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ミステリー 書評

【ブックレビュー】月下美人を待つ庭で(猫丸先輩の妄言)(著:倉知淳)

更新日:

【作品情報】
 作品名:月下美人を待つ庭で(猫丸先輩の妄言)
 著者:倉知淳
 ページ数:320
 ジャンル:ミステリー
 出版社:東京創元社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 猫丸先輩度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : ミステリというか、論理展開を楽しみたい

■作品について

電光看板の底に貼り付けられた不規則なアルファベットの文字列。
亡き母が残した庭にかわるがわる訪れる悪気なさそうな侵入者たち。
風変わりな名前の“先輩"は日頃ふらふらしては、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。
シリーズ15年ぶりの短編集。

■良かった点

猫丸先輩の帰還!
って、なんとシリーズ15年ぶりだとか。
そんなに書いてなかったんですね。
しかし、久しぶりであろうと猫丸先輩は猫丸先輩です。
相変わらずの饒舌さで、ちょっとした不思議なことを、猫丸先輩らしい推理なのか妄想なのか想像なのか、そういったものを縦横無尽に繰り広げていきます。

ほんのちょっとしたことから、
もしかしたらこういうとなんじゃないか。
こう考えると、こう導き出される。
という論理の展開に、登場人物も読み手も巻き込まれていく。

読んでいると、いやいやそれは強引じゃないの、ちょっと無理があるんじゃないの、と思うような推理であったりするのだが、その推理に至った根拠、考え方が提示されるので、そういうこともあり得るかもしれないとまで思わせてくれるのが猫丸先輩。
まあ、真実はどうなのかまでは分からないんですけれどね。

5つ収録された短編の中では、表題作でもある『月下美人を待つ庭で』が一番物語展開としても良いかな。
ある意味、綺麗にまとまっているというか、作品の終わり方としてこの一編で締めるというのが良い具合に働いている。
<妄言>というくらいだからどの作品も想像の域を出ないわけだし。
下手したら他の人をおちょくりまわすような猫丸先輩の喋りに不快感を覚える可能性もある。
それでも、最後の一編が綺麗にまとまったからいいかな、と思わせてくれる感じですね。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

結局、なんだったんだ!?
と事件の結末を知りたい人には向かないかもしれません。
あくまで、起きた事象を見て、そこから論理を展開していくミステリーなので。

 

 

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