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ファンタジー 書評

【ブックレビュー】丕緒の鳥(著:小野不由美)

更新日:

【作品情報】
 作品名:丕緒の鳥
 著者:小野不由美
 ページ数:358
 ジャンル:ファンタジー
 出版社:新潮社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 名もなき民の物語度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 十二国記シリーズを読んでいる人

 

■作品について

慶国に新王が登極した。
即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。
陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。
希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか。
表題作を含む4作からなる短編集。

■良かった点

十二国記シリーズの短編集。
そこで描かれるのは、王や麒麟といった日の当たる人たちではなく、名もなき男達。

陽子たちの目線で描かれている他の作品でも、苦しむ姿や、ままならない世の中が描かれていました。
それでも、王ですからなんだかんだ恵まれている部分もある。
この短編集では民の目線で十二国というものが描かれているから、より過酷ともいえる。
ファンタジーであるが、決して楽な世界ではない。
その世界を語ってくれる。
だから、読みやすい筆致でありながらも、胸に落ちてくるこの重さ。

メインの人達が出ないからこそ、更に作品の奥深さが味わえる。
世界観が作り込まれたうえで作品になっているということが良くわかる。
きっと、描かれていないもっとたくさんのことがあるのだろう。
そして、そういうのがあってこそ、本編の面白さがあるのだろうと理解する。

陽子たちが出てこずとも、十二国記であることに間違いない作品。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

メインどころの登場人物が出てこないので、その点で寂しくもある。

 

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