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SF エンタメ 書評

【ブックレビュー】イリヤの空、UFOの夏 その3(著:秋山 瑞人)

更新日:

【作品情報】
 作品名:イリヤの空、UFOの夏 その3
 著者:秋山 瑞人
 ページ数:328
 ジャンル:SF、エンタメ
 出版社:アスキー・メディアワークス

 おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
 読んでいる方がお腹いっぱいになる度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 2巻まで読んだ人

 

■作品について

浅羽を巡る、晶穂と伊里野の三角関係?
それまで後手に回っていた晶穂がついに先手をきってイリヤに仕掛ける。
激しい女同士のバトルは、どちらも限界を超えても決して引くことなどできず、熱く、激しい応酬がされる。

そんなことを経て。
晶穂とイリヤの距離、そしてクラスメイトとイリヤの距離も変わる中、園原基地付近で発生した爆発。
色々な憶測が飛び交う中、水前寺はひとり、爆発事件の取材に向かう。

緊迫の、第三巻。

■良かった点

うおお・・・・
きたわ、これ。

1巻、2巻が、まさに起承転結の「起」、「承」で今巻が「転」である。

序盤は、『無銭飲食列伝』
ここで繰り広げられるのは晶穂とイリヤの女のバトル。
不気味なイリヤに対して、どうしても後手後手にまわり、無視することで自分の中からイリヤを追い出そうとしていた晶穂。
だが、浅羽の中でのイリヤの存在を知ったうえで無視し続けることなど出来なくなり。
正面切ってイリヤに対する。
そんな晶穂に対し、イリヤもまた応じる。

二人のバトルは女の意地と意地がぶつかりあい、どちらも一歩も引けない戦いとなる。
機械的なイリヤに対して絶望を感じる晶穂だったが、途中でイリヤも同じように苦しんでいるただの人間だと分かり、ならば尚更引けなくなる。
壮絶なバトルの末に待ち構えていたのは、晶穂とイリヤの間で構築された奇妙な友情。
恋敵という関係性かもしれないが、一気に二人の距離は縮まり、晶穂がイリヤと接するようになることでクラスメイト達の反応も変わっていく。

イリヤも交えての日常。
だけどその裏で発生した、園原基地での爆発事故。
からの攻撃、輸送機の事故、UFOの墜落とさまざまな憶測が飛び交い、当然のように水前寺は事態を放っておけるはずもなく、単独で取材を試みる。

序盤で描かれるアホみたいで賑やかな日常。
そこから一気に非日常に落とされる。
その転換たるや見事というか、一気に血の気が引くというか、絶望に包まれるというか。
何かが起きているのは分かる。
でも、何が起きているのか分からず、自分たちはそれに関われない。

物語の終わり、夏の終わりを確実に感じさせる「水前寺応答せよ(前後編)」
いよいよあと1巻で終わりなんだなぁと思わざるをえない。

その結末がハッピーなものになると思えない今巻の流れと引き。
果たしてイリヤは、浅羽は、どんな夏の終わりを迎えるのか。

目が離せないまま、ラスト4巻に突入。

あと、今巻で描かれる大食いは圧巻としかいいようがないですね。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

いやー。
ここで終わらせるのがずるい(笑)

 

 

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