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【マリみてSS(加東景)】加東景の崩壊

更新日:

 

~ 加東景の崩壊 ~

 

 

 景は街を歩いていた。お世話になっている弓子さんの誕生日が近いので、お祝いのケーキを買うべく、某有名ケーキ店に向けて足を運んでいた。
 駅前の大通りを闊歩する。
 眼鏡の奥の瞳は涼やかに。
 揺れる黒髪は爽やかに。
 桜色の唇は艶やかに。
 背筋を伸ばし、風を切るようにして歩く様は、本人の意思に関わらず見るものをひきつける。
 ブラックのセーターの深めの襟ぐりの下に除くインナーは、ホワイトのカットソーブラウス。前後にタックを施したブラックのミニスカートをあわせ、足元はニーハイブーツ。凛々しさと可愛らしさ、大人っぽさと少女らしさを併せ持った雰囲気は、道行く人々(10割が女性)の目を奪ってやまない。
 もちろん、景自身は意識することなど無いが、自然と街の少女達の心をとらえてゆく。

 それが目に入ったのは、景の足が街の大通りに入ってしばらくしてから。何気なく、ビルとビルの間の細く暗い道に目を向けると、何やら物々しい雰囲気が感じられた。気になって薄暗い道に踏み入ると、数人の少女の姿が見えた。制服を着用しているところから、高校生くらいだと見える。
「あんた、ムカつくんだよね。教師にいい顔しちゃってさ」
「ほら、何か言うことないの?」
 どうやら、一人の少女を他の三人で囲んで罵倒している。いじめのようだ。
 少女達は景には気づかず、いじめを続けている。いじめている側は、茶髪で長髪の子がリーダーのようで、他は唇にピアスをしている子と、可愛らしいリボンをつけている子。
 一方、いじめられているのはショートカットの女の子で、この子が一番可愛くて景の好みであった。
「いい子ぶってんじゃないわよ?!」
 見ているうちに、ピアスがとうとう手を上げた。強い平手打ちは、ショートカットの子が首を痛めるんではないかと思うほどであった。唇を切ったのか、叩かれた方は口の端から赤いものが滲み出ている。
「あ、あたしは別に、そんな……」
「口答えするの?」
 更にリボンが手をあげようとしたところで、いつまでも見ている場合じゃないと、景は止めに入った。
「いい加減にしなさい」
 リボンの手首を掴む。
「な、ナニよ、あんた?」
「部外者が正義ぶって、でしゃばってこないでよ」
「何があったか知らないけれど、大勢で一人を囲んで、みっともないわよ」
「偽善者っぽい言葉ね」
 茶髪が強い視線で睨んでくる。もっと、笑顔を見せれば可愛いと思うのだが。
「ちょっと、離してよっ」
 ヒステリックに叫ぶリボンだったけれど、景は当然、離すことなどせず更に腕を捻り上げる。背中に腕を持っていかれて完全に自由を奪われたリボンの子は、悲鳴を上げる。
「やだ、痛い痛いっ。離して……っ」
 しかし景は彼女の腕をキメたまま、もう片方の手で肩を掴んで無理矢理に上体を起こし、痛がる少女の耳元に口を寄せる。
「こんなことしていて、何が楽しいの?」
「ふあぁっ、や、耳は弱いの、らめぇ……」
「え、ちょっと?」
「いやぁ、痛い、のに、なんでこんな……あぁもっと……痛くしてください」
 息も荒く喘ぐようにしながら、リボンの子は甘い声を漏らしだした。
「ちょっと、ふざけていないで」
「あ、痛い、でもそれが堪らないカモ……あ、あああっ」
 悲鳴を上げながら、地面に崩れ落ちるリボンの子。
 その様子を半ば呆然と見ていたピアスが、我に返ったかのように景に詰め寄ってきた。
「アンタ、ミカに何したのよっ」
「ちょっと、サヤカ」
 どうやらピアスの子はサヤカというらしい。真っ先に平手打ちをしたところからも、彼女が一番頭に血が昇りやすいようで、今も凄い形相で景に向かってきていて、その勢いのまま短いスカートから下着が見えるのも気にせずに蹴り上げてくる。
 だが景は冷静に蹴りの軌道を読み、足を掴んで蹴りを止める。
「わっ、ちょっ」
 片足で立つ格好となったサヤカは、バランスを取ろうとするが取りきれず、そのまま後ろ向きに倒れてゆく。
 そのままであったら後頭部から硬いコンクリートに激突して大怪我をしていたことだろう。だが、景が素早くサヤカを抱き寄せて、惨事となるところを防ぐ。

