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エンタメ 書評

【ブックレビュー】波濤の城(著:五十嵐貴久)

更新日:

【作品情報】
 作品名:波濤の城
 著者:五十嵐貴久
 ページ数:384ページ
 ジャンル:エンタメ
 出版社:祥伝社

 おススメ度 : ★★★★★★☆☆☆☆
 パニック度 : ★★★★★★★★★★
 こういう人におススメ! : パニックものが大好きな人

 

■作品について

「炎の塔」に続くシリーズ2作目。
豪華客船でのクルーズ。
しかしそのクルーズには経済やら会社やら利権やら、そういった諸々が裏にある。
そのせいもあって、本来のルートから航路を変更して進んでいく。
荒天の中で船は進み、船内では徐々に異変が発生してくるが、それでも船長は安全な航路をとることができない。
巨大台風が追いかけてくる中、やがて船はとうとう最悪の事態に見舞われることに・・・・

<関連レビュー>
■炎の塔

■良かった点

前作が「タワーリング・インフェルノ」とくれば、今作は当然、「ポセイドン・アドベンチャー」です。
今回もまた、銀座第一消防の神谷夏美が巻き込まれます。って、休暇でリフレッシュのため乗った豪華クルーズ船でこんな災害に遭うってどれだけ運が悪いんだ、というのは置いておいて。

ビル火災ももちろん逃げ場はないわけですが、それでも地上からの援軍、助けが期待できる。
しかしながら海上での船となるとそうはいかない、まさにどこにも逃げ場はなく、嵐ともなれば救助が来るのも何時間も後のことになる。状況はより絶望的。
ここでもやっぱり、エゴ丸出しにして行動する輩と、どうにかして客たちを助けようと奮闘する人とに分かれるわけですが、前作より良いのは自分の利益や都合のことしか考えない連中の行動がよりえげつないことになっている。こういうのは極端な方が憎みやすいしドラマっぽい。中途半端に良い人だったり、途中で改悛したり、なんてしない方が面白い。
そしてそういう連中の末路というのがまあ憐れなわけですが自業自得。

一方でどうにかして助かろう、助けようと動く夏美達。即ち今回は夏美がジーン・ハックマン? ちょっと違うか。
浸水して徐々に追いつめられる中、救いの道を探して懸命に足掻く姿はなんだかんだと続きを早くと読ませられる。
過去にあった事からどうにかして客を助けようと奮闘する乗務員。憎まれ口を叩き、自分のことを第一に考えて動いていたのにいつの間にか皆を助け出す男、テンプレ的な登場人物も良い味を出している。

読みやすい文章で、スピード感のある展開。
パニックものはこうでないと。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

ポセイドン・アドベンチャーが偉大すぎるのが辛い。転覆して逆さになった船から脱出すべく船底を目指すアイデアとか、さすがにそのままは使えなかったですね。

さて、次回作は「大空港」ですね。

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