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SF 書評

【ブックレビュー】殺す(著者:J・G・バラード)

更新日:

【作品情報】
 作品名:殺す
 著者:J・G・バラード
 ページ数:138
 ジャンル:SF
 出版社:東京創元社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 ある意味衝撃度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 現代の寓話、という言葉に惹かれる人

■作品について

6月の土曜日の朝、ロンドンの超高級住宅地で住人32人が惨殺された。
高い塀と監視カメラに守られた住宅地で、殺されたのはすべて大人。
そして13人の子どもたちは何の手がかりも残さず、全員どこかへ消えていた。
一体、何が起きたのか?
その真相とは。

■良かった点

バラード。
この人の描く作品にはまあ色々と驚かされるというか、思わされるというか。

高級住宅街で発生した大量殺人事件。
残された死体は全て大人のもので、全ての家で子供たちの姿が消えていた。
誰がどのように殺し、子供たちはどこに行ったのか?
このあらすじだけを読めばミステリーと思える。
あるいはバラードが作者ということであれば、何やら近未来SF的な流れを感じるかもしれない。
しかしこの作品には、オチとかそういったものはない。
ただひたすらに、淡々と描かれる事件の真実。

そして、なぜそのようなことに至ったのかを考えさせられる。
誰もが羨むような生活環境。
住人達はある意味、理想的な生活をしているといえる。
しかし、それがもたらすものとは。

まさに現代的な寓話。
もしかしたら我々の将来を示唆しているのでは?
そうとも思わせられる内容である。

わずか120ページくらいの作品だからすぐに読むことはできる。
だけど、残されるものは多い。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

ミステリーを期待して読むとダメ。
SFを期待するのも違う。
うーん、非常に難しいな!

 

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