「大丈夫、あなた?」
「な、なんだよ。そんなことしたって、別に恩に着ないから……って、どこ触ってんのよっ?!」
 無理な体勢でサヤカをかばったせいか、今の二人は変な格好になっている。サヤカの後ろから景が抱きしめる格好となっており、その景の手はサヤカのブラウスの中に入り込んでいた。ついでにいうとブラジャーもずれて、景の手はサヤカのナマチチを掴んでいた。
 慌てて外そうとするものの、ブラウスのボタンと景のセーターが絡んでしまって外れない。
「やだっ、あ、そんな……だ、だめっ……」
 外そうと動くことが、結果的にサヤカの胸を揉む格好となる。サヤカの胸は小ぶりであったが、その分感度は良いようだった。
「ご、ごめんね。ちょっと、すぐに外すから……」
 もう片方の手で服をおさえようとしたが、生地に滑った。
「わっと」
「ひゃんっ?!」
 その手は勢いよく滑り落ち、サヤカのお尻に達した。景の指が、サヤカのお尻を刺激する。
「うああっ?! そんな、お、お尻でなんて……あ、あ、ダメぇ……」
 サヤカの体が、ぶるっ、と震える。
 次の瞬間。
 サヤカのスカートに染みが広がった。
「や、やだ、駄目駄目っ……?!」
 なんと、失禁したのだ。
 サヤカは涙目になって、いやいやをするように首を振るが止まらない。サヤカの太腿を伝い、足元に水溜りをつくってゆく。
「うああぁ、ヤダ、あたし……ふああぁんっ」
 随分と長い時間をかけてようやく止まったが、サヤカは自分の作った水溜りの上でただ体を震わせて泣いていた。それはそうだろう、年頃の少女が友人達の前でお漏らしをするという醜態を晒してしまったのだから。
 景は多感な年頃の少女を慰めるべく、そっと手を頭に置いて優しく撫でる。
「ほら、もう泣かないで。大丈夫だから、ねっ?」
「で、でも、あたし……ひっく、こんなとこ見られて……もうダメだよ」
「ダメなんかじゃないわよ。サヤカちゃん、だっけ? さっきのサヤカちゃん、とっても可愛かったもの」
「……え?」
 ようやく、サヤカの目が景に向けられる。
 景は正面からサヤカの瞳をとらえ、指を頬に添える。
「羞恥に震えて泣いているサヤカちゃん、可愛かった。その前までの強気な姿とのギャップもあってか、私もキュンとしちゃったわ。もしも、さっきのことでサヤカちゃんをいじめるような人がいたら、私がサヤカちゃんを守ってあげるから」
「ほ、ほんとう……?」
 サヤカの目は潤み、頬は紅潮している。
 景は優しく微笑む。
「ええ、もちろん。だから、気にしなくていいのよ」
「あ、あの……ええと」
「ああ、私? 私は、景」
「は、はい……け、景さまがそう言うなら……景さまが可愛いって言ってくれるなら私、その、また……」
 サヤカは手でスカートを抑えもじもじとしながら景を陶然とした目で見つめていた。
 茶髪の子は、二人の仲間が堕ちて行く様を唖然としながら眺めていた。景はとりあえずその少女を置いておくと、いじめられていた少女の方に顔を向けた。
「あ……あなた、何物なのよ」
 怯えたような目を向けてくる少女。
「可哀相に、可愛い顔が台無しよ。ほら、血が出ている」
 そう言うと景は、怯える少女の両頬を手で挟んで引き寄せると、血が滲み出ている唇の端に、自分の唇を寄せた。
「な、何をっ!」
「ほら、動かないで」
 口付ける。
 舌で、血を舐め取ってあげる。
「……はい、これでよし、と」
「あ、あ、あ……」
 少女は、真っ赤になって硬直していた。
 すると。
「―――あ、あんたっ、ユカリに何しているのよっ?!」
 残っていた茶髪少女が、凄い剣幕で睨みつけていた。
 景は振り向き、茶髪の子を見据える。一瞬、後ずさりそうになる少女であったが気丈に踏みとどまり、気合を入れて見返してくる。
 その様子を見て、景はピンときた。
 つかつかと歩み寄り、茶髪の子の前に立つ。
「な、何よ。大体ね、ユカリをいじめるのはあたしの特権なの。ユカリはあたしのモノなんだから、部外者は引っ込んでて……」
 最後まで言わすことなく、景は少女の頬を張った。
 小気味良い音が、狭い通路内にこだまする。
 頬を叩かれたということを理解した少女は、信じられない、といったような呆けた表情をしていた。
「ちょっと、アズサっ?」
 いじめられていたユカリという少女も、驚いたように声をあげる。
「そう、貴女はアズサっていうのね。アズサちゃん、なんで貴女、ユカリちゃんをいじめたりなんかしたの? 貴女の本心じゃないでしょう」
「う、うるさいわねっ。いじめたくなったからいじめたのよ。それだけだってば!」
「嘘おっしゃい。貴女、ユカリちゃんのこと好きなんでしょう?」
「なっ……!!」
 途端に、アズサの顔が真っ赤に茹だる。
「……え、アズサ、そうだったの……?」
「ち、ちがっ……わ、私は別にっ」
 否定しようとするアズサだったが、態度が何より肯定してしまっている。首まで赤くしてうろたえている姿は、どんな言葉よりも明確に彼女の想いを現していた。
「好きなのに、なんでいじめたりなんかしたの?」
 景の問いに、アズサは拳をぎゅっと握り、俯いたまま吐き出すようにして言う。
「……だって、中学まであたしが一番ユカリと仲良かったのに、高校に入ってからユカリ、ユリエと仲良くなって。あたしのこと、あまり構ってくれなくなって」
「え、ちょっと、違うのよアズサ。あれは、ユリエの方が一方的にあたしに言い寄ってきて……ユリエと仲良くしないと、アズサの恥しい秘密を学校内に言いふらすって。だからあたし、嫌だったけどユリエと……あたしだって、アズサのことが一番好きよ!」
「あ、え、ユ、ユカリ……?」
 ぽーっとしているアズサ。
 景は、うんうん、と頷く。
「ほら、誤解もとけたようだし、今までのこと謝って仲直りしなさいな」
「え、で、でも、どうしたら」
「こういうときはやっぱり、友情の熱い抱擁でしょう」
 景は笑顔で、アズサの背を押した。
 ユカリの方によろめいたアズサは、そのままの勢いで。

