【作品情報】
作品名:シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗
著者:高殿円
ページ数:213
ジャンル:ミステリー
出版社:早川書房
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
良いコンビ度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : ちょい変わったホームズのパスティーシュを楽しみたい
女医のジョー・ワトソンは探偵シャーリー・ホームズと同居していた。
ある日、ジョーの叔母キャロルが結婚するとの報せが入った。
夫となるヘンリーはデヴォン州アルスターの名家バスカヴィルの子孫で、最近、前当主が亡くなって跡を継ぐことになったという。
ジョーはバスカヴィルの屋敷に招待されるが、脱獄した殺人鬼と魔犬伝説が街を騒がせており不穏な雰囲気。
そして、ジョーにも魔の手が伸びる。
半電脳と人工心臓のためになかなかロンドンを離れられないシャーリーだったが、ジョーを助けるために動き出した。
現代のロンドンを舞台に、ホームズの登場人物の性別を逆転させたホームズ・パスティーシュ作品。
前作、『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』が刊行されてから時間も経ち、続編はもう出ないのかと思っていたけれど、かなりの時を経て続編が出てきた。
舞台、登場人物はもちろん変わらない。
- 半電脳、人工心臓で、美貌の女探偵、シャーリー・ホームズ。
- そして現代の女性っぽいジョー・ワトソン。
二人のキャラクターが実に現代っぽく、楽しませてくれる。
何よりワトソン、というかジョーのうっかりなキャラクターが、女性ならではの魅力を放っている。
しかし、ジョーの凄惨な過去が本作ではちらりと描かれていて、その辺もいずれどこかで話になったりするのかな? と思わせられる。
今回はロンドンを離れた地で起きた事件にジョーが巻き込まれる。
ロンドンを離れることは身の危険を大きくすることになるシャーリーだが、ちゃんとジョーのために行動してくれるのは嬉しいところです。
魔犬の伝説と殺人鬼、なんだからヨーロッパにはお似合いな舞台設定と物語。
でも、その裏に隠されている事情。
本格ミステリーというよりは、ロンドンを舞台にしたサスペンスドラマという感じが良く似合う。
明らかに怪しい登場人物、やっぱり怪しかった。
でも、この手の物語はそれで良いと思う。
ピンチに陥ったジョーを颯爽と助けるシャーリー。
でも体が弱いから最後にはジョーに心配される立場になってしまうのも、完璧じゃないところを見せていて良いですね。
登場人物の過去がちらほら出てきて、これは次作以降への布石でしょうか。
なんかこう、勝手なイメージですが、イギリスっぽい話を見せてくれるのを楽しみにしたいです。
次はもっと早くに刊行されますよね?
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