【作品情報】
作品名:月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい 1
著者:黄波戸井ショウリ
ページ数:285
ジャンル:エンタメ
出版社:オーバーラップ
おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
ミオさんの可愛い度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 社会人が主人公のラノベとか読んでみたい
ブラック企業で働いている主人公の松友裕二。
当然のように終電に乗って深夜にマンションに帰ってくる、隣に住むOLの早乙女ミオが家の鍵をなくして立ち尽くしていた。
見かねた裕二は自分の部屋からベランダ伝いにミオの部屋に入ると、玄関の鍵を開けてミオを出迎えた。
「おかえりなさい。今日は大変でしたね」
という言葉と共に。
月収50万(手取り)というスーパーOLのミオだが生活無能力者で人間不信のミオは、その何気ない一言が心に突き刺さった。
そしてミオは言う。
「月30万で裕二を雇う」と。
お隣さんを「お帰りなさい」と出迎える仕事で月30万!!
まあ、そういうありえない設定は別にラノベだから構わないのです。
この作品を手に取ってみようと思ったのは、主人公達が社会人というのが珍しかったから。
で、実際に読んでみると、給料のこととか、有給の取得の事とか、休日出勤や代休のこととか、労基とか下請法とか、働いている人なら頷いてしまうことが書いてあるのが笑えます。
深く突っ込んで書いているわけではありませんが、簡潔ながらもちゃんとそういう社会人ぽいことが書かれているのは、なんか嬉しい(?)ですね。
そういうところは、さすがに学生の読者さんとかは伝わりづらいか?
美人の年上のOLさんを出迎える仕事。
それもう半同棲じゃない、どんだけイチャイチャでエロいハプニングとか起きるのよ!?
と期待させるような設定ですが、意外とそうではない。
というのも、このヒロインのミオさんがなかなか厄介なもので。
とにかく極度の人間不信で、あくまで「契約」でないと納得しないというか、納得できないというか、しない。
なので、休日に買い物に行きたいということでも、気軽に付き合いますよというわけにはいかない。
なぜならそれは契約に違反するから。
ならば休日出勤という形にして、別に日に代休を取得しなければならない。
あくまで仕事の延長ということで、デート気分なんて吹っ飛ぶし、仕事として行動しないとミオが納得して動いてくれない。
なんで、そこまでこじらせているだ・・・
仕事でストレスが溜まると幼児退行して隙だらけになるミオですが、それに付け込んだら恐らくミオとの契約は終了する。
だから裕二も線を引いている。
だけどお隣さんとして、また近くでミオを見ている一人の男として、色々と放っておけない危うさがある。
それを、立場をわきまえた上で解決に持っていこうとする裕二の思考と行動、実はかなり優秀なやつなんじゃ?
なんでブラック企業に入っちゃったんでしょうね。
この二人以外に、裕二が勤めていたブラック企業の同期である友人と後輩の女の子も良い味を出している。
現時点ではラブコメに至っていないが、これから二人の感情は変わっていくのか?
もう少しミオには普通というか、恥じらいを持ってほしかったかなぁ。
幼児退行はともかくとして、女性としていきなり裕二に対してあそこまで許してしまうか?
まあ、ラノベなんだけど。