書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

マリア様の愛読書

ノーマルCP マリア様がみてる 菜々

【マリみてSS(菜々×祐麒)】一人でできるもん

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~ 一人でできるもん ~

 

 

 あ……ありのまま今起こっていることを話すぜ!
 私は家に遊びに来ていた私の……か、か、彼氏と二人で遊んでいたはずだと思っていたら、いつの間にかその彼氏は、私を除外して三人の姉とともにくんずほぐれつの4Pに突入していやがる。
 な……何を言っているか分からないと思うが、私も何をされたのか分からなかった……
 頭がどうにかなりそうだった……催淫術とか超絶テクとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

「あっ……やだ、凄い福沢くんっ……!」
「そんなトコロまで攻めてくるなんて……」
「三人同時に相手して、これだけ精力的に……あ、そこはダメぇ!」
 嬌声が室内に響き渡る。
 菜々の目の前で繰り広げられている、祐麒と三人の姉の4Pは今まさに佳境を迎えていた。
「だめだめ、あ、あーーーーっ!?」
「私も、もうだめぇっ!!」
「祐麒くん、凄すぎるぅ!?」
 三人が次々に果てる。
 一人悠然と三人のことを見下ろす祐麒。

 まさか、こんな人だなんて思わなかった。菜々という可愛い彼女がいながら、その三人の姉を次々と手籠めにするなんて。菜々に近寄ったのは、もしかしたらこのためか。四姉妹をモノとし、侍らせ、己のハーレムを作るために。
「お……恐ろしい子!!」
「あの……菜々ちゃん、ちょっといい加減に……」
 困惑した表情を向ける祐麒。その人のよさそうな笑顔で女の子を甘く誘い込み、一度捕まえたら二度と離さない魔性の男。
「……ちなみに菜々、『あ、ありのまま』ってところから全部声に出ているわよ」
「あと、最初に『彼氏』っていうとき噛んでいるし。恥ずかしいなら口にしなければいいのに」
「つーか、あたし達と祐麒で4Pしているのは、菜々が勝ち抜けしたからでしょーが」
「むーっ……」
 姉たちに上から順に言われ、口を尖らせる菜々。
「でも、やっぱり盛り上がるわよね。四人対戦の『盆バーマン』は」
 テレビの画面上に映し出されているのは、昔懐かしのゲームである。つい今しがた一戦が終わり、祐麒の操作しているキャラが他のキャラを全て倒して勝利したところだ。

「てゆうか! なんでお姉たちがいるの。祐麒先輩は、私と遊ぶためにきたのに」
「ふ、決まっているでしょう。末っ子のくせに姉たちを差し置いて一人だけリア充になろうなんて、いけ図々しい」
「うわ、百々姉ェ……心狭っ」
 長女の百々は見た目スマートで非常に優しそうな雰囲気を湛えているが、ショタ属性を持つ残念なオタだ。
「くっ……私が勝てば、福沢くんに女装させられる約束が……」
「いや、していませんからね、俺!?」
 いつの間にかとんでもないことをさせられそうになっていて、叫ぶ祐麒。
「確かに、女装似合いそうだし。見た目、凄く可愛い女の子になるようだったら、あたしも付き合ってもいいかなって考えなくもないわ」
 ショートカットが似合う凛々しい次女の寧々は、百合だ。リアル世界でも男の子とは苦手なようだが、それでも妹の菜々に彼氏ができることは悔しいらしく、そんなことを言ってくる。無理に女装させてまで彼氏を作ろうとしなくても良いと思うのだが。
「てかさ、美少女四姉妹と関係持つとか、そ、それってなんてエロゲ?」
 ツインテールに結った髪を揺らせている三女の瑠々。キャミソールの上からパーカを羽織っているが、肩も鎖骨もむき出しで、祐麒としては目のやり場に困る。
 菜々と親しくなり、田中家にも何度か遊びに来るうちに菜々の姉達とも親しくなってきて、いつしか一緒に遊ぶようにまでなってきた。
「でも、百々姉の言うとおり、菜々一人リア充とか確かにありえなくね? そうよ、姉である私達を差し置いて! あ、姉より優れた妹など存在しないのよ!」
「瑠々、ソレが言いたかっただけでしょう」
「ずっと女子校育ちかつ腐女子の私達にリアル世界で彼氏ができるなんて思ってもいなかったのに、まさか菜々に……おまけに可愛い男子だし……これはもう、寝取るしかないじゃない!」
 拳を握りしめて力説する百々だが、口にしている内容は最低だ。

