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エンタメ 書評

【ブックレビュー】続 横道世之介(著:吉田修一)

投稿日:

【作品情報】
 作品名:続 横道世之介
 著者:吉田 修一
 ページ数:409
 ジャンル:エンタメ
 出版社:中央公論新社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 人生のスランプ万々歳度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 世之介にまた会いたい人

 

■作品について

長崎の港町で生まれた男、横道世之介。
大学入学で上京するも、留年して、就職に失敗し、バイトとパチンコで食いつなぐ人生のダメ期。
それでも世之介の魂は変わることはない。
大学時代の親友、鮨職人を目指す女友達、ヤンママとその息子と家族。
世之介を取り巻く人と、その未来の話。

■良かった点

なんといっても前作で世之介があれだったので、続編が出るとは思わなかった。
それが、まさかこうして続編が出ただけでも嬉しくなる。

24歳になっても世之介は世之介。
就職に失敗し、バイトとパチンコで食いつなぐ姿はどう見てもダメ人間。
腐っても、やさぐれてもおかしくはないけれど、世之介の「善良」は変わらない。
これって凄いことではなかろうか。

前作から登場人物は総変わりし、大学時代の親友であるコモロン、女だてらに鮨職人を目指す浜ちゃん、そしてヤンママの桜子とその息子・亮太。
彼らの人生に大して大きな変化を与えたわけではないかもしれない。
でも、世之介がいたからこそ確実に変わったといえる部分もある。
世之介と出会わなかった人生より、出会った人生の方がちょっと良かったと思える。
そんな人間であることは前作から変わらない。

前作と違うのは、人生のダメな時期であること。
そして人生のダメな時期にあっても、決して後ろ向きなだけではない。
ダメな時期だったからこそ浜ちゃんや桜子や亮太と出会えた。
だから人生のスランプ、万歳! そう言える世之介が羨ましく見えてくる。

やっぱり、凄い事件が起こるわけではない。
平和で、退屈で、でも温かい日常。
また世之介のいる空気に浸れる。
それを望んでいるならば、手に取って間違いない一冊。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

これが出たということは、さらに続編が出てもおかしくないですよね!
働くようになった世之介も見てみたいなー。

 

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