 ぶちゅっ

 ユカリにキスをしてしまった。
「―――あ」
 開いた口を手で抑える景。
 その目の前で、二人の少女の口付けはまだ続いている。
「ん……ゆ、ユカリぃ……」
「ちゅ……ふ……アズ……サぁ……」
 長いキスだった。唇が離れる頃には、二人の口の周りはお互いの唾液でべたべたになっていた。
 顔を赤くし、半ば虚ろな瞳でユカリのことを見つめていたアズさだったが、不意にその体が震える。
 よく見ると、ユカリの手がアズサの大きな胸とお尻を掴んでいた。
「やあ、ちょっと、ゆ、ユカリ……?」
「ふふ、アズサ。今まで苛めてくれた分、たっぷりと仕返しにイジめてあげるからね」
 目を細め、口の端を歪めるユカリ。
 一方のアズサは、眉根を下げ、泣きそうな顔をしてユカリのことを見つめる。
「そ、そんな……あ、うあっ」
「こんな大きな胸しちゃって……さぞやエッチなことしているんでしょう」
「そんなことな……うああぁ、こ、この胸は、ユカリのためだけにぃ……」
「じゃあ、私が好きなようにしていいわよね」
「ひああっ!」
 ユカリの手が、妖しく蠢く。
 小柄で可愛らしい顔立ちをしたユカリの方が攻め手になると、どこか背徳的な雰囲気が感じられてそそられる。アズサの方は苛めていたときの強気の表情は消え去り、怯えた顔をして、でもどこか嬉しそうな、陶然とした表情でユカリの責めを受けていた。
 見渡せばいつの間にか路地裏は、絡み合う二人の少女、地面に倒れて陶然としている少女、壁に寄りかかるようにして濡れたスカートを抑えてトリップしている少女によって生み出された濃い空気で満たされていた。
 景は頭をかき、ため息をついた。
 すると。

