1
日出美は固まっていた。動けない。顔を上げることもできない。
そんな日出美を見つめる、レンズ越しの視線。
「新聞部と写真部の間の壁は薄いって、教わらなかった?」
にこやかな顔が、逆に怖い。日出美はスカートをぎゅっと掴んだ。
「『お姉さま』とか、荒い息遣いとか、何だったのかしらねぇ」
一気に顔が熱くなる。誰もいないと思っていたのに。
「最近のデジカメはねえ、録画とか録音もできるのよね。短い時間だけれど」
「……な、何をお望みなんですか?」
蔦子が、日出美の側に寄ってくる。背後にまわり肩と腰に手をあててくる。
「何、大したことじゃないわ。日出美ちゃんのプライベート写真集を撮らせて欲しいの」
髪を撫で、首筋に息を吹きかけられて、体が震える。手が少しずつ動いて、胸とお尻に触れられる。
カッと体が熱くなる。
「いいでしょ……ね?」
「んっ……は、はい……っ」
「ふふ、じゃあ、今度の土曜日の夜、私の家で」
日出美はもう、蔦子の指の動きのなすがまま、ただ頷くしか出来なかった。
2
「何よ、なんか文句でもあるの、由乃さん」
グラウンドの外に立っていた由乃のところまで逸絵は駆け寄り、両手を腰に当てて問いかけた。
いきなりかけてきた逸絵の姿に最初はびっくりしたようだが、由乃も強気で言い返す。
「別に、文句なんか何も言っていないじゃない」
「じゃあ何よ、さっきからずっと見ていて。気になるじゃない」
「ご、誤解しないでよ。ただちょっと逸絵さんが走る姿が綺麗だっただけだから」
「なっ……」
「太腿とか引き締まっていて、綺麗で、良いなって」
「な、何よ。あたしだって、由乃さんの肌、白くて綺麗で羨ましいっていつも思っていたんだから」
頬を赤くしながらも、逸絵も反発するように言い返す。
「逸絵さんの方がお尻とかもキュッとしているし、ちょっと汗で練習着の張り付いた肌なんか色っぽいし」
「わ、私だって体育の時、由乃さんの細い脚とか腕にいつも見惚れているんだからっ」
「「…………」」
「な、なんだったら……触れてみる?」
「わ、私も、別に少しくらい触ったっていいわよ?」
「……あの、あそこに体育倉庫あるんだけれど、今の時間なら誰も来ないから……」
「う、うん。行こっか……」
二人の影が、グラウンドの上で一つになった。
3
鹿取真紀は、誰もいなくなった教室で窓際にもたれるようにして立っていた。
見下ろす先には、生徒の姿がちらほらと見える。部活動の生徒か。
髪をかきあげたその時、教室の扉が開いた。
「先生」
驚いたような声に、満足する。
「そんなところに突っ立っていないで、中に入りなさいな」
「どうして?」
「鞄の忘れ物。最後の日にまで忘れ物なんて、貴方らしいわね、聖さん」
「あはは」
笑いながら歩み寄ってくる聖。真紀が差し出した鞄を取ろうと手を出してきたところ。
素早く鞄を持つ逆の手を伸ばしてタイを強く引っ張る。バランスを崩した聖がつんのめる。
「っ!?」
唇を重ねる。舌を絡め、吸い取り、深く、長く。
「……っ、せ、センセ?」
驚き顔の聖。顔が真っ赤になっている。珍しい。
「今日で卒業だものね、もう我慢する必要はないでしょう。今まで我慢していたんだから」
「え、あの、ちょっ」
「文句は無し。今日の夜は空けといてって言ったでしょう」
「い、言われたけれどまだ夜じゃ……ちょ、あっ」
「卒業式の日に教室で、なんて記念でしょう」
教師と生徒関係に終わりを告げる、特別となった日であった……
4
桂の心臓は今にも爆発しそうだった。鼓動が聞こえるんじゃないかというくらいだ。
その原因はといえば、目の前にいる女神様。いや、マリア様か。とにかくもう。
「桂さん、どうしたの?」
「どどどどど、どうもしてないです、はいっ」
目の前で首を傾げているのは、既に下着姿の志摩子さん。僅かにピンクが入った清楚な下着。
いやがうえにも目が吸い寄せられる、ブラからはみ出た大きな胸の膨らみ、お臍、太腿。
もう、鼻血が出そうです。桂自身も下着姿で、志摩子さんが脱がせてくれたんだけれど昇天しそうでした。
今日は修学旅行の一日目で、ホテルの部屋の中。とうとう、この時がきたのです。ええ。
高校生の私たちは付き合い始めてもホテルにも行けず、実家では家族もいて、この旅行が最大のチャンス、
と思ってはいたけれど、まさか志摩子さんがOKしてくれるとは思っていなかったというか。
むしろ志摩子さんも今日はそうなるんじゃないかと思ってくれていたとか。はうぅぅ~。
「桂さんの胸、可愛い」
って、ひああぁ、いつの間にかブラが外されています! 桂も慌てて志摩子さんのブラの肩紐を外し……
うわああああ、す、凄すぎます! こぼれ落ちるというか、こりゃ桂の手の平にはおさまりませんよ。
「……恥しいわ。そんなに、じっと見つめられると」
上目遣いの志摩子さんが可愛すぎます! 震える手をのばし、志摩子さんの胸に……
き、気持ちいい~っ、あ、あ、志摩子さんの手も桂の胸に触れて、やばいです!
桂は今夜、お、大人の女になりますぅぅぅっ!!!
5
どうしてこんなことになったのか、分からない。
田沼ちさとは、混乱した頭で考えようとしたけれど、その隙を与えてくれないのが目の前の人。
「どうしたのちさとちゃん。手が止まっているわよ」
「わ、分かっています!」
ちさとはシャツのボタンを外そうとしたけれど、焦って指がうまく動かない。
目の前の人は、余裕の笑みで、頬杖なんかしてちさとの様子を眺めている。
色っぽい、大人っぽい、下着姿。二つしか違わないはずなのに、この差は何か。
というか、ちさとは令様にこの身を捧げるはずだったのに。いつの間にやら横からさらわれて。
シャツを脱ぎ捨てる。続いてスカートのジッパーを下ろして、スカートを足元に落とす。
これで、ブラとショーツと靴下だけになった。ちさとはあくまで強気で下着を取ろうとしたが。
「待って。そこまででいいわ」
言われて、手を止める。江利子様が立ち上がり、寄ってくる。そして正面から抱きついてきた。
手が背中と腰にまわって、大きな胸が、ちさとの胸に押し付けられる。
「ここから先は、お互いのを脱がしあいましょう。その方が楽しいでしょう?」
にっこり笑う江利子様。指がショーツにかかる。ちさとも恥しいのを堪えて、江利子様のパンツに手を入れた。
「いいわ、ちさとちゃん。そうでないとね」
お互いのショーツを脱がせあいながら、ちさとと江利子様は唇を重ねるのであった……