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エンタメ 書評

【ブックレビュー】凶犬の眼(著:柚月裕子)

更新日:

【作品情報】
 作品名:凶犬の眼
 著者:柚月裕子
 ページ数:336
 ジャンル:エンタメ
 出版社:KADOKAWA

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 昭和の熱き男の義侠心を感じる度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : ハードボイルド系が好み

 

■作品について

所轄署から田舎の駐在所に異動となった日岡秀一は平穏な日々を過ごしていた。
だが、それは同時に空しさも感じさせるもの。
大上とともに、ヤクザとしのぎを削った日々のひりつきは感じようもないから。
そんななか、懇意のヤクザから建設会社の社長だと紹介された男が、敵対する組長を暗殺して指名手配中の国光寛郎と判明する。
国光を捕まえる功績を挙げれば刑事として現場に戻れるかもしれないと考える日岡に対し、国光は
「もう少しだけ時間が欲しい」
事が済めば、必ず日岡に捕まるからと、懇願する。

国光と接しながら変貌していく日岡。
警察vsヤクザ。
その狭間で生きる日岡が下す決断、そして、それがもたらすものは。

■良かった点

『孤狼の血』シリーズ第二弾。

前作にて、日岡の師でもあった大上が亡くなり、その後を継ぐことになった日岡。
とはいえまだ若手である日岡に大きなことができるわけではなく、所轄署から田舎の駐在所に異動となっていた。
平和で平穏な日々ではあるが、それが日岡を癒すことはない。
大上から託されたモノ。
警察上層部やヤクザとのやり取り。
自分がなしたいと思っていること。
悶々としながら、日々を過ごす。

そんな日岡の前に現れたのが、敵対する組長を暗殺して指名手配中の国光寛郎。
国光を捕まえればと思うのは当然のことだが、国光は国光で事情がある。
全てを終えたら日岡のお縄にかかるから時間をくれという。
本来なら、ヤクザとそのような約束をする必要はないはず。
だけど、男気のある国光とのやり取りや、かつての大上や、一之瀬、瀧井といったヤクザとのやり取りを覚えている日岡は、自分一人で国光とやり取りを進めていく。

国光とのやり取り、いやむしろ交流とでもいうべきものか。
それを続けていく中で、日岡は変わっていく。
いや、実際に変貌を見せるのは物語も後半になってから。
だけど確実に、その間にも日岡の中では変化が起きていたはず。
その変貌が如実に見える終盤は、日岡の覚悟を感じさせる。

相手はヤクザ。
だが、仁義を通す男気を持っていて、信頼感のようなものさえ抱くようになっていく。
警察の上層部にすら抱かないような思いを持つようになるのは複雑だろう。
だが、それでも日岡は大上の薫陶を受けているわけで。
全てを理解したうえで、自分の頭で考え、判断をしていく。
これだけでも、日岡がどれだけ強い男なのかが分かる。
真面目で熱血漢だった男に、大上が持っていた別の「強さ」が加わり、凄みさえ感じさせるようになっていく。

時代は昭和。
今の世にも、同じような心を持つ男達はいるのだろうか。
ノスタルジーにも浸れるような、熱い一作。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

三部作ということだが、もっとたくさん出せそうな気がするのに残念。
完結編を読んで、改めてその辺を感じてみたい。

 

 

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