ノーマルCP マリア様がみてる 真紀

【マリみてSS(真紀×祐麒)】その横顔に

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~ その横顔に ~

 

 

 その話を聞いたのは、祐麒が花寺学院中等部三年の半年が過ぎ、残暑もようやく落ち着きを見せて秋の涼しさが心地よくなってきた頃のことだった。

 リリアン女学園の共学化。

 少子高齢化に伴う生徒数の減少は名門のリリアンといえども避けられないことだった。生徒が少なくなれば、それだけ学園経営のほうにも影響してくるわけで、どうにか対策をと検討されたのが共学化だった。
 とはいえ、お嬢様学校でもあるリリアンがそう簡単に共学となるのを、生徒もその親御さんも許してくれるものではなく、そのために導入されることになったのが試験的な男子生徒の編入である。
 一部のクラスにごく少数だけ、それも親交のある隣の花寺学院から、成績や素行に問題がないものを更に面接して選んで編成する。三学年で合計三クラス、人数にして二十人ほどの男子が来年の四月からリリアンに通うようになり、その希望者を募るというもの。新一年生に関しては、花寺を受験する中学三年生から事前に希望を募り、見事に合格した生徒の中からやはり面接を通して選ばれるとのこと。
 この話を聞いて、積極的に手を挙げる者はむしろ少数だった。
 リリアンといえば綺麗な子、可愛い子が多く、お嬢様学校だから性格や家柄が良い子も多いわけで、付き合いたい、彼女にしたいと思う男子は多く存在するはずだが、いざその学園に通うとなると気後れする。完全に共学となるならともかく、ごくわずかな生徒だけが試行ということで赴くわけで、アウェイな感じは否めない。
 好きなように活動できるならともかく、むしろ言動には制限をかけないとまずいだろうし、男子校で自由に育った身としてはなかなか厳しい制約だ。部活動、特に運動部に所属している者はリリアンで活動できるわけもなく、放課後になっての移動も手間だろうし、成績、素行、そういった条件も踏まえると、自分こそはという者は少なくなってしまう。
 無理強いをすることはできないが、だからといって対象が少なすぎれば今後の共学化への道が閉ざされてしまうかもしれない。それを防ぐため、候補者が少ない場合は学校側の方で何人かを選出した上で本人と面接をして意思を確認することになる。
 もちろん祐麒は立候補するつもりなど毛頭なかった。そもそも、野球で有名な高校への進学を心に決めていたから、花寺の高等部にすら進学する予定はないので、手を上げようもなかったのだ。

 しかし、そんな事情が一変したのは秋も終わりに近づいた頃のこと。
 肩の故障。
 夏から違和感はあったが、単に疲れていたのだろうと思ったし、そうじゃなかったとしてそんなことを口には出せなかった。結果、それが事態を余計に悪化させた。元の通りに治ることは絶望的であり、投手としての道が閉ざされた。
 小さいころからの夢が消えてなくなり、絶望感に打ちのめされ、ふさぎ込む日々が続いた。そんな祐麒を心配して、家族がリリアンへの編入をしてみてはどうかと勧めてきた。
 花寺の野球部仲間には、別の高校に行くから花寺学院高等部の野球部には入らないと言っていたし、そんな状況で結局は花寺に進学するのは心苦しいだろうし、野球部が活動しているのを目にするのは祐麒も辛いだろう。リリアンならば野球部は存在せず、ソフトボール部なら別物だと思えるだろう。
 更に言えばリリアンには姉である祐巳もいるから、安心感もある。リリアンの今後のためにも、先陣を切ってみるのもいいのではないかと、決して押しつけがましくなく両親は話してきた。
 別に家族の説得に心を打たれたわけではないが、花寺に進学することが今の祐麒にとって苦しいことは確かだったので、リリアンへの編入を希望したうえで高等部進学の試験を受けた。
 元々、成績にも素行にも問題のなかった祐麒は、すんなりと面接に進み、さらには面接も通過してあっさりリリアンへの編入が決まった。

