【作品情報】
作品名:ソロ
著者:笹本稜平
ページ数:433
ジャンル:エンタメ
出版社:祥伝社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
爽快度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 山岳モノが好き
あのルートを、たった一人で、しかも名もない日本人が登れるわけがない――
アラスカからヒマラヤへ、数々の難壁に初登攀の足跡を残してきた新進気鋭のアルパインクライマー奈良原和志が、そんな周囲の雑音をよそに、初めて目指した8000メートル峰が世界第四位のローツェ、しかも最難関の南壁ルートだった。
そこは伝説的な登山家トモ・チェセンの〈疑惑の登頂〉の舞台として、いまも世界の登山界で語り継がれる因縁の壁でもある。
心の通い合う仲間に支えられ、いわれない妨害を受けながらも、心の師であるトモの初登頂の真実を証明すべく、和志は自らの限界を超えて世界屈指の壁に立ち向かうが……。
久しぶりに笹本さんの山岳ものを読んだ。
なんだかんだ山岳モノは読んでいて燃えるものがありますよね。
本作はタイトルの通り、ソロで山登りを続ける奈良原和志を主人公として展開する。
とはいっても、ずっとソロでやるわけではない。
和志がソロに拘る理由であったり、ソロでやることの弊害であったりも描き、その中でチームを組んで上る姿もちゃんと描く。
ソロだからできること、チームだからできること。
それぞれの良い面があり、どちらが優れているわけでもない。
ソロなら自分の力量のみで、尚且つ軽量&スピードの登攀が出来る一方で助けは得られない。
あと、登り切ってもそれを誰も証明できないってのは、登りとは別の話で確かに問題があるのですね。
登ったと言えば登ったことになる、信頼をもとにするスタイルが良いけれど、そうもいかない世の中。
なんとも嫌なところも描きつつ、山ではそんな周囲の言葉など意味はなく、ただ自然の前に翻弄される。
山を登る以外のことも色々と書かれており、それはもしかしたら人によってつまらないと感じるかもしれませんね。
磯村の難病の設定は必要だったのかなぁ。
そういう狙った感じはちょっと、どうかという感じもなくはない。
あとは主人公に感情移入できない人もいるかもしれない。