「た、確かに、このチャンスを逃したら、あたし達が現実世界で男子と付き合える可能性は……そ、それを考えると、いっそ四人の共有カレシというのもエロゲ的にありかも……デュフ」
「ないってば! もー、先輩と二人で遊ぶつもりだったのにー」
「それはダメだ。二人きりにしたら、すぐに盛りのついたサルのように騎乗位でヤリまくるから」
「そ、そんなことしないもん! 大体、菜々はまだ処女だもん!」
「ぶっ!?」
 菜々の発言に、飲みかけていたお茶を噴き出しそうになる。
「何……だと?」
「と、ゆーことは、私達にもまだチャンスがあると?」
「誰が先に処女を散らすかの勝負ってことね。あの顔的に、責任はとるから、とか言いそうだし」
「…………」
 声もなく三人の姉妹を見る祐麒。

 最初の時こそ三人とも猫をかぶっていたが、菜々に性癖をばらされ、遊びに来るたびになぜか見てはいけないシーンを目撃してしまい、段々と開き直られ、今ではこの調子だ。あけっぴろげすぎるのもどうかと思う。
「よし、それじゃあこうしましょう。私達四人で勝負して、勝った人が福沢君に晴れて処女を捧げられるということで」
「なんでそうなるんですかーーーーーっ!?」
 晴れ晴れとした笑顔でとんでもないことを口にする百々に向け、祐麒は絶叫した。
 男としてみれば四人の女の子から言い寄られているようにも見えるが、単に玩具にされているだけとしか思えない。仮に本気だとして、それはそれで嬉しいよりも恐ろしい気持ちの方が強い。
「まさか勝つ自信がないのかしら、菜々?」
「…………ふ、私に挑もうとは、お姉たちも浅はかですね」
 百々の挑発に乗る菜々。
 もしかしたら、菜々と祐麒の仲を応援して、わざと挑発するようなことをしているのだろうか。
「ふふ、菜々とはいえ三人がかりでやっちゃえば」
「包囲殲滅ね」
「寝取りって燃えるよね」
 そんなことは一切なさそうに、邪悪に微笑みあっている三人の姉。
「さあ、勝負よ菜々っ!!」

 

「――勝利っ!!」
「いやーーん、うそーーーっ!?」
 威勢よくゲームをプレイしたものの、三人の姉はあっさりと菜々に敗北した。はっきりいって菜々のゲーマーとしての腕前は相当なものだ。それでも、運の要素もそれなりにあるゲームで三人を相手取って完勝するというのは、なかなか大変なことである。
 菜々は得意げに薄い胸を反らしている。
「ふふん、甘いですよお姉達、私に勝とうなんて。ふふ、菜々リー・ヴィ・ヴリタニアが命じる。私にひれ伏せ!」
「くっ……ギアスを使うなんて卑怯な」
「てか、それはあたし、瑠々ーシュの技だし!」
「でも確かに、私たちの完敗だわ」
「……とゆうことで、さあ、処女を散らす権利は菜々に」
「遠慮せず、どうぞどうぞ」
「え、えっ??」
 三人の姉に右腕、左腕、そして体を抱きかかえられ、祐麒の目の前まで引きずられてくる菜々。そのまま、胡坐をかいている祐麒の上に押し付けられようとしている。
「ちょ、ちょ、なにするんですかっ!?」
「何って、お手伝いよ。菜々と福沢くんの結合の」
「そ、そんな破廉恥なことしないもん!!」
 暴れる菜々だが、さすがに三人がかりで抑えられてはままならない。自由になる脚をばたつかせるものの、宙に持ち上げられてはどうしようもない。とゆうか、暴れるほどにスカートの中のパンツがチラチラ見えて、祐麒にとっては眼福だ。

