みなさんこんにちは、神門です。
小学生低学年の時に男の子から女の子になってしまったアキラの成長をゆっくり、じっくりと描いた一作。
佐藤はつき先生の『オレが私になるまで』4巻が発売されました!
作品情報
作品名 | オレが私になるまで |
著者 | 佐藤はつき |
出版社 | KADOKAWA |
紹介対象の巻 | 4巻 |
ジャンル | TSF |
作品の感想
1巻から3巻まで、
- 1巻 → 自分自身
- 2巻 → 同性
- 3巻 → 異性
という流れで描いてきた、と前回記事で書きました。
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そして4巻では、
「好きって何?」
が描かれています。
小学生低学年の時、まだ異性に対する恋愛感情も知らない年齢で男から女になってしまったアキラ。
女の子であることを受け入れ、女の子として可愛いものが好きになっていく中で、それでも男だった自分を捨てきれない。
そんなアキラにとって、異性に対する恋愛感情というのは未知のもの。
今は女だから、男を好きになるのか?
もともと男だから、女を好きになるのか?
自分が「可愛い」と思うものは、自分の心が男であって男の視点で「可愛い」と思うものなのか?
自分自身の立ち位置が不安定なため、それすらもわかりません。
「オレが私になるまで」 4巻 佐藤はつき/KADOKAWAより 引用
だけど、アキラの想いとは別に、周囲は動いていきます。
アキラを待ってはくれません。
自分の内に閉じこもっていた頃から、留海という友人を得て、少しずつ周囲との関係性を築いてきたアキラ。
だけどそれは同時に、色々な変化をもたらすことにもなります。
自分の気持ちや思い、立ち位置もわからないアキラにとって、変化していくのは怖いこと。
だけど、怖いままではいられない。
そのためには自分自身が変わらなければならないし、動かなければいけない。
でも、そんなアキラを縛るのは、過去。
未だにアキラを襲う、過去の出来事。
それは自分自身が行った過ちであり、誰にも話せないまま抱え込んでいること。
「オレが私になるまで」 4巻 佐藤はつき/KADOKAWAより 引用
アキラは途中、クラス替えの件に関して
皆が一緒がいい
といいます。
それはすなわち、今の関係を崩すことなく変わらないままでいたい、という思いの発露だと思います。
でも、皆と一緒で変わらないメンバーでも、関係性は変わっていくことを、身をもって知ります。
アキラが動かなくても、それはアキラが「動かない」という選択肢を選んだことであり、その選択もまた周囲に影響を与えることを知ります。
思考を止めるのは何の解決にもならない。
その思考を選ばざるを得なかったのは、過去のアキラが犯した過ち。
堂々巡りにアキラは苦しみます。
それでも、時は待ってくれません。
立ち上がり、進むしかありません。
幸い、今のアキラは一人ではありません。
アキラを助けてくれるのもまた、変化によって得られた人間関係なのかもしれません。
オレは誰を好きになるんだろう
帯に書かれているこの一文。
「オレが私になるまで」 4巻 佐藤はつき/KADOKAWAより 引用
この答えが出た時が、もしかしたら作品の終着点の一つなのかもしれません。
そこまで、楽しみに続きを追いたいと思います。