 こうしてめでたく、高校一年生となった祐麒はリリアン女学園へと通うことになった。
 女子ばかりに囲まれた入学式を済ませ、男子クラスに行くと、女子達からの様々な視線がちらほらと向けられるのを感じる。
 同じ年代の女の子たちに囲まれて、それこそまるでハーレム気分なんじゃないか、そんなことを冗談交じりに花寺に残る友人に言われたこともあるが、とてもじゃないけれどそんなお気楽な気分になることはできない。
 むしろ全く逆で、ある程度の覚悟はしてきたものの、教室内、いや学園内における居辛さはなかなか厳しい。理解されているはずだが、やはり女子生徒の中には男性が嫌いであったり、怖かったり、そういった負の感情を持つものも存在する。そうでなくとも、存在するだけで注意をひき、注目されるわけで、自分たち自身の異物感が半端ない。
 一年間通い続ければ慣れ、また女子達も受け入れてくれるのだろうかと、少ない男子生徒たちは固まり、そんな不安を吐露しあう。それくらい覚悟して入ってきたはずなのに、最初からそんなんでどうするのかと、祐麒は内心で呆れる。もっとも、祐麒とてそこまで余裕があるわけではないが、いまだに野球のショックを引きずっているので、そういった点では神経が鈍麻しているのかもしれない。

「いや、女の子が多いことは分かっていたけれど、女の子の匂いに噎せそうになるとは想像できなかったね」
「……お前、そういうことは気を付けて言わないと、セクハラになるぞ」
「分かってる。だから、小声で言っているんだろ」
 祐麒の前の席から、同じくリリアンへ編入してきた小林が器用に肩をすくめてみせる。高校で初めて顔をあわせるが、なかなかに図々しいというか馴れ馴れしいというかで、素っ気ない祐麒の態度をものともせずに話しかけてくる。
 聞き流しはしているものの、小林の言いたいことは分かる。男子校の花寺とは明らかに異なる、"女子の空気"とでもいうようなものに包まれており、どうしても落ち着かないのだ。もちろん、だからといってそんなことを口に出して言えるわけもなく、慣れるまで待つしかない。
 男子が編入されたクラスの女子は、事前に男子と同じクラスでも問題ないと言った生徒だけで編成されている。中には、やはり男子と一緒のクラスは嫌だという女子もいるわけで、そういう子達とは離れたクラスになるよう配慮されている。なので、同じクラスの女子達は決して男子を嫌っているとか、非友好的とか、そういったことはないのだが、すぐに親しくなれるわけでもない。
 気にはなるのでチラチラと視線を向けてきたり、落ち着かない様子を見せる子がいたり、微妙な雰囲気がクラス内には漂っている。
「福沢は姉さんがいるんだろ? それを生かして女子と仲良くなるよう、先陣を切るのが役目だろうが」
「誰が決めたんだよそんなの。大体、確かにいるけどさ、別に同じクラスじゃないし」
 祐麒の言う通り、祐巳はこのクラスにはいなかった。代わりというわけではないが、祐巳の友人で何回か家に遊びに来たと思う女の子がいるものの、祐麒と親しいわけでもないので、まだ話もしていない。
 そうこうしているうちに朝のHRの時間となり、担任の教師が教室に入ってきた。
「――はい、みなさん席についてください。出席を取ります」
 担任の中年女性教師が出席簿を手に確認を始めるのを耳にしながら、祐麒はぼんやりと校庭を見つめていた。
 もう決して、祐麒が輝くことのできないグラウンドを。

