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はやて×ブレード

【はやて×ブレードSS(玲×紅愛)】その手が触れたモノ

更新日:

 

~ その手が触れたモノ ~

 

 

 白服同士のエキシビジョンマッチで怪我をしてからというもの、自由を奪われて体がなまって仕方がないというのが、玲の素直な思いであった。
 こっそりと部屋を抜け出して体を動かそうとしたところで、すぐに紗枝に見つかってしまい、強引に部屋に引き戻される。それどころか、動かないようにと様々な拘束をかけられてしまう始末。
 紗枝の恐ろしさは、刃友である玲はよく分かっている。
 だから、なるべく大人しくしていたわけだが、今日は珍しく紗枝の監視がなかった。というのも、生徒会活動とかなんとかで、会長であるひつぎに呼び出されているからである。
 さすがの紗枝も、あの会長相手となるとなかなか思うようにはいかないようで、そう簡単には抜け出してくることは出来ないであろう。
 今こそ好機であると、玲はさっそく、ベッドから抜け出そうとした。

「……ちょっと、どこに行こうってゆうのよ」
「うをぅっ!?」

 突然の声に、体がビクリと反応する。
 ベッドを降りかけた格好のままで振り返ってみると、入り口のドアに寄りかかるようにして星河紅愛が立っていた。
 不覚にも、気配に気がつかなかった。自室で気を緩めていたとはいえ、相当になまっているようである。鍛錬は一日休んでしまうと、一気に落ち込んでしまう。だから少しでも動いておきたかいというのに、紗枝が束縛する。
 お陰で、紅愛が来ていたことにすら気がつかないなんて情けない。実践であるなら、討たれていたことになる。
「やっぱり、大人しくしているつもりなんてないのね」
「なんの用だよ」
「紗枝に頼まれてね。玲の、見張り」
 聞いて、玲は顔をしかめた。
 紅愛は表情を変えるでもなく近づいてくる。いや、むしろ呆れたような顔をしている。
「ホント、玲って単純よね。紗枝の言うとおり、すぐに動こうとして」
「別にいいだろ、あたしの体なんだから。大体、これくらいどうってこと」
 と、言いかけたところで、紅愛が玲の脇腹に軽く手刀を入れた。途端に、痛みに顔をひきつらせ、体をくの字におる玲。
「お、お前なぁ……」
「どうってことないんじゃ、なかったの?」
 すまし顔の紅愛。
 にらみつけようとするものの、痛みをこらえてでは迫力があるわけもない。
「素直に大人しく寝ていなさい」
「くっそぉ」
 しぶしぶ、ベッドの上に戻り、ベッドの背にもたれかかる玲。
 紅愛は椅子を持ってきて、ベッドの傍らに腰を下ろした。
「……もう帰れよ。別に、もう今日は動く気も失せた」
「駄目よ、玲のそういうのは信用ならないし。紗枝からバイト代ももらったしー」
「紗枝が? バイト代?」
 いったい、何をもらったのかと目で問うと、紅愛は口の端を上げてにんまりと笑った。
「見張っている間、玲で遊んでいいって」
「――紗枝のやつ~~~っ!!」
 拳を握るが、力をいれると怪我した箇所が痛むため、中途半端にしか力を込められない。余計に、ストレスがたまりそうだった。

 

「嘘よ。新作のマニキュアもらってね」
 言いながら、ポーチから小瓶を取り出してみせる。
 新作といわれたところで、興味のない玲にはよくわからない。
「ほら、さっさと手、出して」
「はっ?」
 眉をひそめると、紅愛もまた同じような顔をした。
「は、じゃなわよ。学園祭の続きしてあげるから、手を出してと言っているの」
 どうやら、学園祭のときの『メイドネイルサロン』の続きをしようと言っているようだったが、続きといっても日が過ぎすぎている。
「いいよ、そんなの」
「よくないわよ。あんな中途半端で終わられたんじゃ、私のプライドが許さないわ」
 強い目つきで見つめてくる。
 剣に対してもこれくらい真剣に向かい合えば、もう少しはマシな腕になるものを、などと益体もないことを考える。
 爪の化粧などどうでも良かったが、紅愛は引き下がりそうもないし、今の状態では紅愛にだって痛い目にあわされる。
 どうせやることもないのだし、ここは大人しく紅愛に付き合うかと、手を差し出す。
「そうそう、最初から素直にそうしていればいいのよ」
「うるせーな、さっさとやれよ」
「はいはい」
 紅愛の手が、玲の手を取る。
 ポーチから出した道具で、紅愛は手際よく作業を進めてゆく。
 まずはネイルケアを行い爪の状態を整え、アルコールで爪を拭いて爪の油分を落とす。次いで、ベースコートを塗って乾かす。
 乾けばいよいよ、色をつけることになる。
「玲は、何色が好き?」
「なんでもいいよ」
「そんなこといって、気に入らない色になっても知らないわよ」
 紅愛は口を尖らすが、玲は気にしない。
「紅愛に任せるよ。紅愛の選んでくれたものなら、間違いないだろ」
 ネイルに関しては、紅愛はプライドを持っている。だから、わざと変な色や模様をつけたりすることは、絶対にない。
 だから、玲は言い切ったのだが。
「な、何よっ……そ、そりゃ、真面目にやるけれど」
 なぜか紅愛は頬を赤くし、顔を背けてしまった。
「急に変なこと、言わないでよねっ」
「な、なんだよ、変なことって。あたしはただ、本当にそう思ったから」
「わ、分かったから。ほら大人しくして」
 いくつかの瓶を見比べてネイルカラーを選んでいる紅愛。横顔は、やはりほんのりと朱に染まっているのだが、そんな紅愛が妙に可愛らしく見えて、玲はドキッとした。

