書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

マリア様の愛読書

ノーマルCP マリア様がみてる 可南子

【マリみてSS(可南子×祐麒)】心地はいかが?

更新日:

 

~ 心地はいかが? ~

 

 

 夏休みも終わりかけの金曜日、午前中はいつものように可南子とバスケの練習を行う。
「ねえ可南子ちゃん、夏休みももうすぐ終わりだし、勝負しない?」
 アップついでのドリブル練習をしながら、髪の毛を束ねている可南子に話をもちかける。
「勝負はいいけれど、夏休みが終わりは関係あるの?」
「勝った方がこの土日、負けた相手に好きな命令を出来るっていうのは?」
「…………えっちな命令するつもりでしょう?」
「いやいや、そういうのはなしだよ、こういう場合は」
「本当かしら……」
 疑いの眼差しで見つめてくる可南子だが、祐麒も嘘をつくつもりはない。要は夏休み最後の土日を、可南子と少しでも長く過ごすためのものだから。
 祐麒が勝てばどこか遊びに誘ってデートが出来るし、負けたとしても可南子の命令を聞くということで、可南子の側にいることができる。どちらにしても、損はない賭けになる予定だ。
「ふん、いいわよ。どちらにせよ、負けるつもりはないから」
「そうこなくちゃ。そんじゃ、そろそろ勝負いきますか」
 リングの近くまでドリブルで走り、レイアップシュートを決める。落ちてきたボールを可南子が拾い、少し離れた場所からジャンプシュート。リングに当たって跳ねたボールは、再び祐麒の手に。
「あらら、大丈夫、可南子ちゃん?」
「うるさいわね、本番で入れればいいのよ」
「本番で……入れる……くぅ」
「何、一人で唸っているの?」
「いやいや、なんでも。はは、それじゃあ勝負と行こうか」
 二人の勝負が、始まった。

 

 家に帰ってシャワーを浴び、昼飯を食べてからは図書館に行って溜まっていた夏休みの宿題を片づける。
「――まったく、最後までためておくから、最後に苦労することになるのよ」
「そういう可南子ちゃんは、なぜここに? 宿題はもう終わっているんでしょ?」
「私はただ、勉強しに来ただけよ」
 隣の席には、可南子が座って参考書を広げて勉強をしている。
 既に夏休みの宿題は終えており、高校一年生だから慌てて受験勉強をするほどのことはない。だというのに夏休みにわざわざ図書館まで来て勉強するなんて、余程真面目なのだろうか。
「あとはまあ、敗者のみじめな姿でも見てあげようかと」
「はい、すみません、でも宿題終わるまで待ってよ」
 バスケの勝負は結局のところ、祐麒の完敗に終わった。いつもだったらもう少し接戦になるのだが、今日の可南子は絶好調で、かなり一方的に負けてしまった。悔しいがこういう日もある、仕方がない。
「分からないところでもあったら、教えてあげようか?」
 可南子が祐麒の手元を覗き込むように、体を寄せてくる。
 すると、可南子もシャワーを浴びたのであろう、フローラルなシャンプーの香りが髪の毛から、そしてほんのりと汗の匂いが可南子自身から発せられるのを感じる。
 ちょいと視線をずらせば、カシュクールシャツの下のタンクトップの胸元が目に入る。別に中が覗いて見えるわけではないが、それでもついつい、目がいってしまうのは男の性である。それに、胸が見えなくても、影が見えるだけでも嬉しい。
 バスケの練習中は、バスケに集中しているのでそこまで気にならないのだが。

「あれ、ユウキって二年生?」
「そうだよ、今さら何を。一年生の可南子ちゃんに、二年生の問題を教えることができるなら、是非、教わりたいなぁ」
「くっ……宿題は、自分の力でやりなさいよね」
 悔しそうに、可南子は体を戻して自分の広げた参考書に目を移す。
 祐麒は苦笑が顔に出ないようにしながら、宿題を続ける。
 集中して問題に取り組むが、隣の可南子は明らかに集中力を欠いていた。ツインテールにした長い髪の毛を指でいじったり、ノートに何やら落書きしたり、欠伸をしたり。時々、祐麒にちょっかいを出したい素振りを見せるが、どうにか堪えているのは祐麒が真面目に宿題に取り組んでいるのがわかっているからだろう。

 途中で休憩のために席を外し、可南子とジュースを飲んで他愛もない話をする。
 勉強に戻ったが、やはり可南子の集中力がないので、祐麒も勉強をきりあげることにした。さすがに、可南子に先に帰れば、なんてことは言わなかった。
「何よ、閉館時間までまだ時間あるのに、もう切り上げるの? 集中力がないわね」
「ずっと続けるのも疲れるしね」
 肩をすくめ、道具を片づけて図書館を出る。

