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ギャグ・その他 マリア様がみてる

【マリみてSS(蓉子・聖・江利子・景)】DISASTER SISTERS! 3-5

更新日:

 

-5-

 

 こうして、結局のところ何の報酬もなく、追い出されるようにして村を後にする四人。疲労ばかりが肩に重くのしかかる。
「うぅ、なんで、こんなことに……」
 とぼとぼと歩く蓉子。
「まあまあ蓉子、一応ほら、少しだけど山賊のアジトから、金目のものを持ってきたし」
 聖が手にしているのは、いくばくかの貴金属類。どさくさ紛れの中でどうにか手にした、唯一の報酬ともいうべきものである。しばらくは、飢えや宿に困らない程度にはあった。
「そういう問題じゃない、失ったものの大きさというか、なんというか」
「そう? 新たな異名を得たじゃない、『冥府の魔女』さん?」
「言わないでー!!」
 耳を手で塞ぎ、いやいやと頭を左右にふる。
「もうっ、魔女だとか言われて、皆にパンツまで見られて、最悪よっ」
「え、よ、蓉子のぱぱぱっ、おぱんつ!?」
「何それ、私、見ていない! ずるい、見せて!」
「きゃあっ、やめて、何するのよ馬鹿っ!」
 目の色を変えて蓉子の下半身を凝視し、手を伸ばしてくる聖と江利子を、ホーリーバッシャーで殴って退治する。
 隣では、景が申し訳なさそうな顔をしている。
「ごめんなさい、私のせいで」
「あ、ううん、仕方なかったわよ、うん……」
 蓉子としては、そう言うしかない。
「あーあ、でも金貨はともかく、もう一つの報酬がもったいなかったなー」
 気分を変えるように、聖が言う。
「ああ、そうね。結局、いただけなかったものね」
 江利子もまた、残念そうに頷く。
「え? 私は毎晩、百ちゃんからもらって……」
「何っ!?」
「あ、いえっ」
 失言を悟る景だったが、遅かった。
「も、百ちゃんて、あの可愛い子だよねっ!?」
「うそうそ、ままま毎晩? もらって? 聞いてない!」
 聖と江利子が、興奮した面持ちで食らいついてくる。
「ずるい、景さんばっかり」
「これは、たっぷりと聴かせてもらう必要がありそうね。毎晩、あの可愛い顔した百ちゃんから、どんな接待を受けていたのか」
 言われて、改めて夜毎の営みを思い出し、赤面する景。
「……え、何? お酒をお酌してもらったとかじゃないの?」
 はてな、という感じで首を傾げる蓉子。
「そ、そう、そうよ、それくらいだったし!」
 真っ赤になりながら、必死に蓉子の言葉を肯定する景。
「へえ~、ま、いいや。今晩にでも体に訊かせてもらうし」
「そうね、蓉子が眠った後にでも、ね」
 左右両方から景は肩を掴まれ、意味ありげに見つめられる。
「えーっ、何々、なんで私が寝た後なの? ずるい、私にも聞かせてよ景さんっ」
「だだだ駄目駄目、蓉子さんには絶対、ダメっ!」
「なんで景さんまでそんなこと言うのっ? ひどいっ」
 拗ねる蓉子だが、こればかりは景も、蓉子に訊かせるわけにはいかなかった。いや、聖や江利子にだって、知られたらどんな仕打ちを受けることか。
 景の内心など知らず、ふざけた口調で聖が言う。
「いやほら、『冥府の魔女』には怖くて話せないこともあるわけで」
「だから、その呼び方はやめてーーーーーーーっ!!」
 晴れ渡った空の下、穏やかな平原に蓉子の悲痛な声が響き渡る。

 

 『悪魔の四女神』がうちの一人、『冥府の魔女』の伝説の、これが始まりの日であった。

 

―――とりあえず、おしまい

 

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