「何が破廉恥よ、あんた男同士が破廉恥な事しかしていない本ばっか大量に買い漁っては読んでハァハァしているくせに」
「BLは日本の伝統文化だもん!」
 真っ赤になって反論する菜々だが、それはさすがにどうかと思う祐麒。
「大丈夫よ菜々、あの本のイケメンさん達のお尻に入っていたものが、菜々を貫くだけなのだから」
「なんなら、あたし達がサポートしてあげるし。前戯だったらエロゲで仕入れた知識があるからね」
「そんなんいーです!! そうゆうことは菜々が一人でできるもん!!! 自分で先輩にしてあげられるもん!!!」
 叫んだ菜々はじたばたと暴れて姉達の束縛から脱出した。
 そして、目の前にいた祐麒の腕を掴んで立たせると、引っ張って走り出す。
「え、な、菜々ちゃん?」
「ほら、もう行きますよ」
「ど、どこへ?」
「私の部屋に決まっているでしょう。もー、お姉たちの邪魔が入らないように」
「邪魔が入らない密室に二人でナニをする気ね菜々!?」
 姉たちの囃し立てる声を無視し、自室へと退避する。最初からそうしておけばと思わなくもないが、家に来た途端に三姉妹に捕まってしまったのだから仕方ない。

 部屋に入ると、姉たちの言葉を無視して内側から鍵をかける。
「もーっ、まったく、お姉たちは……」
 ぜーぜーと肩で息をしている菜々。マイペースな菜々だが、さすがに実の姉達に対してはうまくいかないようだ。
「苦労しているんだね……って、俺もまさか、菜々ちゃんのお姉さんたちが、あんな人たちだとは意外だったけれど」
「……もしかして、色仕掛けに引っ掛かりました?」
「そんなことないって! あ、もしかしてやきもち妬いてくれた……って痛い!」
「調子に乗らないでください」
 ローキックをくらって床に膝をつく。
「……と、ところで、さっきのことですけど」
「さっきのこと…………ん~と、なんだ、菜々ちゃんが処女だっ、ぐあっ!?」
「もちょい、デリカシーもってください」
 菜々の回し蹴りが、座ったことで丁度側頭部にクリティカルヒットして悶絶して倒れる。あまりに速い蹴りのため、残念ながら今度はパンツを見ることは出来なかった。
 菜々はクッションを持ってきて床に置くと、その上にちょこんと座る。
「まあ、覚えていないなら別にいいです」
「一人でできるもん、ってやつ?」
「なんでここで言いますかっ!?」
 真っ赤になる菜々。
「い……言っておきますけれど、そ、そんなの、したことないですからね。私、そんなビッチじゃないもん」
 ぷーっ、と頬を膨らませてあらぬ方向を見ている菜々。

 中学二年生という年の割には落ち着いており、ネットゲーム上ではクレバーな行動とクールな言動を見せるが、こうして一緒に居ると可愛らしい年下の女の子だと強く意識させられる。
 更に言うなら、二人きりになると落ち着かなくなる。
 前に菜々のことを意識し始めてからというもの、そんな感じだ。ゲームに夢中になっていたり、先ほどのように他の姉たちがいるときは良いのだが、今のように二人きりで向かい合うと一気に緊張してくるのだ。
 それでも、今までは部屋の扉を開けていたが、今日は違う。
「どうかしましたか?」
 落ち着かない様子の祐麒を見て、菜々が首を傾げる。
「いや、別に、何も?」
 菜々は意外と無防備だ。いや、もしかしたら計算しているのかもしれない。今だって、座っているスカートの下、太ももが眩しいしその奥も気になるアングル。クッションに埋もれているから見えないが、だからこそ、そそられる。
「ええと……ゲームでもする?」
 二人の時はゲームをしていることが多い。ゲームだったら幾らでも時間をつかえるし、話だって出来る。
「今日はもうゲームはいいです」
「そ、そう……それじゃあ、どうしようか」
 こういう時に恋愛スキルがないというのが辛い。菜々と遊ぶようになってからも、基本的には友達の延長線上の付き合いという感じで、その手のスキルが向上したわけでもないのだ。

