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ファンタジー 書評

【ブックレビュー】後宮の烏(著:白川 紺子)

更新日:

【作品情報】
 作品名:後宮の烏
 著者:白川 紺子
 ページ数:320ページ
 ジャンル:ファンタジー
 出版社:集英社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 雰囲気良い度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : ちょっと勝気で魅力的な女性主人公を読みたい!

 

■作品について

後宮に、妃でありながら決して夜伽をすることのない「烏妃」
そんな烏妃のもとにある日、皇帝である高峻が訪れる。
拾ったという翡翠の耳飾りに女の幽霊が取り憑いており、その正体を知りたいと言う高峻の依頼を断り切れず、動きだす烏妃。

烏妃とはどんな存在なのか。
なぜ、表に出ること無くひっそりと暮らしているのか。

高峻との出会いが、その真相を表に出すことになる・・・・

■関連レビュー

【ブックレビュー】後宮の烏 2(著:白川 紺子)

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■良かった点

うん、良いですね。
中華幻想譚、雰囲気的には「十二国記」を思わせるが、似てはいても非なる作品。

何が良いかというと、まずは烏妃である寿雪のキャラクターが良い。
後宮の奥、婢女一人だけを傍に置き、ひっそりと暮らしていた彼女。
それが高峻と出会い、外に出て色々と活動をしているうちに彼女の考えや思いが変わっていく。
人と交われば、それだけ重なってゆく思いがあり、捨てきれない絆が出来てくる。
烏妃という立場であり、そういうものは邪魔になるだけだと思う反面、求めてしまう自分もいる。
そんな寿雪がなんとも人間的で魅力的にうつる。

たまたま出会った宮女の九九も良い味を出している。
おしゃべりが好きで、烏妃の侍女として取り上げられてからも変わらずに接してきて、寿雪のことを思ってくれる九九の存在が非常に寿雪にとって大きいものになる。
二人の関係はなんというか微笑ましい。

物語は、楽土にいけず幽霊となって漂っているものを楽土に帰すべく寿雪が動くというのがメイン。
幽霊となったもの、残されたもの、それぞれの思いを汲み取って依頼を解決していきながら、烏妃という存在とはなんなのか、皇帝との関係はなんなのか、そういったものに迫っていく。

最後には真相がわかり、寿雪と高峻は一歩近づくことになる。
恋を感じさせるものであり、もどかしい二人のこの後がどうなるか気になるところでもある。

色々と考えたネタを全て出してしまったようにも感じるが、続きが気になって読みたいと思わせてくれる。
個人的には九九が気に入ったので、その関係が深まるかもみてみたい。

とにかく主人公の魅力が高いというのは強い。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

個人的には恋愛要素はそんなに多くなくて良いので、そこが気になる所。
まあ、あからさまに多いと言うわけじゃないんですけどね。

 

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