「授業の内容はついていけそうだな、当たり前だけど」
 昼休み、弁当も当然、男連中で固まって食べることになる。人数が少ないと連帯感が高まるのは、それはそれで良いことなのだろう。そんな男子の中でも、気の合う同士でつるむようになるのが自然である。
 祐麒の前には小林正念が、そして横にはもう一人、有栖川という男子生徒が座って一緒になって話していた。
「問題は体育だよな、何せ男全員で7人しかいないから、個人競技かマックスでも3対3しかできないからな。体育だけでも女子と一緒にできないかなー」
「だから、そういう発言は控えろと……」
「でも、アリスだったら女子と一緒でも違和感ないかもな」
 有栖川=アリスと安易なニックネームだが、逆にこの苗字で他のニックネームはありえないだろう。そのアリスは小林が言う通り、小柄で女の子っぽい雰囲気を醸しており、それこそリリアンの制服を着ても違和感なさそうなくらいだった。
「そ、そうかな? へへ」
「――なんで嬉しそうなんだ」
「あ、僕、見た目通り体力もなくて運動苦手だから、皆と体育やったら足引っ張りそうだし。それならむしろ、女子の方に近いかなって」
「変な気まわすなよ、ただでさえ少ない野郎なんだから。運動が苦手なやつもいれば、勉強が苦手なやつもいる、十人十色なんだ気にするな」
「うん、ありがとう」
「でも体育だけど、実際には男子は三学年合同でやるから、団体競技も出来るだろ」
「え、そうなのか? うわ、三年と一緒とかなんか気まずくないか?」
「少ない男同士なんだ、大丈夫だろ?」
 話の中心はどうしてもリリアンにおける生活になるが、これからお互いのことを色々と知り仲良くなっていくのだろう。
「ねえ、小林くんと福沢くんは、リリアンで部活動には参加するの?」
「ん? どうすっかなぁ。まだ考えてない」
 リリアン内での部活動も、当然ながら入部して活動することはできる。ただ運動部に関しては男女一緒では出来ないため、花寺学院の方でしか入ることはできないが、文化部であれば男子でもリリアンのクラブに所属することが出来る。
 女子の中には、男子が入るなんて嫌だという声もあるらしいが、そこは話し合いの上でどのクラブも問題ないということで最終的には落ち着いた。とはいえ、現実的に女子だらけの中で突入していくには勇気がいる。
「俺も特には……」
 野球が出来なくなった身、何か新しいことを始められれば良いのだろうが、まだ夢中になれる何かは見つけられていない。
「アリスはどこか入るのか?」
「被服部に入りたいと思って……やっぱり変かな?」
 どこか気恥ずかしそうに言うアリス。見た目だけでなく、趣味も女の子らしいのか。
「別に変じゃないだろ。好きなことをやれるんなら、それが一番じゃないか?」
「そ、そうだよね、ありがとう、小林くんっ」
 嬉しそうに笑うアリスを見ていると、本当に好きなのだろうなと思えてくる。花寺には被服部などないだろうから、そういった意味ではリリアンに来られて正解だったのかもしれない。
「――なあ。小林はなんで、リリアンに来ようって思ったんだ?」
 なんとなく、尋ねてみたくなった。
「面白そうだったから」
 眼鏡のレンズを不気味に光らせ(たように見えた)、小林は言い切った。
「正統派お嬢様学校であるリリアンが男子に門戸を解放しようとしている。その試験的なプログラムに参加できるんだ、面白そうじゃん。俺たち少ない男子が、果たしてリリアンにどのような変革を与えられるのか、そう考えるとわくわくしないか?」
「へえ……単なるスケベ心で来たわけじゃないんだな」
「可愛い女の子とお近づきになれたら、それはそれで嬉しいけどね。あ、これは面接でも言ってないから、誰にも言うなよー?」
「言わねーよ」
「あははっ」
 小林とのやり取りを聞いて、可笑しそうに笑うアリス。
「そういう福沢くんは、どうなの?」
「俺は――」
 尋ねられて、咄嗟に何と答えたものか迷った。正直なことを自分の口から話すのは、まだ辛いし、場の雰囲気が悪くなることも請け合いだから回避したい。さりとて、適当な理由が急には思い浮かばない。当然あってしかるべき質問だというのに、それに対する答えを用意していなかったのは迂闊だった。
「あ、俺、知っているぜ」
「え――」
 小林が訳知り顔で見つめてきて、ドキッとする。まさか、本当に知っているのか。中学時代に親交はなかったが、祐麒の野球のことを、肩のことを、小林は知っていたのか。
「福沢は実は」
「お、おい。小林おまえ――」
 止めようとする一方、さっさと晒してしまった方が楽になれるかも、なんて思いがこみ上げてきたりもする。
「実は福沢は――重度のシスコンで、お姉さんと一緒の学校に通いたい一心だけで選んだのだ」
「…………は」
「へええ、そうなんだ。お姉さん思いなんだね」
「いやいやアリス、そんな可愛いもんじゃないんだぜ。何しろ、この男子編入の話がなかったら、女装してでも入ろうとしたくらいの異常愛ともいえる姉ラブ野郎で」
「え、ええぇ……」
「って、こら待てお前、何かってなことねつ造してんだ!? アリスもあっさりと信じるな、引くな!」
「おいおい、あんまでかい声出すなよ、女子が怯えてるぞ」
「あ……っと」
 教室に残っていた女子達の目を感じ、赤面しながら頭を下げて周囲に謝る。幸い、単に男子がふざけあっていただけだと思ってくれたらしく、非難されるようなことはなかったが、男子校の時と同じノリでいるわけにはいかないと反省する。
「ったく、余計なことさせやがって」
「はっはっは。まあそんなわけで、人によっては言い辛いような理由もあるわけってことだよ」
「うん、そうだね。ごめんね福沢くん、無神経で……」
「だから、勝手に決めつけるなよ」
 と言いつつも、冗談に紛れて本当の理由に触れずに済んだのは有難かった。もしかしたら小林は、祐麒が困ったように言い辛そうにしていたのを見て、気をきかせてくれたのだろうか。
「なあ、今度お姉さん、紹介してくれないか?」
「あほか、お前は」
 まさか、そんなことはないかと思いなおす。
 いずれにせよ、くだらないことを話したおかげで友人としての距離は近づいたような気がする。この連中となら、気の置けない間柄になっていけるかもしれないと思った。