「そうですね、たまにはお話でもしましょうか。そういえば私のお姉たちのことばかり話していますけれど、祐麒先輩のお話、あまり聞いたことありません」
「お、俺の話? そんな面白いことなんてあるかなぁ」
「面白いように話すんですよ。それができなくちゃ、女の子と仲良くなんかできないですよ?」
「が、頑張ってみます……」
 ほかならぬ菜々に言われ、祐麒は話しはじめた。
 学校で起きる馬鹿な話は、意外と菜々に受けた。女子校育ちの菜々は、男子校で発生するあほらしい事件ともいえない事件や、男子高校生の生態に面白味を覚えたようだ。祐麒の話にあわせて、菜々も女子校のことを語ってくれるので、いい感じでトークが進む。
「そうですか、や、やはり本当にリアルBL世界は存在するのですねっ!?」
 もっとも興奮したのがその手の話だったというのは、菜々らしいが。実際、漫画や小説の世界みたいではないが、オカマもいれば同性愛者も存在する花寺学院は菜々にしてみれば「オイシイ」のかもしれない。
 あまりそっち方向に進みたくなかったので、中学時代まで野球をやっていたことに話を移す。剣道少女の菜々が野球も好きなことは、野球ゲームをやりこんでいることから分かっていた。

「……なるほど。で、ピッチャーの祐麒先輩とキャッチャーの人では、やはりキャッチャーの方が"受け"だったんですか?」
 瞳を輝かせて尋ねてきた内容がソレだったのは、ある意味お約束だったのか。
 野球の話から、今度は家族の話にうつる。菜々の姉妹ほど濃くはないが、同じ学年に姉がおり、しかもその姉もなかなかネタには困らない。いくつか厳選したエピソードを披露したのだが、今度は菜々の反応は捗々しくなかった。
「せんぱいって、シスコン?」
「ち、ちがうって!」
 多少は自覚あるものの、そこまで酷いものだとは思っていないのだが、菜々の表情を見る限りそのようには捉えられていないようで。
「ど~りで、私の姉たちを見る目もいやらしいと思いました。とことんの姉属性というわけですね」
「そ、そんなことは、ないんじゃないかなぁ?」
「でも、お姉たちとゲームやっている時とか楽しそうでしたし、瑠々姉や百々姉のボディタッチに鼻の下伸ばしていました」
「あ、やっぱヤキモ……なんでもありません」
 凄い目で睨まれたので、最後まで言わずに頭を下げる。中二の女の子に凄まれて引き下がるとか、情けないけれどなんだかそれも良い。
「大体、お姉たちには私と先輩が付き合っていると言っていますが、事実は異なるんですからね、そこのところ認識してください」
 親しくなっても友人以上の関係にはなれていない。ここから先に進むには告白するしかないのかもしれないが、断られるかもしれない、今までの関係を壊してしまうかもしれないと考えると、足踏みせざるをえない。
「だけど百々さんたちも凄いね。菜々ちゃんのお姉さんたちだから、見た目だって良いし、剣道やってるから体も細く引き締まっているし、普通にモテると思うのに」
 だけど実際、百々たちは自分たちがモテるわけないと思っている節がある。女子高育ちで男性に慣れていないというのは実際にそうなのかもしれないが。
 そんなことを口にすると、菜々の表情がさらに険しくなっていく。姉たちのことばかり話されても、やはり面白くないのか。
「えーと、そうだ菜々ちゃん。この前、『ミスプリ』貸してくれるって言ってたよね」
「ああ、はい、ありますよ。ちょっと待ってください」
 話題をそらしたのだが、菜々は特に不審に思うことなく立ち上がり、棚に向かう。
「えと、あれは……と」
 棚の上の方に置いてしまったらしく、菜々は背伸びをして取ろうとしているが届かない。見栄を張らずに素直に椅子を使えばと思うのだが。手伝ってやろうかと立ち上がろうとしてふと目を上げると、背伸びをしている菜々のミニスカートの下から伸びる太腿に視線が釘付けになる。ひらひらと揺れてしかも伸びをしているから、パンツが見えそうで見えないという絶妙な具合。ほんのりと、お尻の膨らみも見えるような気がするのは、想像力のなせる技か。
「ん~~~っと」
「あ、菜々ちゃん、危な……」
 注意しきる前に、棚の一番上を掴んでいた菜々が手を滑らせる。素早く祐麒は菜々の背後まで駆け寄り、バランスを崩した菜々を背後から抱くようにして支える。
「大丈夫、菜々ちゃん?」
「――あの、別に倒れそうにもなってないんですけど」
「いや、そうはいっても」
 お腹にまわした手の甲に、菜々の指が触れる。
 真ん前にある菜々の整った顔に、胸の鼓動が速くなる。
 そして。

