書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(三奈子×祐麒)】オレンジ・ミステリー その2

更新日:

 

~ オレンジ・ミステリー その2 ~
<番外編:絆ちゃんの時間旅行!>

 

 

 室内には、なんともいえない空気が漂っていた。

「――さて、それではこれより被告・福沢祐麒の有罪判決を言い渡します」
「ちょ、ちょっと待て! 裁判も何も経ずに結論だけってどういうことだ!?」
「だって、他に考えられないじゃない。祐麒が何か、彼女を誑かしたんでしょう?」
「濡れ衣だっ!!」
 ここは『薔薇の館』と呼ばれる場所で、リリアンの生徒会メンバー、および花寺学院の生徒会メンバーが勢ぞろいしている。
 そんな中で、どこか場違いにも思える姉弟喧嘩が繰り広げられていた。
 一方で私は、なんとも肩身の狭い思いを一人で抱えていた。明らかに場違いだもんね。
「それじゃあ、納得のいく理由を教えてもらえる?」
「だから、俺だって訳わからないっての」
 先ほどから行われているのは、私が突発的にやってしまった『ほっぺにチュウ』事件についての釈明である。怒り、疑惑、戸惑い、嫉妬、さまざまな視線がお父さんに注がれていて、お父さんは困っている。
 実際には私の方がやっちゃったんだけど、こういう時に責められるのは男の方なんだよね、やっぱり。
 で、私はお父さんを助けてあげたいわけだけれど、良い説明が思い浮かばずなかなか口を挟むことが出来ない。だって、

「未来からやってきて、ついいつものノリで若いお父さんにチュウしちゃいました、てへっ♪」

 と言うわけにはさすがにいかない。
 うぅ、ごめんお父さん、私の軽率な行動のせいで変態扱いされて。
「……ねぇ祐巳さん。祐麒さんは知らないと仰っているのだし、ここは絆さんの方に聞いてみた方がよいのではないかしら。そもそも、絆さんの方から、その……せ、接吻をしたわけなのだから」
「っ!?」
 さすが志摩子さん、あっさりと矛先を私の方に向けてきた。当たり前と言えば当たり前なんだけど。
「ねえ絆さん、どうしていきなり、先ほどのような行動に出たのかしら?」
「あ~、ええとですね……に、似ていたものですから」
「似ていた?」
「は、はい。ええと、あの、わ、私の好きな人にそっくりだったもので、つい」
 苦しい、苦しすぎる上に恥ずかしいぞ! 自分でも顔が赤くなっているのが分かる。
「まあ……つまり、絆さんがお付き合いしている人と祐麒さんがそっくりだったと」
「いやぁ、つ、付き合っているというか」
「え? お付き合いもされていないのに、いきなり接吻をするような仲なのですか?」
「あ、そ、そうですそうです、彼氏とウリ二つで、そりゃもうドッペルゲンガーも真っ青なほどに」
「ふ~~ん」
 明らかに疑われているが、行動を起こした本人が言っているのだからそれ以上は突っ込むことも出来ないようで、この場はどうにか収めることが出来た。
 しかし、あんなことが発生した挙句、私という異分子が突然に紛れ込んでしまったせいか、本来の目的である打ち合わせをする雰囲気ではなくなってしまっている模様。
「まあ、そこまで急を要する議題というわけでもないし、打ち合わせ自体は大丈夫だけど」
「そんなんでいいんですか?」
「今日はお姉さまもいないし、学園祭の助っ人をお願いする挨拶会だったから」
「はぁ……」
 よく分からないが、せっかくわざわざお客様として来てもらっているのに、そのようなことで本当に良いのだろうか。疑問に思ったが、お父さんを含む男性陣からも特に異論は出なかった。
 むしろ、お父さんを早いところリンチにでもあわせてやりたいと、そんな風な目をしているようにも見える。

