【作品情報】
作品名:復讐の協奏曲
著者:中山 七里
ページ数:282
ジャンル:ミステリー
出版社:講談社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
なんだかんだ読ませる度 : ★★★★★★★☆☆☆
こういう人におススメ! : 御子柴のシリーズが好きな人
三十年前に少女を惨殺した過去を持つ弁護士・御子柴礼司。
事務所に“この国のジャスティス”と名乗る者の呼びかけに応じた八百人以上からの懲戒請求書が届く。
処理に忙殺されるなか事務員の洋子は、外資系コンサルタント・知原と夕食をともに。翌朝、知原は遺体で見つかり、凶器に残った指紋から洋子が殺人容疑で逮捕された。
弁護人を引き受けた御子柴は、洋子が自身と同じ地域出身であることを知り…。
弁護士、御子柴のシリーズ。
今までに色々な自身の関係者を弁護するのが続いたが、今回は事務所で働いている洋子が殺人事件の被害者に。
今まで当然のように事務所で働いていた洋子だが、その素性については不明であった。
御子柴がかつて大きな事件を犯した人間であり、世間からも様々な声を受けている。
だというのに、御子柴の事務所をある意味、意固地になって続けているようにも見えた。
当然ながらその裏には何かあるのだろう、そう思わせるものがあるわけだが、今回の作品で洋子のことがようやくわかる。
御子柴に恋愛感情を抱いていて別れたくないから事務所にいる、なんて理由だったら興ざめだったけれど、当然ながらそんなことはない。
明かされる、幼少期や家族の事情。
そして御子柴との関連、因縁。
おいおい、そんなことあるのかよ、とかいっても、御子柴自体がかなりの人物ですからね。
そういう人が寄ってくるのでしょう。
殺人事件に関してのその黒幕というか動機というかは、すぐにわかる。
というか、冒頭に書かれていることが素直で、特にどんでん返しもないのだが。
でもまあ、今回は洋子自身にスポットをあてたのかしらん。
謎だった私生活とか、人間関係とかも少しわかって。
男性の友人(恋人ではない)と、相手に対する評価とか、ちょっと面白かったり。
まー確かに、すぐそばにいる異性が御子柴のようなある意味変人というか、強烈だと、他の男性と接していて刺激は少なく感じるのかも?
御子柴も、洋子のことを全く知らなかったことに驚いたり、子供に対する接し方とか、少し変わってきたのか?
まあ、そろそろ法廷での熱い論戦を期待したいです。
洋子のことを追いかけていくのがメインで、法廷での論戦のシーンが殆どないので、法廷ものとして考えると物足りない。
あくまで、御子柴シリーズの中の一つの物語、ということ。
ただこの方向性でいくと、もう新たな関係者は出ないのでは・・・?