【作品情報】
作品名:未来からの脱出
著者:小林泰三
ページ数:288
ジャンル:SF、ミステリー
出版社:KADOKAWA
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
こんな未来あるかも度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 未来を想像してみたい人
老人ホームのような施設で平穏な生活を送っていたサブロウ。
しかしある日、自分はなぜこの施設に入っているのか、自分は何者なのか、そういった記憶が全くないことに気が付く。
不審に思っていると、謎のメッセージを発見する。
「この施設は監獄である」
と。
サブロウは施設の中で仲間を見つけてチームを作り、施設からの脱出を試みるが・・・・?
謎の施設で生活しているサブロウ。
だが、過去の記憶が全くないことに気が付いて施設に対する不審を覚えるようになる。
施設の中でサブロウ達老人を介護する者達は謎の言語を使用して、会話を拾うことはできない。
また、施設の外に出ることも出来ない。
自分達はなぜこの施設に入り、出ることも出来ないのか。
- 思慮深く戦略を立てることの出来るドック
- コミュニケーション力が高く情報収集に長けているエリザ
- 機械に強いメカニック担当のミッチ
三人の仲間を見つけてチームを作り、老人たちは脱出を目指す。
というところで物語の初めから謎しかない展開である。
- 果たして施設の外にはどのような世界が広がっているのか?
- 施設の目的は?
その興味を読者に持たせて読ませていく。
この物語はSFである。
構成は、いわゆるロボット三原則を軸にして、AIの発達、人類とAIの共存からその先、デザイナーズベイビー。
といったところを描いている。
ただの空想・妄想ではなく、もしかしたらこんな世界になるかもしれないと思わせる。
そんな世界を、読みやすくわかりやすい筆致で描いていくのは小林さんの妙であろう。
小林さんらしいグロは、ほぼほぼ抑えめ。
そこには期待しないでおきましょう。
なかなか突飛なところもあるけれど、未来への想像力を働かせた一作。
作品の帯に「脱獄ミステリ」とありますが、あまりそういう感じは強くない。
脱獄よりかはやはりSFの方が重きを置かれている。
だから脱獄モノに期待して手に取ると少し肩透かしになるかもしれない。