 結局、有耶無耶のうちに打ち合わせは終わり、花寺の人達は帰ってしまった。若いお父さんをもっと見たかったけれど、仕方がない。それでは私も紛れて失礼させていただこう。
「ちょっと待って、絆さん。絆さんにはもう少し、聞きたいことがあるの」
「……さいですか」
 こっそり帰ろうとしたけれど、志摩子さんに見とがめられて薔薇の館に逆戻り。改めて、山百合会のメンバーだけと対峙することとなった。
 先ほど自己紹介があったので分かっているが、今この場にいるのは祐巳ちゃん、由乃さん、志摩子さんに加えて支倉令さん、二条乃梨子ちゃん。祐巳ちゃんのお姉さまである小笠原祥子さんは、先ほど言われたとおり今日は不在とのこと。
 令さんと乃梨子ちゃんとは初対面。今の世界でも、私は会ったことない。
「さて、絆さん。ちょっといいかしら」
「なんでしょう」
「これ、実は花寺のみなさんが来られた際の騒ぎの中で、絆さんが落とされたものなのだけど」
「え……え、あ、私の生徒手帳!?」
 慌ててポケットを探るけれど、どこにも見当たらない。さっきお父さんに向かって駆けて飛び付いた時にでも落としてしまったのか。
「申し訳ないけれど、確認するためにちょっと中を見せてもらったの。そしたら……」
「あ、あわわ」
「え、何々、どうしたの志摩子さん?」
 興味を持った祐巳ちゃんに生徒手帳を手渡す志摩子さん。由乃さん、令さん、乃梨子ちゃんも、祐巳ちゃんの周りに集まって何事かと生徒手帳に目を落としている。
 最初に気が付いたのは、乃梨子ちゃんだった。
「……あれ、未来の日付になっていますね」
「え? あ、本当だ!?」
 ざわつき始める皆さん。
 ああ、逃げたい。
「おもちゃの生徒手帳……にしては凝りすぎているよね。というか、本物にしか見えない」
 令さんが顎に手を当てて考えている。
「え、何コレ、どういうこと?」
 由乃さんは眉をひそめている。
「それにね、私聞いたのよ。絆さんが祐麒さんに駆けつけて抱きついて接吻する時に……『お父さん』って言ったのを」
 志摩子さんが私を正面から見据えて言う。
「え……何ソレ、『お父さん』?」
「え、それって」
「そう、そこから導き出される結論は……」
「も、もしかして、祐麒の隠し子っ!?」
 と、祐巳ちゃんの発言に全員が一斉にずっこける。
「あれ、どうしたのみんな?」
「祐巳さん……いくらなんでもそれはないでしょう。隠し子がどうして、祐麒くんと同じ高校二年生なのよ」
「あ、そうか」
 由乃さんに突っこまれて、照れたようにぺろりと舌を出している祐巳ちゃんは可愛いけれど、天然すぎる。
「ねえ絆さん。どういうことか、説明してくださる?」
 祐巳ちゃんのボケにもめげず、引き続き攻め込んでくる志摩子さん。どうにか誤魔化したいところだが、志摩子さんに対しては幼少時のトラウマよりどうにも逆らうことが出来ない。そう、私が悪いことをして誤魔化そうとしてしまったあの日、志摩子さんにあっさりと看破されてお仕置きの銀杏剥き。そして良く頑張りましたねと言われて慰労に出された大量の銀杏……あの日を境に私は高校生になるまでずっと銀杏が苦手だった。
 目を閉じ、深呼吸をし、覚悟を決めて口を開く。
「……はい。私は未来からやってきたお父さんの……福沢祐麒の娘なんです」

 衝撃の事実を告白したが、それで「はいそうですか」と納得するような人はさすがにいなかった。むしろ信じない方が普通だ。
 そこで、未来に関する様々なことを質問された。政治、経済、芸能、スポーツ、流行、そういったものに答えていく私。
「う~ん、でも私達にとっても未来のことだから、絆さんが言っていることが本当かは分からないんだよね。今日や明日のことを教えてくれればいいんだけど……」
「すみません、さすがにピンポイントで細かいことまでは覚えていないですし、そもそも私が生まれる前のことなので……」
 令さんのリクエストに応えられず、項垂れる。
「でも、嘘や思い込みにしては生々しいですし、本当のようにも思えます」
 一番年下なのに、一番しっかりしているように見える乃梨子ちゃんが、非常に冷静に意見を述べる。というかこの子、もう少し表情変えないのかなぁ。
「それに何より、祐麒や私のこと、ずばり知っているし。家族しか知らないようなこととかも」
 恐らく一番ポイントが高いのが、そこだろう。私のことを信じてもらうため、とりあえず祐巳ちゃんにだけ色々と私の知っていることを話したのだ。
 家族仲は良いし、祐巳ちゃんの家族とも交流は深く、昔の話なんかもよくしてもらった。お父さんの若いころの話もせがんで聞かせてもらったし、まさかこんなところで役に立つとは。
「ということは、本当に未来からやってきた祐麒くんの娘さん……? 信じられない」
「本当だとして、どうしてここに来たんだろうね」
「さあ、それは私にも……あ、もしかしたら、お母さんがリリアン生だからとか?」