 午後の授業を終え、放課後となった。掃除当番でもなかったので時間はあるが、女子だらけの学校内には居残りづらく、さっさと帰ろうと思ったのだが。
「ねえ、部活見学に行かない?」
 というアリスに半ば無理矢理、連れまわされることになった。てっきり、アリスが希望している被服部に向かうかと思いきや、手芸部や華道部といったところに顔を出していて、被服部以外にも興味があることを知った。どれも、どちらかといえば女子向きの部活動と思えたが、アリスなら似合うだろうなと素直に想像できる。
 どの部活動も、祐麒達が訪れると最初は驚き警戒するものの、真面目な見学だと知るとそれなりに優しく接してくれた。特に、女の子みたいな容貌で、実際に活動に興味を持っているアリスが一緒というのが大きかった。
 小林も、猫を被っているのだろうが如才なく振る舞っている。
「――悪い、俺、ちょっとトイレに」
 気まずいというわけではないが、熱心に部活動に打ち込んでいる生徒を前にしてぼーっとしているのが申し訳なく思え、席を外す。
 廊下を歩きながら窓の外に目を向ければ、女子テニス部が練習している姿や、どこかの運動部がランニングしている姿が目に入り、視線を校舎内に戻す。いつまでも引きずっているほうが女々しいと分かっているのに、出来ない。それがもどかしいし、悔しい。
「何か、他に打ち込めるものがあれば……か」
 呟きながら歩き、ふと足を止める。
「あれ、トイレなかったっけ?」
 目の前にあるのは女子トイレ。去年まで純粋な女子高であったリリアンは、当然ながら男子トイレの数は極端に少ない。教師用のものしかなかったところ、急遽増やしたのだが、それはどこにあったか祐麒もまだ全てを覚えていない。特に今いる場所は部活動見学にやってきて初めて足を踏み入れたので、余計に分からない。今は一階だが、二階か三階まで上がればあるだろうか。しかし、最上階まで行っても無い可能性もある。その場合、一階の男性職員用トイレに行った方が近いが、さて。
「――ふぃ~、さっぱりさっぱりって、わぁ!?」
 そんな風に無駄に考えていたところ、不意に女子トイレから生徒が出てきて、真ん前に男の祐麒が立っているものだから驚きその場で飛び跳ねた。
「あ、す、すみません」
 慌てて謝る。下手すると、変態と間違えかねられない。
「いえ、あたしも驚いちゃってごめんなさい……って、あ、祐麒くん」
「え? ああ、ええと確か、桂さん、だっけ?」
「そうそう、わあ、覚えていてくれたんだ。教室でも声かけてくれないし、忘れられているのかも、なんて思っていたんだけど」
「いや、教室では声かけずらいし、迷惑かけたら悪いかなって」
「迷惑だなんて、そんなことないよー」
 同じクラスにいた、祐巳の友達というのは桂のことだった。
「桂さんは、部活中?」
「うん、テニス部なんだ。中学の時からやっていたからね」
 体操服姿の桂は、明るく笑って見せる。美少女というわけではないが、明るく活動的で親しみやすさを覚える。
「あ、そうだ桂さん。トイレ――」
「ああうん、練習中に急におしっこしたくなっちゃって、我慢していたんだけどこのままじゃ漏れちゃう~っ、て思って、恥ずかしいけれど先輩に断って駆け込んだの。って、女の子になんてこと言わせるのよー!」
 一人で勝手に喋り、勝手に突っ込み、恥ずかしそうに顔を赤くする。殆ど話したことなどなかったのに、前から友達だったような気にさせられて祐麒も思わず笑ってしまう。
「えーと、ごめん? それでさ、実は俺もトイレ行きたいと思ってるんだけど、この校舎って上に行けば男子トイレってあったっけ?」
 自分は悪くないはずだがとりあえず謝ると、あっさり桂は笑顔を取り戻す。
「あ、こっちにはないよ。ここからだと、職員用が一番近いと思うよ」
「そっか、ありがとう、助かったよ」
「いえいえ、どういたしまして。あ、あたし、戻らないと」
「それじゃあ、部活頑張ってね」
「うん、ありがと、またねっ!」
 手をぶんぶんと振り、廊下を駆けてゆく桂。リリアンでは、というか学校内で走るのは禁止のはずだが、部活の方が桂にとっては重要なのかもしれない。先ほどの笑顔を見ていても分かる、桂はテニス部が好きで、テニスが好きだということが。
 羨ましいと思いながら職員用のトイレに向かい、男子トイレに入るタイミングで女子トイレから入れ違いに誰かが出て行った。
「――――」
 中に入ったところで足を止める。何かが頭の中に思い浮かぶ。それが何だか良くわからないまま引き返して廊下に目を向けると、先ほどトイレから出た女性が職員室へと入ろうとしているところだった。
 その横顔を、一瞬だが目にとらえる。
 その後、祐麒は無言で、ただ彼女が消えていった扉を見つめていた。

