秋も深まってきて徐々に秋風が身に沁みるようになってきた。
薔薇の館は古い建物なので、夏は暑くて冬は寒いという仕様で冬には暖房器具が欠かせない。今頃はまだマシなわけで、今から寒いなどと言ってストーブをつけているようでは厳しい冬は越せない。なので、ひざ掛けやブランケットといったアイテムは非常に重要になってくる。
「……とはいっても私、冷え症なのよね」
そう呟く江利子はブランケットを膝に掛けて暖をとるようにしていたが、それだけでは全身を暖めることが出来ない。どうしても上半身、特に肩から背中にかけてのあたりが冷えてくる。
だからといってブランケットを肩からかけて体を暖めるようにしたら、今度は足の方が冷えてしまうので、それは避けたい。
ならばどうすれば良いのか。頭寒足熱というくらいだから、ブランケットはひざ掛けとして使用し、上半身は別にコートでも羽織るべきか。ただ、そうするとなんとなく見た目が美しくない。ひざ掛けとブランケットで上下を完全防寒するか。
そんな下らないことをアンニュイな表情で考えていた江利子であるが、ふと、つい先日の出来事が脳裏に浮かんだ。
薔薇の館にやってきた祐巳に、聖が背後から抱きついて驚かせ、祥子が怒るといったいつもの光景。その中で聖は何と言っていたか。
『あー、祐巳ちゃんは柔らかくて温かくて気持ちいいなぁ~~』
と、だらしない顔をして言っていたではないか。
考えてみるに、人肌というのは体を温めるのに最適であるといえないか。雪山の遭難などで冷えてしまった体を温めるのは人肌、そんなシチュエーションは本などで読んだ記憶がある。
これは試してみる価値があると、江利子は考える。
「――ごきげんよう、江利子さま」
丁度良くそこに姿を見せたのは志摩子である。
「タイミングいいわね、志摩子。ちょっとこっちきて」
「はい? なんでしょうか」
素直に江利子の方までやってくる志摩子。
「ここに座って」
「…………はい?」
「ここに座って」
「…………」
江利子が指差しているのは、自分の膝である。
「あの……それは一体どうゆう…………」
困惑の様相をみせる志摩子であったが、江利子は構わずに同じことを三度口にして、よくわからないながらも志摩子も従おうとする。
「それでは、失礼します……」
先輩の上に座るなんてと思いつつ、先輩の言うことに逆らうことも出来ず、そろそろと江利子の膝の上にお尻を乗せる志摩子。
「おお……でも、やっぱりこれだけじゃ物足りないわね」
「あの、江利子さま、一体何がしたいのでしょうか?」
「となると、ブランケットをこうして……」
「あ……」
志摩子を無視し、江利子はブランケットを肩からかけると、志摩子の体も包み込むようにして体を覆った。
「うん、これなら暖かいわね」
「はあ……」
「ちょーっと、志摩子が想定以上に重いけれど」
「江利子さま?」
「痛い痛い、冗談よ、つねらないで」
太腿をつねられて悲鳴をあげる江利子。
「あの~江利子さま」
「何?」
「恥ずかしいんですけれど……」
「別に誰もいないじゃない」
「そ、それは、今はそうですけれど……」
江利子の太腿の上で落ち着かない様子を見せる志摩子。
逃げたいところだが、背後から江利子にしっかり腕を回されて抱きしめられているので、逃げることもかなわない。
そうこうしているうちに、入口の扉が開いて他のメンバーが姿を見せた。
「ごきげんよ――」
「あれ、何してんの志摩子?」
挨拶しかけて止まってしまったのは祐巳で、その後ろから入ってきた聖は志摩子を見て軽く目を見開く。
「あ、お、お姉さまっ。ゆ、祐巳さん」
目撃されてますます頬を赤くする志摩子だが、江利子は逃がさない。
「ああ、聖。志摩子、借りてるわよ」
「借りるって、だから何しているの」