 夕方の時間帯とはいえ、まだ8月、太陽はまだまだ強い力を放っている。自転車のサドルに跨りながら、可南子を見る。
「あれ、可南子ちゃん、歩き?」
「……家を出るとき、乗ろうとしたらチェーンが外れて」
 ふてくされたように口を尖らせる可南子。
 ということは、わざわざバスを使用してやってきたということか。
「オーケイ、それくらいだったら俺が直してあげるよ」
「別に、頼んでいないし」
「いいじゃん、どうせ今日はこの後、可南子ちゃんの家でパーティなんだから」
 実は可南子の母の美月の誕生日ということで、お祝いにパーティという名の食事会を可南子の家で行うことになっていた。なぜか祐麒も呼ばれており、有難く招待を受けることにしたのだ。
「まあ、そうだけど」
「ついでに、買い物もしていかないとね」
 豪勢な手料理を、とも思ったが、可南子も祐麒も料理はたいしたものができないので、素直に買うことにしたのだ。料理以外にも、ケーキや飲み物も買わなくてはいけない。
 プレゼントは既に、購入してある。
「それじゃあ、行こうか」
 目配せで、後ろの座席を示す。
「な、何よ?」
「乗っていきなよ」
「二人乗りは、禁止よ」
「いや、まあ気を付けるし」
「理由になっていないけど?」
「サンダルじゃ、走ってはついてこられないでしょ」
 そう言うと、可南子もそれ以上は拒まなかった。
 荷物を籠に入れると、後部座席に横座りになる。
「振り落とされないようしがみついてね、こう、胸をぎゅっと当てる感じで」
「サイテー、馬鹿、エロ!」
 可南子の悪口を耳にしながら、発車する。

 風を切って走る自転車、後部座席には可愛い女の子、本当はいけない二人乗りだけれどそんなことではやめられない。
 すぐに買い物に行くのも勿体ないので、サイクリングがてら適当な道を走っていく。可南子も特に文句を言わないのでいいだろう。
 後ろから抱きついてくれないのは残念だが、それでも時折は可南子の肩や腕がぶつかってくるので、なんだかそれだけで嬉しくなる。
 だから調子に乗って少しスピードを上げたりなんかしたのだが、そういう時にこそ何かが起こる。
「――あ、ちょ、ユウキ前、猫っ」
「え? うわ、わっ!」
 道に突然、子猫が飛び出してきたのだ。
 スピードが出過ぎていたこともあり、慌てて軽くハンドルを切ったつもりが思い切りバランスを崩し、おまけに後部座席に可南子が乗っていたことも災いして踏ん張り切れずに倒れてしまった。
 派手な音を立てて転倒し、道路に投げ出される。
「いっつ……って、可南子ちゃん!?」
 自分なんかのことより、可南子だ。
 振り返ると、可南子がぐったりと倒れている。
「か、可南子ちゃんっ!?」
「だ……大丈夫……それより、猫は?」
 ゆっくりと体を起こし、頭を抑えながら可南子は問いかけてきた。見れば、猫は驚いて走って逃げていくところだった。
「猫は、無事だったよ。向こうに走って行った」
「そう、良かった……つっ」
 顔をしかめる可南子。
 特に血は出ていないようだが、頭を打ったようだ。
 周囲を見回すと、幸か不幸か人の姿はなかった。可南子を支えながら立たせると、転んだので擦り傷などはあるが、大きな怪我はなさそうだったが、頭を打ったことだけが心配だった。
「大丈夫よ、ちょっとクラクラしているだけ」
「危ないって、頭は危険なんだから、ちゃんと病院で診てもらった方が」
「少し休めば平気だってば」
 祐麒の責任でもあるし、何かあるといけないから医者に診せたいとも思うのだが、可南子が頑なに拒否をする。仕方がないので、とりあえず近くの公園に入って少し休みを取ることにした。

