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ミステリー 書評

【ブックレビュー】水族館の殺人(著:青崎 有吾)

更新日:

【作品情報】
 作品名:水族館の殺人
 著者:青崎 有吾
 ページ数:366ページ
 ジャンル:ミステリー
 出版社:東京創元社

 おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
 タイムチャート大変度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : キャラの立った本格ミステリーを楽しみたい

 

■作品について

裏染天馬の活躍するシリーズ第二弾。
殺人が起こったのは水族館、観客の目の前でサメの水槽に落ちてきた被害者。
サメに食われ、被害者の体は・・・
誰も被害者を襲う時間などなかったとしか思えない難解な事件に、天馬が挑む。

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■良かった点

1作目よりもさらにキャラクターが立っている。
特に八橋千鶴は素晴らしい。
もう彼女のキャラクターは「これでもか」ってくらいで、読んでいて笑えてくるのが良い。
って、物語の内容とは全く関係ないが、天馬、柚乃、香織、袴田兄、仙堂と、おなじみの登場人物たちのキャラクター付けはさらに強化されており、お約束の域になっている。
だからこそラノベ的であり読みやすさを与えている。
前作で登場した人物達も脇役ではあるが登場し、良い味を出してくれているのも良い。学園物は、こういう生徒同士のつながりというのも読んでいて楽しいものだ。

一方で謎解きは本格。
容疑者11人は、それぞれがそれぞれのアリバイを補完し合う、あるいは逆に誰もがアリバイをもたない時間帯など、悩ませるに十分な状況を作り出している。
ならばどこかに齟齬があるはず。
それを、殺人現場の状況や、容疑者たちの行動、水族館内の各所や物の状況をもとに、一つずつ謎を解いて真相に近づいていく推理はまさに本格。
その謎解きも、順調に行われていたかと思うと、途中でひっくり返るなど、読み手を悩ませ楽しませる要素も十分。

更に物語としては天馬の妹、鏡華も登場し、天馬の謎といったものも少しずつ明かされていく気配が。
単にミステリーとして事件があるだけではなく、登場人物たちの物語も進んでゆく。
シリーズが終わる時に、天馬の謎や、登場人物たちの関係がどうなっているのかを楽しみにしたい。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

容疑者たちの行動が細かすぎて追えないというか、よくそこまで細かい時間を覚えているなあと。
あとはまあ、天馬が色々と推測をしていくわけですが、やはりトリックとか、論理展開とか、強引に感じる部分はある。
確かにそうも考えられるかもしれないけれど、別の考え方もできなくない? と。
それと、柚乃の卓球シーンは必要だったのか? まあ、事件というよりも、天馬や柚乃の物語としてのところで意味があるのかもしれませんが。

 

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