「ほら、この前、聖が祐巳ちゃんに抱きついて暖かくて気持ち良いって言っていたじゃない。だから」
「それで志摩子で暖をとっているの? まあ、志摩子が嫌じゃなければ別に構わないけどね。そうだ祐巳ちゃん、それじゃああたし達も」
「嫌です、お断りします」
「そんな、まだ何も言ってないのにつれない~」
姉である聖からも許可を貰ったので、江利子としてはご満悦である。一方の志摩子は、姉と友人に見られてなんともバツが悪いがどうしようもない。
やがて蓉子と令、そして由乃もやってきて、皆が珍しそうに二人のことを見つめてくるので志摩子としては消え入りたい気分だった。
「幸い今日は急ぎの仕事もないからいいけれど……」
訝しげな視線を向けてくる蓉子。志摩子としては蓉子に一縷の望みを託していたのだが、それもあえなく潰えてしまった。
がっくりと肩を落とす志摩子の後ろで、江利子は全く別のことを考えていた。
(体は温かいけれど、手が冷たいわねぇ…………あ、そうだ♪)
「あの江利子さま、そろそろ……ひゃんっ!?」
突然、志摩子が可愛らしい悲鳴をあげたので、皆の視線が一斉に向けられる。
「どうしたの志摩子」
「あ、いえ、その……」
言いよどむ志摩子をよそに、ブランケットの下では江利子の手が志摩子の制服のファスナーを引き下ろしており(※着脱しやすいよう、ファスナーが着いている設定です!)、さらに開いた制服の中に手を突っ込んでシャツの裾を捲り上げてその下に手を滑り込ませる。ふよふよとしたお腹から手を上げてゆき、ブラジャーの中に手を突っ込む。
「うわぁ、柔らかくて温かくて気持ちいい~~~~っ」
「…………っ!!」
もにゅもにゅと、志摩子の豊満なおっぱいの感触を楽しむように動かし、乳の間に手を挟ませて温まらせる。
志摩子はといえば、ひんやりとした江利子の手に触れられ、懸命に声を殺すことで精一杯の様子、体がふるふると震えている。
「あぁ、極楽極楽ぅ~」
言いながら江利子は志摩子の乳房を愛撫する。もっちりと吸いついてくる弾力、指が沈み込むほどのボリュームと柔らかさに、手を止めることが出来ない。
一方の志摩子は、江利子の手を押さえようにも、ブランケットを体の前で押さえているのは志摩子であり、手を離すことが出来ない。手を離したら、今のこの痴態を他の皆に見られてしまうのだから。
「はあっ……え、江利子さま……あの」
「ちょっと志摩子、なんか顔が真っ赤だけれど大丈夫なの?」
「え……は、はい、大丈夫で……ん……ちょっと、思った以上に熱くて……はぁ」
微妙に艶めかしい声で応じる志摩子。
「江利子、あんた何かヘンなことしているんじゃないでしょうね」
「やーね、聖と一緒にしないでよ」
とか言いながら、手はおっぱいを揉み続けている。ついでに乳首をつまんでみちゃったりもする。
「…………っっ!!」
ビクビクと小刻みに痙攣する志摩子。
「江利子、志摩子、そろそろ仕事もしてちょうだい」
「はーい」
さすがにこれ以上はまずいし、手も十分に温まったし、蓉子にも言われたので惜しいけれどやめることにする。ブランケットの下の志摩子の制服を元に戻す、とはいっても見えないのでブラジャーやシャツは乱れっぱなしのまま、とりあえず見た目の制服だけ整えるだけだ。
「――ありがとうね志摩子、暖かかったわ」
「い……いえ、はぁ」
少し荒い呼吸で江利子の膝の上から立ち上がる志摩子。
「ん…………っ」
ブラジャーが外れてシャツもたくしあげられてしまっているため、胸が直接制服の生地に触れてしまい、その微妙な刺激にまた志摩子は耐えるしかないのであった。
「――だから、ごめんってばぁ志摩子」
仕事を終えて帰宅する前、江利子と志摩子は書類を職員室に届けるために他の皆とは別行動をとっていた。その途中で、薔薇の館でのことで完全にへそを曲げてしまった志摩子に江利子は謝っている。