「―――さすがね、景さん。いじめている側の真の属性を瞬時に見抜き、痛み責め、羞恥プレイと、それぞれに適したM系に手なずけるなんて」

 いきなり、声がした。そしてろくでもない分析。
 声がした方に顔を向ければ、大通りを背にして立つ人の影。
「あなたは……えと……カニさん?」
「蟹名静ですっ!!」
 そう、そこに立っていたのはリリアン発の歌姫、ロサ・カニーナこと蟹名静であった。
「噂のゴールデン・フィンガーの妙技。とくと見せていただいたわ」
「ひょっとして、ずっと見ていたの?」
「ええ。もちろんビデオにも。これは私の『可愛い女子高生痴態コレクション』に加えて、決して外には流出しないようにするから安心して」
「安心できねえよっ!!」
「ふふ、とりあえず場所を移しましょうか。彼女達のお邪魔をしては悪いわ」
 見れば、いつの間にかユカリとアズサはとんでもないことになっていた。どんな状態となっているかはあえて説明しないが、アズサがとんでもない羞恥プレイをさせられて、泣きながら恍惚としていた。
「そ、そうね」
「あぁ……ま、待ってください景さまぁ……もっと、もっと痛くしてくださいぃ」
「あ、あたしも……もっとあたしの恥しい姿、見てください……」
 ミカとサヤカが、またとんでもないことを言いながらすがるような目で見つめてくる。
「ああ、ええと……ま、また今度ね」
 意味不明な約束を交わし、景は静とともに移動した。

「……それで、今日は何の御用でしょうか」
「もちろん、聖さまのことです。それ以外に、わざわざイタリアから来る理由などありませんから」
「はあ……暇人っちゅーか、なんとゆうか」
「あ、これお土産のイタリアの渡り蟹です」
「これはどうもご丁寧に……」
 そんなやり取りを交わしている場所は、なぜかリリアン女子大学のキャンパス内。休日だというのに部活かサークルか、生徒の姿は結構多い。
 中庭のベンチの上で、二人並んでいる姿は傍から見れば仲の良い友人同士か、はたまた恋人同士に見えるのか。
「あのう……それで、結局、御用向きは」
 正直、この人はどこか苦手だったのでさっさと帰ってもらいたいのだが。話を差し向けると、静さんは目をきゅぴーんと光らせ、景を凝視する。
「もちろん、聖さまのことです。景さん、いい加減に蓉子さまを堕としてください。ええ、景さんの犬として、むしろ景さんの他の側室の女の犬にするくらい、気合を入れて堕としてくださらないと」
「え、いや、そんなこと言われても」
 蓉子さんも、最近ストーカーじみていて怖い。
 景が他の女の人と親しげに話していると、どこからともなく現れて観察しているから……ってほら、そういっている間に、茂みのところから匍匐前進で近寄ってきて、こちらの様子を窺っている。
 そんな風に景が悩んでいる様子を見て、静さんは不敵な笑みを浮かべた。
「ふ、大丈夫です。そんな景さんの背中を押す、素晴らしいプレゼントがありますから……La―La――」
 突然、声色が変わった。
 透き通るような、美しい声。
 だけど同時に、恐ろしい魔の歌声だということを景は知っていた。人を惑わし誑かす、セイレーンの歌声
 耳にしてはいけない、どうにかして防がねばと思い、景はとりあえず強硬手段に出ることにした。
「LaLa―――んっ?!」
 強引に、彼女の口を塞いだ。自分の唇を重ねることによって。
 周囲から黄色い歓声と、呪詛が混じって聞こえてきたが今は気にしている場合ではない。
 静さんは目を見開き、離れようともがいてくるが、放すわけにはいかない。ほっそりとした静さんの肩を掴んで引き寄せ、逃がさないようにする。