 自販機で冷たい飲み物を買ってきて、ベンチに腰を下ろす。可南子は飲み物を受け取って口にすると、軽く息を吐き出して頭をゆるゆると振る。
「可南子ちゃん、横になって」
「…………嫌よ、そんなの」
「変なことしないって。ベンチ汚れているし、少し休んだ方がいいし」
「うぅっ……」
 本気で嫌そうな顔をして逡巡していた可南子だが、頭を手でおさえて顔を顰め、やがて渋々といった様子で祐麒の太腿の上に頭を乗せて横になった。膝枕である。
「ぜっっったいに、変なことしたり、触ったりしないでよね」
「しないって、こういう状況で」
 足に触れる可南子の頭と髪の毛の感触を確かに感じつつ、それでもさすがに今の状態でやましい気持ちを持つことはない。と思いたい。
 しばらくそんな風に休んでいたが。
 公園を散歩している老人や、中年夫婦や、子供たちが、何やら祐麒達の方をみて微笑ましい視線を向けてくるのに気が付いた。
 どうやら若いカップルが仲良く膝枕をしていると勘違いされているようだと気が付く。まあ実際、見た目はその通りにしか見えないのだろうが。
「――――――――っ?」
 もぞりと、可南子が動いた。上から見下ろすと、顔を赤くしながら他の人の視線を受け止めているようで、可南子も気が付いたみたいだった。
「ちょっ……じょ、冗談じゃないわよっ」
 怒ったように言う可南子。
「……って、え、可南子ちゃん、な、何を」
「う、うるさいわね、誰かに顔を見られたら嫌じゃない」
「いや、そう言っても、だからって……」
 もぞもぞと可南子は体を動かすと、先ほどまでとは反対に顔を祐麒の腹の方に向けるようにした。確かにその体勢なら可南子は顔を見られないかもしれないが、逆に危険な気がする。
 正面から見たら可南子の頭部は祐麒の股間を隠すような位置にあるわけで、今の二人の位置関係は見る人から見たら、アレな感じに見えるかもしれないではないか。
「か、可南子ちゃんっ」
「うるさい~~、動くな」
 むすっとしている可南子。
 まあ、そこまで人通りが多いわけでもないし、普通に見ればいかがわしいことをいしているなんて見えないだろうから、少しくらい我慢することにした。

 

 ……のが間違いだったかもしれない。
 その後、可南子は見事に寝てしまい、かれこれ一時間ほどが経過していた。足の上で眠られては動くことも出来ず、ただ座ってじっとしているだけだった。夕方とはいえまだまだ暑く、日陰ではあるものの汗が滴るのを止めることは出来ない。おまけに、やっぱり何人かの人にはどうも変な目で見られてもいたようで、肉体的にも精神的にも削られる一時間だった。
 それでもまだ目を覚まさないので、さすがに少しくらい意地悪をしてみたくなってきた。とはいっても転んで怪我をさせたのは祐麒なので、変なことをするわけにもいかず、黙って頭を撫でるだけにした。
 可南子の長い髪の毛はきちんと手入れがされていて、さらさらと指に引っ掛かることもなく流れる。
「ん……にゅ……」
 撫でると、そんな変で可愛らしい声を漏らしたので、調子に乗って更に撫でる。
 寝ている可南子も暑いのであろう、汗の滴が額などに浮き上がっているが、それでも起きないのは余程疲れているのか。
 しかし、いつまでも休息しているわけにもいかない。そろそろ、買い物に行って支度をしないと美月が帰宅してしまう。
 申し訳ないが起こそうと、声をかけようとする祐麒だったが。
「――あれ、祐麒くんじゃない」
 という声に思わず固まる。
「それに、可南子…………って……」
「いっ――――!?」
 姿を見せたのは美月その人だった。会社からの帰り道がこの公園なのか、他の用事でやってきたのかは分からないが、正面から祐麒に手を挙げた状態で固まっている。
「い、いや、変な勘違いしないでくださいよ、美月さ――」
「ん……ふわ」
 声を聞いてか、それとも動いてしまったせいか、可南子が同じタイミングで目を覚ました。
 可南子はゆっくりと顔をあげようとして、動きを止める。
「あ……ごめん、な、なんか汚しちゃった……」
 見ると、祐麒のズボンの股間部分には、可南子の涎が盛大に垂れて染みを広げていた。
「な、何か拭くものは……あ、ティッシュある」
 ポケットティッシュを取り出し、祐麒の股間を拭こうとする可南子に慌てる。
「だ、大丈夫だから、そ、それより可南子ちゃんの口のまわりの方が」
「ん……やだ、べたべた……んんっ……」
 寝涎で口の周りが汚れていることに気が付き、舌で舐めて手の甲で拭い、さらにティッシュで口を拭いて口内に溜まっていたらしき唾液をティッシュに吐き出す。
「なんか、ごめん、随分と時間経っちゃった……? なんか気持ち良くなっちゃって……ゆ、ユウキは、大丈夫だった……?」
「いや、それより、あの」
「ん……あれ、お母さん?」