「「「「「っ!?」」」」」

 私がそう口にした途端、室内の雰囲気が一変したように感じた。
「そ、そういえば、重要なこと聞いて無かったよね。お父さんが祐麒くんだとして……お母さんは、誰なの?」
 口火を切ったのは、由乃さん。
「今の話だと、リリアン生ってことだけど……え、今、この学園内にいるってこと?」
 続いて令さん。
 あれ、なんかまずいこと口走っちゃったかも。
 ここで変なことを言って、もしもお父さんとお母さんが恋仲にならなかったら、私が生まれなくなってしまうかも。それはヤバい。誤解される前に、きちんと正しいお母さんの名前を教えておかなくては。
「そ、それって、年下ですか?」
「――――え?」
「あ、いえ、なんとなく気になっただけです」
 それまでポーカーフェイスを保っていた乃梨子ちゃんが、ほんのりと気持ち頬を赤らめ、微妙に落ち着かない様子で尋ねてきた。
「い、いやー、祐麒くんってなんか、年上好みっぽくない?」
「は?」
 すると、今度は令さんが微妙に上擦った声でそんなことを言ってきた。
 あれれ、これはどういうこと?
「ち、ちなみに祐麒くんは既にその人と出会っているの? まさか、既に付き合っている、なんてことは、ないわよね」
「それはないんじゃないかなー、もしも彼女がいたら、さすがに分かると思うよ?」
 前のめり気味の由乃さんに、ここは冷静に判断する祐巳ちゃん。
 えっと、お父さんとお母さんが出会ったのは、お父さんが高校二年生の夏だった。ということは、二人は既に出会っていて、ラブラブな時期に突入しているかもしれない。いつ頃からラブラブになったかは覚えていないけれど、夏に知り合って秋の今、仲が進展していてもおかしくない。

 きーっ、悔しいっ!

 という私の気持ちは置いておいて、その話をすればここにいるメンバーが相手ではないと確実に理解させられるのだが……なんか、あまりよろしくない気がする。というか、あれ、乃梨子ちゃんとか令さんとか、もしかしてお父さんのこと気になっている系?
 ここで事実を話したりしたら、素直に諦めるか、逆に未来を変えようと積極的にアプローチをしてきたりするだろうか。
「その辺は、ノーコメントでお願いします! ほ、ほら、未来が変わっちゃうと私、消えちゃうかもしれないですからっ」
「ああ……そういう可能性もあるのね」
「映画であったよね、そういうの」
 どうやら、なんとか抑止力をもたせられたようで一安心。
「でも、今までの反応からすると、このメンバーの中には……」
「そうとも限らないんじゃ。容姿だって未来とじゃ随分と変わっているはずだし……」
「絆ちゃん相当なファザコンぽいから他のことは眼中に入ってないのかも……」
 何やらヒソヒソと不穏なことを話しているような気がするが、うん、気にしないことにした。そんなことより、どうやったら元の世界に戻れるのか? ということの方が大事ではないかしら。そうだよ、帰り方分からない。下手したらいつ帰れるか分からないのに、私はリリアンから逃げてどこに行こうとしていたのか。
 デロリアンか?

