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SF 書評

【ブックレビュー】サーキット・スイッチャー(著:安野 貴博)

更新日:

【作品情報】
 作品名:サーキット・スイッチャー
 著者:安野 貴博
 ページ数:336
 ジャンル:SF
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 問題・課題のリアル度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 現代的でリアルな課題を描いた作品を読みたい人

■作品について

完全自動運転車が急速に普及した2029年の日本。
自動運転アルゴリズムを開発する企業の代表である坂本義晴は、仕事場の自動運転車内で謎の男に拘束されてしまう。
ムカッラフと名乗る襲撃犯は「坂本は殺人犯である」と宣言、動画配信と共に尋問を開始する。
更に車の走る首都高の封鎖を要求し、応じなければ車内に仕掛けた爆弾が爆発するという。
この男の狙いとは――?

■良かった点

自動運転技術は今まさに発展中ですね。
そのなかでレベル5、いわゆる完全自動運転が普及した近未来を舞台に描いている。
というか2029年ってほんとすぐそこですよね。
でも実際、何かしらあればこれくら一気に普及する可能性はあるかもしれません。
最近の技術進歩の速さを考えれば。

そんな中で発生した、自動運転の襲撃事件。
車に乗っていたのは、自動運転のアルゴリズムを開発し世界に普及させた男、坂本。
襲撃犯はなぜ、坂本を拘束したのか。
短絡的に考えると、自動運転の普及によって仕事を失った人の復讐。
だけど当然、そんな単純なことではない。

後半から明らかにされていく、襲撃犯・ムカッラフの真意。
そしてそこから定義される課題。
その畳みかけるような展開はなかなか良かった。
これは小説の形をとった、社会への問題提起でもありますね。
実際に自動運転が実現したら、現実社会でも発生するであろう問題。

文章自体も読みやすく、自動運転に対するビジネスとその課題について非常に分かりやすく描いた作品。
SFではあるけれど、あくまで現実を描いた作品でもある。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

タイトルや表紙からSFっぽさを感じさせますが、エンタメ作品として楽しめます。
SF的素養は不要です。
どっちかというと現実的に技術者の方であれば、さらに楽しめるのではないかと。

 

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