(な、なんだ……紅愛ってこんなに、可愛かったっけ)

 内心の動揺を悟られないよう、窓の方に顔を向けるが、視線はどうしても紅愛の方に吸い寄せられてしまう。
 爪だけでなく、お洒落には人一倍気を遣う紅愛。
 いつもは済ましているが、意外と動揺しやすく、分かりやすいタイプ。
「あれだけ鍛錬しているくせに、玲って指とか爪、綺麗よね。ケアしているの?」
「別に、そんなのしてないよ」
「ふうん。羨ましい」
 紅愛の手が、玲の手を掴む。
 剣を握っているとは思えないような、細くて柔らかな感触に、なぜか胸の鼓動がわずかに速くなる。
 ちらりと目をあげてみれば、玲の爪に真剣にマニキュアを塗っている紅愛。前屈みの姿勢になっているせいか、ブラウスの胸元から下着と、下着に包まれた胸の膨らみが目に入ってくる。
 思ったより大きく、柔らかそうな胸に、玲の動悸はさらに激しくなる。紅愛は爪に集中しているためそんな玲の様子に気づくこともなく、玲は紅愛の胸の谷間から目を離すことができなかった。
「はい、おしまい」
「えっ、あ、おう」
 紅愛の言葉に、慌てて視線を戻す。
「本当はもっと重ね塗りしたり、柄をつけたいんだけれど、玲が辛抱できないでしょうから、シンプルな塗りに――――って、どうしたの玲、熱でもあるの?」
「なな、なんでもねえよっ」
「変な玲。さ、ほらそっちの手も出して」
 手の平を向けてくる紅愛。
 まだ塗られていない、反対側の手。素直にその手を差し出そうと体をひねりかけたところで、脇腹の痛みに顔をしかめた。
 紅愛から見て反対にある手のため、今の位置関係では届かない。ベッドは壁際にあるため、紅愛が反対側に回りこむことも出来ず、紅愛に見せるにはどうしても体をねじる必要がある。

「そっか、このままじゃ届かないのね。仕方ない」
「お、おい紅愛っ、何してるんだよっ」
「何って、こうするしかないじゃない」
 玲の見ている前で紅愛はベッドの上に身を乗り出してきて、玲と向かい合うようにして腰をおろした。
「こうすれば、大丈夫でしょう」
 言いながら、さっさともう片方の手をとり、ネイルケアをすすめていく。すぐに、紅愛は玲の爪に集中し始める。
 ふと、今度は視線が下に向かう。
 すると、玲の脚の上に跨る格好となった紅愛。広げられた脚を追ってゆくと、ミニスカートの下、無防備に覗いて見えるショーツが目に映る。
 ライトグリーンの、フラワーレースのあしらわれたショーツ。そして、ショーツとニーハイソックスにはさまれた格好の、むっちりとした太腿。
 思わず、ごくりと唾を飲み込む。
 鼻をつく甘い香りは、紅愛のつけている香水か。
 真剣な表情で、時には眉をひそめたり、舌で唇を舐めたりする紅愛が、やけに可愛らしく見えてくる。
 どれくらいの時間が経っただろうか。
 紅愛の表情や、下半身に目を奪われているうちに時は流れていた。
「……はい、これでこっちもおわり」
 気がつくと、両手の爪とも塗り終わっていた。
 見れば、玲の十の爪は綺麗に色がついていた。紅愛が言ったとおり、シンプルな塗りではあったけれども、丁寧に、見栄えよく塗られていた。
「ミントグリーンにしておいたわ」
「へー、紅愛の下着と同じだな」
「え?」
 目を丸くし、ついでゆっくりと視線を下におろしてゆき、無防備に開脚していた自分の格好を見て。