 翌週。
「はっ? 『競技かるた部』に入る?」
 眉をひそめる小林に頷き返す。
「なんで、いきなりそんな部に……まあ確かに漫画で有名になったけどさ、だからって興味あったのか?」
「興味というか……」
「いいじゃん、小林くん。福沢くんがやりたいことなんだし、応援すれば」
 アリスは素直に背中を押してくれるが、小林はいまでも不審そうだ。先週まで部活動に興味を見せず、その手の話もしていなかったのだから当然だろう。だが調べた結果、祐麒はそこに辿り着いたのだ。
 リリアンの運動部に男子として混じることはできない。マネージャーとしても不可ということが分かった。だから、彼女が顧問を務めているテニス部に入ることは出来ない。
 だが、彼女が副顧問を務めている『競技かるた部』であれば、男子でも入部可能なことが分かった。副顧問といっても名ばかりであって部活動にはほぼ顔を出すことはなく、大会の遠征などで顧問の代わりに付き添うことがあるくらいだと聞いたが、それでも構わなかった。
 部活に殆ど来ないなら、それもある意味好都合だ。上達して力を上げるまで顔をあわせたくない気持ちもあったから。
 そう、彼女――鹿取真紀には、だらしない姿を見せるわけにはいかなかった。
「ま、やるからには頑張れよ」
 小林も、最終的にはそう言って肩を叩いた。

 そして、時は過ぎ――――

 

 

おしまい

 

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