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ミステリー 書評

【ブックレビュー】雪冤(著:大門剛明)

更新日:

【作品情報】
 作品名:雪冤
 著者:大門 剛明
 ページ数:396
 ジャンル:ミステリー
 出版社:角川書店

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 二転三転度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 社会派ミステリで考えさせられたい人

 

■作品について

死刑囚となった息子のために動く父親。
冤罪だと訴えるが、日は刻々と過ぎていく。
そんな父親のもとにある日、謎の人物から連絡がある。自分こそが真犯人であり、自首するつもりがあると。
真犯人は誰なのか。
そしてまた、真犯人の意図はどこにあるのか。

■良かった点

死刑制度に対する問題、そして冤罪に対して向き合った社会派ミステリーである。
殺人を犯した犯罪者。
被害者遺族たちは極刑を望むことが多いが、果たして本当にそれが望ましいことなのか。
犯罪者の家族はどう考えるのか。そしてまた国民はどう考えるのか。
登場人物達は色々な立場でそれぞれの考え、思いを持っているが、もちろんどれが正解かというのがあるわけではない。
普段、自分とはほど遠いことだから真剣に考えることはないだろう。
でも、凶悪犯罪が世間でも発生しているのをニュースなどで見ると、どうすべきなのかと思うことはある。

そして死刑制度だけではなく、冤罪に関しても問題として提起している。
そういったことを考えさせながら、事件の真犯人とは誰なのか。「メロス」と名乗り、かつての事件を起こしたのは自分だと言う人物は一体何者なのか。
その犯人を考えるミステリーでもある。

物語は途中から二転三転して、真実だと思ったことがひっくり返ったりする。
果たして何が本当なのか、読んでいて追いかけざるを得ない。
ぐいぐい読ませていってくれる一作。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

ちょっと登場人物で誰が誰か分かりにくくなる部分がある。
メインではない人物達がちょい分かりづらかった。
あと、ちょっと無理はあるかなという、登場人物達の行動でもあった。

 

雪冤 (角川文庫)

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