「――菜々、部屋締めきってエロいことでも」
 鍵をかけていたはずの扉をどうやって開けたのか分からないが、顔を覗かせたのは瑠々。
 部屋の中の祐麒と菜々の姿を見て。
「ちょっ、百々姉っ、寧々姉っ、菜々と祐麒のやつ、今度は着衣のまま立ちバックでヤッているよーーーーっ!?」
 今の二人は、棚に片手をつくようにして上半身を前に、お尻を軽く後ろに突き出すような格好の菜々。そしてその菜々の背後に立ってお腹を抱えるようにしている祐麒。しかも菜々はミニスカートで、祐麒が抱きついているせいで少し捲れて、瑠々の方から見たらスカートが見えずに太ももから下だけが出ているように見えるかもしれない。
「瑠々姉、ちょっ……」
「こんちくしょーーーっ!!」
 泣いて走り去る瑠々。
「せ、せんぱい、いつまでしがみついているんですか、いい加減離してくださ……って、ちょ、なんかお尻に当たっているんですけどーーーっ!?」
「いや、これは不可抗力で、ごめっ」
「だから押し付けないでくださ……って、天誅っ!!」
「はぶっ!?」
 肘打ちをくらい、お尻から床に崩れ落ちる。倒れると視線が低くなり、当然のように菜々のスカートの中に目が向く。
 パステルイエロー。
「……って、どこ見てんですかっ!?」
「うげあああぁぁぁっ!!?」
 菜々のストンピングが炸裂して悲鳴をあげる。あまりの痛みに悶絶し、意識が一瞬遠くなる。
「――菜々、一体どんなプレイを」
「って、うわ……」
「え、一人でできるもんって、こういうことだったの? まさか、足で踏んでだなんて……福沢くんて、ドM?」
 三人姉妹が入口から顔を覗かせ、室内の惨状に目を丸くする。
 というのも、祐麒は仰向けになって倒れ、腰に手を当てて仁王立ちになった菜々に足で股間を踏まれ、体をぴくぴくと痙攣させているのだから。
「ちょうど今、昇天したところかしら?」
「菜々ェ……」
 醜態を晒しながら祐麒は。
 心の中で泣いていた。

 

「……なんか俺、菜々ちゃんのお姉さんたちにすっげえ誤解されている気がするんだけど」
「奇遇ですね、私もお姉達に誤解を受けている気がします」
 ひと騒動を終えた後、結局二人は対戦格闘ゲームをするいつもの流れになっていた。なんだかんだいいつつ、これが一番落ち着くのだ。
 菜々が使うのは重量級キャラや男臭いキャラが多い。一方で祐麒は、トリッキーな動きを見せるキャラを比較的好むが、オーソドックスなキャラを使うことも多い。
 二人の腕は互角に近いが、やや菜々の方が上手い。
「でも私、驚きました」
「……何が?」
「だって、本当にアレ、あんな風に大きくなるんですね」
「ぶはっ!? ちょ、何言っちゃってんの菜々ちゃんっ」
「い、今まではBL本読んでも想像するだけでしたが……なんだか、急に生々しさを感じるようになりました」
 頬を赤くしながらも、真剣な顔して祐麒を見てくる菜々。それでいてコントローラを捌く指は正確で、画面では菜々の操作するキャラがコンボを決める。
「今度は、本物を見てみたくもなりました……その、怒張した男の人のモノを! それから、本当に本で見るみたいに勢いよく射出されるのかも!」
 耳まで真っ赤にしつつ、拳を握りしめて力強く言い放つ菜々。その隙をついて祐麒もカウンターからの必殺技で相手の体力を削り取る。
「そ、そうゆうことを女の子が口にしない!」
「なんでですか。こう、溢れ出る探究心を抑えることは不可能です」
「だ、だからってね」
「な、なんだったら、な……菜々がお手伝いしましょうか?」
「何を言って……」
 見つめてくる菜々に、呼吸が苦しくなる。