 どうにか引き離そうとする静であったが、静は見誤っていた。イタリアに行っている間に、景がどれだけの経験値を稼ぎ、レベルアップをしていたか。
 景は意識していたわけではなかったが、ごく自然と彼女が築き上げてきた過去の資産が、的確に静の弱点を突く。
 それはすなわち、喉。
 唇を重ね、そのまま強引に静の口内に侵入した景の舌は、迎撃する静の舌を絡め押しのけると、さらに奥に伸びて静の喉を内部から舐めあげた。
「―――っ!!」
 一瞬、体が跳ねる静。
 気にすることなく、景の舌は自在に蠢いて静の喉を蹂躙する。景の長く、柔軟な舌だからこそ可能となる妙技は、静の喉を舐めあげ、なぞり、つつき、くすぐる。
 その度に、静の体が痙攣する。
 歌い手の静にとって、喉こそがもっともデリケートであり、また敏感な部位だったのだ。
 更に景の責めはそれだけではない。左手は静の首筋に当てられ、外部からも喉を撫ぜていた。
 知らず知らずのうちに景は静の弱点を的確に見抜き、内と外、両側から責め立てていた。ついでにいうと右手の方は静の胸を揉み、お尻を撫ぜ、内股をさすりと、縦横無尽に動き回る。これは本当に無意識に、今までの経験から体が勝手に動いているものだ。
 弱点をピンポイントで責められた挙句、他の部位も責められ、さすがの静も今まで感じたことも無い快楽に満たされ、意識と理性は那由他まで吹き飛んだ。
 体がガクガクと痙攣し、目はどこを見ているのか分からず、塞がれた口の端からは泡を吹いている。

「…………んっ……」
 どれくらいの間、そんなことが続いていただろうか。ようやくのことで、景は口を離した。
 静は、ぐったりとベンチの背にもたれかかっていた。
「……あれ、静さん? ちょっと大丈夫?」
 自分がそんな大それたことをしていたという意識も無く、景は失神した静の体を揺らす。
 喉と他の場所を責められることにより、ほぼ同時のタイミングに二度の絶頂を迎えさせられるという荒業をほんの数分の間に何度も喰らわされ、静の理性は壊されていた。
 体が、自分の言うことをきかない。頭の片隅の更に片隅あたりで、ダメだという声が聞こえる気もするが、口は自分の意識とは関係なく開いてしまう。
「あ……あ……景さまぁ……私、景さまの下僕にでもなんでもなりますから……も……もっとぉ」
 口にしたが最後だった。その瞬間、静の心は折れ、景に隷属した。

「し、静さんが堕ちましたわ……!!」
「とうとう、あのロサ・カニーナまでも?!」
「"リリアンのローレライ"も、"ゴールデン・フィンガー"には敵いませんでしたのねっ」
「いえ、あれは"ゴールデン・フィンガー"ではなくむしろ"天撫宝輪"! 淫魔に最も近い女と恐れられている景さまの、最強奥義の一つ!」
「いえいえ、それよりは"舌対隷奴"ではないでしょうか?! 人の身では決して達することかなわないと言われている、人身と人心を究極の下限まで下げる究極奥義っ!」
 周囲もなにやら盛り上がっている。
 しかし、景はといえば。

「景さま……静のことは雌犬と……いえ、雌蟹とお呼びください……」
 景の膝の上に乗り、頬を紅潮させ、うっとりとした目で抱きついてくる静さんをどうするべきか困惑しつつ、弓子さんのケーキはもういいかと諦めにも似た思いを抱き。

「……け、景さんったら、どうして私には奥義を使ってくれないのっ?!」
 血涙を流し、茂みの中でハンカチを噛み千切らんばかりの蓉子さんの姿に、決して明るくはない未来を想像するのであった。

 

 ちなみに、そんな蓉子さんの頭の上では、ゴロンタが退屈そうに欠伸をしていた。

 

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