拗ねて頬を膨らませている志摩子の姿を目にするのも珍しく、そんな姿も可愛いじゃない、なんて内心で思っていることは当然だが志摩子には言えない。
「もう、すっっっごい、恥ずかしかったんですから。声が出ないように耐えないといけないし、身動きもとれないし」
「あはは、ごめんねー」
「あはは、じゃないですよ。本気で謝ってますか?」
「でもさ、そんなこといって志摩子、そんな緊張感がたまらなくて余計に感じていたんじゃない?」
志摩子からの矛先をかわそうと、そんなことを冗談めかして言うと。
「そっ、そそ、そんなこと、あるわけないじゃないですかっ」
と、真っ赤になりながら否定する志摩子。
「…………あれぇ、志摩子もしかして貴女、本当に」
「………………」
無言で顔をそらす志摩子。
追いかけるように顔を覗き込む江利子。
しばらく黙って見つめていた江利子、そのプレッシャーに耐えきれなくなったのか、もじもじしながら志摩子が口を開く。
「…………え、えっちな子で、嫌いになりました?」
「…………っ!!」
鼻血が出そうになるのをこらえる江利子。
「嫌いになるわけ、ないじゃない。むしろ好きよー、えっちな志摩子」
「本当ですか?」
「本当だってば、ほら……」
言いながら江利子は志摩子の前方に回り込み、ぎゅっと志摩子を抱きしめる。制服の上からおっぱい同士を押し付け合うようにして。
「ん……」
「ぁ…………」
そうして、唇を重ねる。
志摩子の方が背が高くて、少し背伸びして上を向くような格好となるのが癪だが、こればかりはどうしようもない。
「…………ほら、ね?」
ゆっくりと唇を離し、安心させるように見上げる。
「はい……あの、それじゃあ」
「ん? 何かしら」
「今日、私が江利子さまにされたこと……今度、私が江利子さまにしても良いですか?」
「――――ん?」
首を傾げる。
「だって私、凄い恥ずかしかったんですよ? 悪いと思っていらっしゃるなら、私にも同じこと、させてください」
「え、いや、だって」
「やっぱり、そんな私のこと嫌いですか?」
「いやいや嫌いっていうんじゃなくて…………そ、そう! 皆の前で先輩の私を膝に乗せて懐炉がわりにするとか、さすがにまずいじゃない、うちの学校は先輩後輩関係は厳しく見ているし、私としても威厳というものが」
「はい、だから皆さんのいる前ではなく、二人きりの時で構いませんから」
「――――え?」
冷や汗をたらりと額から垂らしながら志摩子を見ると、いつものように穏やかで邪気のないようなふんわりとした笑顔を浮かべている。それはまあ、見惚れてしまうくらいに綺麗なのだけれど。
「――二人きりだったら、どんな姿を見られても大丈夫ですよね?」
にっこりと、それでも有無を言わさぬ迫力を持って言う志摩子。
「え、えぇと…………」
内心で汗をダラダラと流す江利子。
そして――
「……やっ、ら、らめえええ志摩子っこれ以上は本当にらめぇ……やっ、ちょ、出ちゃう、漏れちゃうからぁ~~~~っ!!!」
「あぁ、江利子さまのおっぱい、大きくて柔らかくて温かくて気持ちいいです本当に」
「ひあっ、あっ、らめなのにぃ~~~っ!!」
と、散々な目にあわされる江利子。
なんだけど。
「……し、し、志摩子ったら、あんな清楚なフリして本当にエロいんだから……いいわ、次こそもっと恥ずかしい目にあわせてあげるんだから!」 ただ大人しいだけ、ただ綺麗なだけの女の子なんてつまらない、そう思う面白いこと好きの江利子は余計に燃える。
えっちなことをされている時の志摩子の初心な反応、逆にえっちなことをしてくる時の志摩子の大胆で少しSっ気の入った行動、どちらも江利子を楽しませるには十分なのであった。
おしまい