「そ、そーゆーことは、本当に好きな付き合っている相手とするもので……大体、いきなりそんなんじゃなく、もっと順番ってものがあるだろ」
「順番って、例えば?」
「だから、そーゆーことの前に、キスとか……そもそもちゃんと告白して、さ」
「じゃあ、キスしたら……いいんですか?」
「え? な、菜々ちゃん……?」
 これは、キスしていいとそういうことか。ここでヘタレたら男がすたる、据え膳喰わぬは末代までの恥というし。
「――――と見せかけて、超・必殺竜神乱舞暗黒神拳っ!!!!」
「って、なんじゃそりゃああああああっ!?」
 画面では、菜々の操るキャラの隠し技によって一撃KOされる祐麒のキャラ。
 コントローラを放り出し、倒れる祐麒。
「へへー、これで私の勝ち越しです」
「卑劣なり、有馬菜々……」
「ふふ、これぞひっさつのいろじかけ……」
 結局は、菜々にいいようにからかわれていただけということ。中二の年下の女の子の『色仕掛け』にまんまと乗せられた、思春期真っ盛りの高校生男子の図。情けないと思いつつ、振り回されるのも嬉しい。相手が菜々なら、どこまで振り回されても振り払うことは出来ないだろう。これはもう、惚れたが負けというやつだ。

「ほらぁ、せんぱい、さっさと起きてくださいよ。次の勝負ですよー」
 菜々が腹の上にのっかってきて体を揺すっているのが分かる。この前、これで瑠々に変な誤解を与えたというのに懲りないものだ。
 目をつむって倒れたまま祐麒が起きないので、菜々はしつこく手を胸において揺する。
「先輩、次の一戦いきましょう。まだまだ、これからなんですから」
「ああもう、分かった分か、がっ!!?」
「っ、アイターーーっ!?」
 無造作に体を起こしたら、菜々と正面衝突してしまった。痛みに思わず額を抑える。続いて、口元。
「…………え?」
 今、確かに口、というかむしろ歯に衝撃があった。硬い何かにあたった。骨の部分か何かかと、菜々を見れば。
「あいつつ……」
 同じように口を両手で覆っている菜々。
 目が合う。顔を見合わせる二人。
 菜々の顔が赤くなるのと祐麒の頬が熱を帯びるのは同時だった。
「え、え、いや、菜々ちゃん、もしかして今」
「なななな何ですか!? 何か起こりましたか、私は……」
 口を閉じて、再び見つめ合う。
 歯と歯がぶつかった。それは即ち。もしかして。

「――――今度は対面座位かいっ!? どんだけヤリまくれば気が済むのよ、この発情カップルがーーーーーーーーっ!!!!」

 なぜか再び部屋に戻ってきた瑠々が、祐麒の股倉の上に祐麒と向かい合って座っている菜々の姿を見て叫ぶ。
「ちが、瑠々姉っ、だから……って、ま、またなんか当たってる!?」
「いや、仕方ないだろこればかりは。だって、すきなおんなのことまぼぁっ!!!」
 うっかり口にしてしまった思いは、菜々の拳によって防がれた。
 そのまま再び倒れ込みながら。
 それでも幸せな気分になる祐麒なのであった。

 

 

おしまい

 

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