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エンタメ 書評

【ブックレビュー】破滅の王(著:上田 早夕里)

更新日:

【作品情報】
 作品名:破滅の王
 著者:上田 早夕里
 ページ数:528
 ジャンル:エンタメ
 出版社:双葉社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 心に響いてくるものがある度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : 歴史フィクションものが好き

■作品について

一九四三年、上海。
「魔都」と呼ばれるほど繁栄を誇ったこの地も日本軍に占領され、かつての輝きを失っていた。
上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本は、日本総領事館からある重要機密文書の精査を依頼される。
驚くべきことにその内容は、「キング」と暗号名で呼ばれる治療法皆無の細菌兵器の論文であり、しかも前後が失われた不完全なものだった。
宮本は、陸軍武官補佐官の灰塚少佐の下で治療薬の製造を任されるものの、即ちそれは、自らの手で究極の細菌兵器を完成させるということを意味していた―。

■良かった点

上海事変後の上海。
上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本を中心に描かれる、歴史を題材としたフィクション。
宮本が知ることになったのは、未知のウィルス、というか細菌兵器の「キング」
否応なしに巻き込まれていく宮本が選び、進んでいく道を描いていく。

宮本は科学者としての立場から、そのような細菌兵器を許容できるわけもない。
一方で軍部の立場からすれば、どうにか兵器としての使用に見立てを立てたい。
第二次世界大戦時、大日本帝国陸軍に存在した研究機関、いわゆる731部隊。
そこからの圧力、それは言葉で、時に現実的な力を持って宮本に迫ってくるが、それでも屈しない科学者としての心。

一方で、宮本の視点だけではなく軍の方からの視点、軍に所属する灰塚の立場からの物語展開もある。
軍人としては、上からの命令は絶対。
細菌兵器や、宮本に対して個人的な思いがあったとしてもそれを態度に出してはいけない。
上から求められたことを忠実に遂行するしかない。

そんな、科学者としての立場、軍人としての立場、双方から「キング」を追いかけ、翻弄されていく。

戦争が身近にあるなか、宮本や灰塚だけでなく、さまざまな人が自分の信念と、国家と、世界の情勢の間で揺れ動く。
指向性が一致すれば楽なのかもしれないし、「仕方ないことだ」と自分を納得させられれば良いのかもしれない。
だけど自分の意に添わぬこと、明らかに人としてのモラルや常識を外れることに対し、どうするか。
自分の命がかかってくるとなれば、そう簡単には行動もできない。

じっくりと読み進める一冊。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

物語展開的に、大きな盛り上がりとか起伏とかが感じられるわけではない。
淡々と進んでいく物語を、退屈で冗長と感じる人もいるかもしれない。

 

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