 デロリアンを探さないといけないのか。それとも、世界を混沌に導こうとする狂気のマッドサイエンティストとその右腕のスーパーハカーを見つけるべきか。いやいや、そんなの無理だ。
 帰れないからといってホームレスとして彷徨うわけにもいかないし、だからといってこのピチピチの体でお金を稼ぐなんて嫌だ。
 となれば頼れるのはただ一つ。
「――――」
 きゅぴーん、という感じで私は祐巳ちゃんを見つめた。
「ん、どうかしたの絆ちゃん」
「はい、今日、行くところがないので祐巳ちゃんの家に泊めてください」
 あ、目で訴えるつもりがあっさり口に出して言っちゃった。まあ、目だけで意図を伝えあうなんてそう簡単にできるわけないもんね、思いは口にしないと伝わらないわけだしこれはこれでよしとしよう。
「ああ、そうか。そういえば絆ちゃん、どうやって未来からやってきたの? どうやって未来に戻るの?」
「それが、実は分からなくて困っていまして……」
 バツが悪く、なんとなくはっきりしない物言いになってしまった。
「それって、大丈夫なの……?」
 まあ、明らかに大丈夫ではないのだけれど、どうしようもないので私は泰然自若とした様子を見せていた。内心では徐々に焦り初めていたけれど。
 実際、どうすれば良いのだろうか。ナイスアイディアなんてあるわけないけれど、帰れないのも困る。一人、思い悩んでいると。
「……あれ、誰か来た?」
 足音がしたらしく、由乃さんが反応してそう言った。私は考えることに意識がいっていたので、あまり気にしなかった。
 足音が大きくなり扉の前で止まり、ノックの音が。
「すみません、新聞部ですが。本日、花寺学院の皆さまがご来校されているとお聞きして取材をしたく」
 なるほど、新聞部が生徒会の取材にやってきたらしい。しかし、残念ながらお目当ての花寺学院の皆さんはお帰りになられて既に不在。ご足労いただいたのに申し訳ない。
 ん、待て待て、新聞部って……
 考えがまとまらないうちに扉が開き、ふと顔を上げる。前髪を七三に分けた、真面目そうな女の子、その後ろにもう一人の女の子が立っている。
「いらっしゃい、真美さんと……ええと」
「ああ、この子は後輩の高知日出実よ。新入部員」
「ぶふーーーーーーーーーーっ!!!!!??」
「ちょ、いきなりどうしたの絆ちゃん!?」
「げふんがふん。い、いえ、ちょっと器官に柿の種のピーナッツが入ってしまいまして」
「そんなもの出してないけれど?」
 首を傾げる祐巳ちゃんを放っておいて、口元を拭う。
 新聞部といったら、お母さんが所属していた部活だ! 何をのほほんとしていたのだろうか私は。
 部屋に入ってきたのは、若かりし真美さんと日出実さんだ。二人とも、たまに家に遊びに来ることがあるから知っている。高校時代の先輩後輩の繋がりって長く続くんだなぁ、なんて思っていた。
 真美さんはお母さんと同じように結婚してからもバリバリに働いている。日出実さんは確か、高校時代から付き合っている彼女と今も同棲中とか。
 真美さんは面影あるけれど、日出実さんは言われなければ分からない。いや、今はそんなことよりもっと大問題が。こっそり日出実さんの後ろにも目を凝らしてみたが、どうやら他には誰も来ていない模様で、ほっと一安心。
「残念ながら、今日はもう花寺の皆さんお帰りになられたのよ」
「えーっ、もう? 早いわね」
「そうなんですか……あれ、そちらの方は?」
 この場の中で唯一人、リリアンの制服ではない私は明らかに浮いており、目が向くのも当然のこと。
「ど、どうも初めまして。今日は、リリアン女学園の見学に来させていただいています」
 落ち着いて挨拶。別に私のことを知っているわけではないし、落ち着け、絆。
「わぁ、月光館の方ですね! 制服、素敵ですよね」
「見学に……ねぇ?」
「な、何か……」
 真美さんが不審そうな表情をして一歩、また一歩と私の方に近寄ってきて、とうとう目の前に立たれた。
 私の方が背が高いので、真美さんからはわずかに見上げる格好になる。
「なんか……どこかで見たことあるような……」
「へぇあ? そ、そんな、私、リリアンの学生さんに知り合いいませんけど」