「ば、バカっ! な、何見ているのよっ!?」
 慌てて手でスカートをおさえて股を閉じ、顔を真っ赤にして抗議してくる。
「な、お、女同士だろ、今さら何言ってんだよ」
 言いながら、玲も自分の顔が赤くなっていることに気がついていた。
「うそ、ずっといやらしい目で見ていたんでしょう?」
「そ、そんなわけねーだろっ!」
「信じられないわよ」
 四つんばいになって詰め寄ってくる紅愛。
 しかしその体勢だと、先ほどよりも胸元の空き具合が大きくなり、重力によって胸の谷間も、より迫力をもって見えるというもの。
 つい、釘付けになる。
 すると、玲の視線を追いかけて、紅愛も気がついた。
「ちょっ、どこ見ているのよっ」
「いや、違っ」
 胸元を手で抑えようとして、だけど四つんばいの格好だったためバランスを崩し、前のめりに倒れそうになる紅愛。
 咄嗟に、支えようと突き出した玲の手がつかんだものは、先ほど目を奪われた紅愛のバスト。
 手の平にちょうど収まるソレは、ブラウスと下着越しにも柔らかい感触で。

「あ、わ、悪ィ」
 謝りながらも、手は紅愛の胸をつかんで離さない。いや、離れないのだ。
 紅愛の顔が、先ほどの比ではないほどに朱に染まってゆく。
「な、な、な……」
「いや、はは、い、意外と大きいな、紅愛」
 誤魔化すように笑いながら、わけのわからないことを口走ってしまう。それでも、手の平は紅愛の胸を包み込んだまま。
「な、何よ。玲だって」
「ふあっ!?」
 不意に痺れが、体をはしる。
 お返しとばかりに紅愛の手がのびてきて、玲の胸に触れたのだが。怪我で療養中だったということもあり、玲は下着をつけていなかった。薄いシャツを通して、直に胸を触られているような感触。
 紅愛も当然、触った瞬間に気がついただろうが、手を離したりはしなかった。
「お、おい、紅愛」
「男みたいなクセに、こんなに大きいじゃない」
 わやわやと、胸を揉んでくる。
 紅愛の手の平を感じる。敏感な部分を布越しに刺激され、無意識に声が漏れそうになるのを必死におさえた。
「い、いい加減にやめろよ」
「玲の方から、してきたんじゃない」
 お互い、意地になったように続ける。
 次第に、紅愛の吐息が熱く、甘いものになっているように思えた。いや、玲自身の息遣いも少しずつ乱れていた。下着をつけていない分、玲の胸に与えられる刺激の方が強い。
 目の前には、紅愛。
 何かに必死に耐えているような紅愛の表情が、たまらないほどに可愛らしい。
「紅愛、お前……可愛いな」
 自然と、そんな言葉が口をついて出ていた。
「なっ――――!?」
 紅愛の動きが止まる。
 玲は片手を胸から離し、スカートの下に潜り込ませた。
 紅愛のショーツは、熱くなっていた。
「んあっ!? あ、玲っ……!?」
 紅愛の身体から、力が抜ける。
 ガクン、と玲のほうに倒れ掛かってきた。
「はぐわっ!?」
 突然の激痛に、玲は悲鳴をあげた。
 倒れてきた紅愛の肘が、おもいっきり怪我した箇所にあたったのだ。声もなく、脇腹をおさえて体を折る。
「あ、ご、ゴメン玲、大丈夫っ?」
「…………っ」

 結局その後、紅愛は僅かに頬を赤くしたまま、逃げるように玲の部屋を出て行った。

 

 紅愛が部屋を去ってから一時間ほどして、紗枝が戻ってきた。
「早かったな」
「まあね」
 素っ気無い返事をしながら、紗枝は何やら室内の様子を詮索するように、うろうろと動き回る。
 首を傾げる玲を無視して、シーツをめくってみせたり、ゴミ箱の中やベッドの脇を覗いたりしている。
 何をしているのかと問いただそうとした玲に先んじて、紗枝が口を開く。
「紅愛、きていたでしょう?」
「おっ!? お、おう」
 思わず、心臓が跳ね上がる。
 紗枝の目が細くなり、やがてため息をつく。
「な、な、なんだよっ」
「――――玲の、ヘタレ」
「どどど、どういう意味だよっ!?」
「言葉の通りよ。あーあ、せっかく部屋を空けてあげたのに」
「だ、だから、なんなんだよっ」
「自分の胸にきいてみたら?」
「む、ムネって」
 そこで、先ほど触れていた紅愛の柔らかな胸の感触、そして紅愛に触られていた感覚を思い出す。
「――――あらら、何もなかった、ってわけじゃなさそうね」
 楽しそうに笑う紗枝。
「さ、紗枝、お前なあっ」
「あとで、紅愛の部屋にも行ってみよっと。からかったら面白そう」
「ばばば、馬鹿なことはやめろよっ」
「何が、馬鹿なことなのかしらねぇ?」
 可笑しそうに揺れる、紗枝のポニーテール。

 意地悪な刃友の姿を見ながら。

 

 脳裏に焼きついてしまった紅愛の姿に、手の平に未だ感じる紅愛の感触に、玲は心と体を熱くするのであった。

 

おしまい

 

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