 そこでようやく祐麒の視線を追いかけて、美月の姿を認める可南子。
 一方で美月は祐麒の股間の染みを見て、どこか火照った顔をしていて瞳もとろんとして口から何やらティッシュに吐き出した可南子を見て、ほんのりと赤面する。
「い、いやぁ、可南子も本当、意外に大胆なことするわよね。確かに、こういう外でっていうのも刺激的で、したくなるのも分かるけれど……ちょっと祐麒くん、まさか無理矢理ってことしてないでしょうね?」
「あの、美月さん違うんです。誤解しないように……」
「べ、別に無理やりってわけじゃないわよ。そりゃ、私だってこんな場所でっていうのは少し恥ずかしかったけれど、私もちょっと、そうしたい気分だったから……」
 恐らく祐麒に膝枕されていることを見られたと、そのことに対するコメントなのだろうが、確実に美月は異なる風で受け取っている。
「そ、そう、なんだ……可南子もたいしたものね……」
「そ、そんなことないってのに。なんなら、お母さんがしてあげたら?」
「え……ええっ!? わ、私が? え、でも、いいの?」
「べ、別に、それ(膝枕)くらい……ゆ、ユウキだって嬉しいんじゃないかしら、私なんかにしてもらうよりお母さんの方が気持ちいいだろうし」
 バスケで鍛えている可南子の太腿は細く引き締まっているが、その分、柔らかさという点では欠ける。比べてみて、美月の方は足が太いなんてことはないが、それでも適度に女性らしい柔らかさを持っており、膝枕をするならば確実に美月の方が気持ち良いだろうと可南子は思ったのだが。
「え……ちょ、なんで可南子がそんなこと分かるわけ……ま、まあ、確かに得意では、って何を言わせるのよ!?」
 美月は全く別の意味にとらえ、珍しく可南子に圧されて赤面し、しどろもどろになっている。
「でも、ホントにいいの? そんな、私の方が嬉しいって、えと、祐麒くんがそう言ったの? そ、それって、祐麒くんが私のことをってこと……? 可南子はそれでいいの?」
 赤くなった美月は、そっと可南子に近寄って耳元で囁くようにして尋ねる。
「私は……別に」
「えと、じゃあ、それ以上先に進んでも良いってことなのかしら?」
「それ以上、って?」
「えーと、何、私に言わせる気? 要は、可南子と祐麒くんが私がいない時にいつもしているようなこと」
「……?」

 可南子は考える。美月がいない時に祐麒としていることといえば、バスケのことだろうか。美月も学生時代はバスケ部だったというし、仕事で運動不足だから久しぶりにやりたいということか。
 しかし、それで祐麒を相手に選ぶというのはちょっとばかり解せない。
「それだったら、私も一緒なら」
「そう……って、え、可南子も一緒って、さ、三人でっ!?」
「うん。大体、私がいるのになんで祐麒となのよ」
「まあ、そりゃそうだけど……え、ええ? それって何、私って『二人目』の位置づけならいいってことなの? ていうか私だって三人でなんてしたことないのに、それが娘と!? ちょ、え」
「お母さん、さっきからどうしたの? 何か変だけど」
「へ、変? 私が? え、今時ってそれが普通なの? む、娘の意外な成長についていけないんだけど……可南子が良いっていうなら……」
 両手で赤くなった頬をおさえ、チラチラと祐麒に目を向けてくる美月。
「そ、そうね……じゃあ、今度は一緒に」
「あの、美月さん、可南子ちゃん。合っているようで、絶対に絶妙に噛みあっていないと思うんだけど、会話」
「あ! そうだ、お母さんといえばパーティの買い出ししないといけないじゃない! もう、何してんのよユウキったらっ!」
「え、ええーーーっ、俺っ!?」
「あら、これから買い物だったの? それじゃあちょうどいいわ、三人で一緒に行きましょうよ」
「お母さんが帰る前に終わらせておくはずだったのに、もう、仕方ないか」
 立ち上がる可南子。
「あら可南子、肘とか膝、擦りむけているけれど」
「ああこれ、ユウキのせいよ、これだって。酷いんだから」
「――――あ、もしかして野外でバックからとか…………?」
「ああもう、二人は余計な会話しないでくださいよっ!」
「あら何よ、母娘の会話なんだからいいじゃない」
「あ、自転車? 丁度良かった、後ろに乗せてよ。ほら、背中からギュッとしがみついて、"あててんのよ"っての、してあげるから」
「ちょ、お母さんっ!?」
「いーじゃない、これくらい。可南子はさっきまで散々、いーことしていたみたいだし」
「そ、そんなんじゃないし!」
「何よ真っ赤になって、いやらしい」
「お母さんでしょう、いやらしいのはっ」
 三つの影が並び、やがて動き出す。

 それは夏の終わり、夕暮れ時の公園の中でのことだった。

 

おしまい

 

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