「 祐麒 」 一覧

～　伝えたいことができた日　～     「――こらっ、練習中の私語は慎むこと！」 　道場内に雛絵の叱責の声が響き渡る。 　十二月、冬の冷たい空気は道場内に容赦なく侵入し、素足で踏み ...

～　同じリズム　～   　卒業式を終え、予備校が正式に開講する４月中旬までの間、空白のような時間帯ができてしまった。 　勉強は積み重ねが大切で、特に真美のように平凡な頭脳の持ち主にとってはそ ...

～　ぱられる！　～   　「ぱられる１４　　素顔　」　   　９月も終わるというのに、まだまだ暑い日は続いており、日中は半袖でも問題なく過ごすことが出来るような陽気。 　伊達眼鏡を ...

  ～　りりあん荘へようこそ！　～ 俺の名前は福沢祐麒。現在は浪人生なのだが、理由があって、ぼろっちいアパートの管理人をしている。 アパートには、ひと癖どころ五つも六つも癖のある住人ばかりで ...

～　遠くても近い　～   　年の瀬も迫ったところで、栄子は実家へと帰省した。実家といっても都内なのだが、少し田舎にあるので帰るとなると意外と時間がかかるのが曲者だ。 　バスに乗って実家に帰る ...

～また、始まる～   　４月からはとうとう大学生活が始まる。新たな生活に向けて、俺は着々と準備を進められて……いなかった。 　まだまだ時間もあるし大丈夫、などと思っているうちに時間は過ぎて、 ...

～　花吹雪　～   　知らないうちに、梅雨に突入していた。 　じめじめとして、そのくせ蒸し暑くて、肌がべたついて何だか気持ちが悪い。これならまだ、真夏の方が良いと思う。由乃は梅雨が好きではな ...

～　お嬢様、時間です　～   　祥子は困惑していた。 　なぜかといえば勿論、祐麒と妙な約束をしてしまったこと。いやいや別に変な約束というわけではない。ただ、パーティに祐麒を招待するというだけ ...

～　とくべつさーびす　＜おまけ＞　～     「くっそ、祐巳やつ」 　激辛の麦茶を飲まされ、慌てて水を飲んでうがいをしたものの、既に飲んだ分が消えてなくなるわけでもなく、祐麒は悪態 ...

～　めいっぱいの時間を　～   　クリスマスを目前に控えた冬の一日。 　祐麒は学校の図書室で勉強をしていた。受験生には、クリスマスなど関係ない。あと一ヶ月もすれば受験本番が控えているのだから ...