけると自分も同じ目に合うからと、今までの友達も話しかけてこない。
だけど、「制裁」が解かれると、前と変わらず接してくるようになる。
確かに、なんなんでしょうね、と思います。
でも、それでも「ガーディアン」という組織を作らずにはいられなかった生徒がいる。
生徒のことを幾ら思おうとも、時間的にも能力的にも限界がある教師。
無力感に苛まされ、どうすれば良いのか苦しむ。
もちろん、生徒達だって、ガーディアンの存在によって苦しむ者もいる。
何が正しいのか、どうすれば良いのか、教師と生徒、それぞれの立場で考えさせられます。
でも、秋葉くらい考えてくれる教師がいてくれると良いなぁとは思います。
ガーディアンの活動を通し、教師も、生徒も、少し変わる。
そのこと自体は、きっと良いことだったのだろうと思える。
・・・・が、ラストはどういうことなのか。
これまた考えさせられるなぁ。
生徒の数が多く、読んでいて結構、誰が誰だか分からなくなりやすい。
設定はかなり無理があるとも思いますが、そういう学校の問題を取り上げた作品と考えれば。
エンタメよりの、社会的作品とでもいうべきか。
価格:799円 |