【作品情報】
作品名:神話の密室 天久鷹央の事件カルテ
著者:知念 実希人
ページ数:256
ジャンル:ミステリー
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
シリーズ安定度 : ★★★★★★★★☆☆
こういう人におススメ! : シリーズ読者。ライトなメディカルミステリ―が好き
まるで神の御業のような不可思議な「密室」の謎。
アルコールが一滴もないはずの閉鎖病棟で泥酔を繰り返す人気小説家。
キックボクシングのタイトルマッチ、勝利の瞬間にリングで死亡した王者。
かたや厳重な警備の病院で、こなた千人以上の観客が見守る中で。
まるで神様が魔法を使ったかのような奇妙な「密室」事件、その陰に隠れた思いもよらぬ「病」とは?
天才女医・天久鷹央が不可能犯罪に挑む。
今回は、長編ではなく2つの中編で構成されている。
それぞれに共通しているのが、「密室」
片方は、出入りも監視された閉鎖病棟で、誰も持ち込んでいないのに泥酔してしまう小説家。
もう片方は、衆人環視のリング上で亡くなったキックボクサー。
果たして誰が、どのようにして?
というところを鷹央と小鳥遊のコンビ+舞が解決していく。
というか、完全に舞は統括診断部ファミリーになっていますね。
医療知識を持った鷹央が事件の謎を解決するというスタンスはもちろん変わらないのですが。
今回はそんな中でも、後ろのキックボクサーの事件に関しては、小鳥遊に事件の解決を任せます。
亡くなったキックボクサーとその妻といった関係者は、小鳥遊の知り合い。
事件の謎を理解した鷹央は、自分ではなく小鳥遊こそがこの事件を解決すべきと判断した。
その判断こそが、鷹央が変わったことを示すもの。
他人の心情をくみ取ることが出来ない鷹央ですが、それでもこの事件は小鳥遊じゃないと駄目だと考えた。
以前の鷹央なら、そんなことしなかったのではないかと思います。
鷹央の思いをくみ取って小鳥遊は事件に相対します。
そしてなぜ、自分じゃないとだめなのかを理解して、事件の解決にあたる。
鷹央と小鳥遊の関係性。
そして二人の成長。
そんなものを同時に描いているわけで。
安定のシリーズ。
今回は何か、あっさり感が強かった。
まあ、ページ数も多くないですし。
そういった意味で少し物足りなく感じるかも?
あと、謎事態もちょっとイマイチに感じるかもな。。。