 言いながら、冷たい汗が背中を流れる。そうだ、この真美さんときたら自分自身のことには鈍感のくせに、他の人に対してはやたらと鋭かったりするんだよなぁ。私はお母さん似と言われているし、何か感じるところがあるのかもしれない。まさか、お母さんの子供が未来からやってきた、なんて思ったりはしないだろうけれど。
「うーん、私もそう思うけれど、なんていうのかしら。雰囲気? 空気? どこかで感じたことあるような……」
 と、真美さんの目が私の顔にじっと注がれる。ヤバいヤバい、顔のパーツの中で目がお母さんにそっくりだって言われるのだ、そそくさと顔を横に背ける。
「あの、申し訳ありませんけれど、もう少しお顔を見せていただいても……」
 よろしくない!
「あのっ! 取材の邪魔してもいけませんから、私はこの辺でお暇させていただきます」
「え、ちょっと、絆ちゃ」
「失礼しますっ!」
 深々とお辞儀をすると、呼び止めようとする声を無視し、何か言いたそうな真美さんの横をすり抜けて、私は薔薇の館を飛び出した。
 幸い、先ほど正門まで連れて行ってもらったので道は分かる。制服が異なるので多少目立つのは仕方ないが、放課後だし人の目は多くない。一気に駆け抜け、正門前では守衛さんがいるからさすがに走るのをやめたけれど、そのまま外に出る。
「うぅ、あの状況の中でお母さんの正体がバレたら、なんかヤバかったよー」
 歩きながら呟く。
 どうやらお父さん、リリアン女子にモテ系なようだから。さすがといいたいところだけれど、ちょっとだけジェラシったりもする。
「さて、逃げ出したはいいけれど、どうしようか……」
 とはいっても選択肢は多くない。このまま路頭に迷うのは嫌だし、お金はないし、やっぱり祐巳ちゃんに頼るしかないのだ。
 幸い、家の場所は昔から変わっていないと聞いているから、一人でも向かうことは出来る。先回りして、祐巳ちゃんが帰ってくるのを待とう。
 左右を見回して、私はバス停へと向かう。
 バスに乗るくらいの小銭なら持っていたはず。ポケットの中からがまぐちを取り出し、ひーふーみー、と数えながら歩いているのが悪かった。何やら落ちていた空き缶を踏んでしまい、転びそうになったのを絶妙なバランス感覚でこらえたのはいいけれど、がまぐちからお金がバラバラと落ちてしまった。
「うわ、わ、私の生命の命綱がっ」
 生命の命綱って言い方、何か変? いやそんなことは今はどうでもよくて。うわーん、こういう変な所でドジするは私の欠点だ。そういうところが可愛いよね、なんて言ってくれるお父さんみたいな素敵な男性は今のところいない。
 あわあわと、散らばってしまったお金を拾い集めていて気が付いた。見てみる……やっぱり、発行年が未来だ! 使えねー!? いやいや、古い硬貨もあるかもしれない、諦めずに探すのだ。
 しかし十円玉、五十円玉、百円玉と、いずれも未来年になっている。最後の砦、確か五百円玉が一枚あったはず。あれはどこに落ちた? キョロキョロと地面に目を走らせるが見つからない。うそ、やばい、虎の子の五百円玉なのに!
 泣きそうになりながら探している私の目の前にそのとき、救いの手が。
「――――はい、これでしょう。落ちていたわよ」
 差し出されたのは五百円玉。慌てて受け取って見てみると、おお! 奇跡的に発行年が今の年から一年前だ。私は硬貨を握り締め、にわか的にマリア様に感謝してみた。
「あ、ありがとうございます、助かりました!」
 頭を下げ、そして顔を上げて救いの主を見てみると。
 その人はリリアン女学園の制服を着て、長い髪の毛をポニーテールにして、私が良く似ていると言われる目もとを緩ませ、私に似せてくれなかった胸を誇張し(地面にしゃがみ込んでいる私に向かって手に膝をついて前かがみの格好になっているからだ)、人懐こそうな笑顔を浮かべて笑っていた。二十年経った後も変わらない笑顔で。
 ――――って

 お・か・あ・さ・ん・じゃん!!!!!!!!!!!

 

 

つづく!?

 

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