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【推しの子】

【推しの子】SS:『星の都へ ”Side-ルビー ママ”』(ミヤコ・アクア・ルビー)

投稿日:

 

~ 星の都へ ”Side-ルビー ママ” ~

 

 どっひゃー、びっくりした!

 お兄ちゃんがあんなことを言ってくるなんて、何がどうしたのかと思っちゃったよ。まさか、知らない誰かが転生してきたなんてことはないよね、今更。

 まあ、なんだかんだいってお兄ちゃんは優しいからね、ツンデレってやつだ。

 だけど本当に、ミヤコさんの誕生日を祝おう、それも母親として、なんて言われるとは“せーてんのへきれき”ってやつだね。

 話を聞いた時は驚いたけれど、私としては大賛成!

 むしろなんで今までやっていなかったんだろうって思ったくらいだね。

 だって、私とお兄ちゃんの誕生日は毎年必ず三人揃ってお祝いをしていたから。

 

 

 ママがいなくなった後、私が立ち直って元気になり、ママみたいなアイドルになることを目指すと前向きになれたのは、確実に何割かはミヤコさんのお陰だ。

 ミヤコさんは、ママが亡くなって行き場を失った私達に手を伸ばしてくれた。そのとき私がその手を取ったのは、そのとき手を伸ばしてくれたのがミヤコさんだったというだけで、ミヤコさんじゃなければ駄目だった、というわけじゃなかった。

 もちろん、ミヤコさん以外の誰でも良かったなんてわけないし、ミヤコさんだったから手を取れたのは間違いないけれど。

 正式にミヤコさんの養子になってからも、私はしばらくは情緒不安定で無気力になっていた。アイドルになりたいという漠然とした夢は抱いても、ママを失った穴は大きすぎてそう簡単には立ち上がれなかった。

 そんな私とずっと一緒にいてくれたのが、ミヤコさんだった。

 私が無反応でも、急に癇癪を起こしても、我がままを言っても、ミヤコさんは側にいてくれた。

 

 ときには何も言わず抱きしめてくれて。

 

 ときにはただ甘やかすだけでなく叱ってくれて。

 

 ときには私のことを褒めてくれて。

 

 もちろん私だけじゃなくお兄ちゃんにも寄り添ってくれていた。お兄ちゃんはあんな性格だし、一人でなんでもできますー、みたいなすまし顔しているけれど、裏でどれだけミヤコさんが手を回してくれていて、そして心配してくれていたか分かっていない。

 いくら転生して昔の大人の知識があるといっても小学生にすらなっていない子供にできることは限界がある。そういうところに気がついていないの、お兄ちゃんもまだまだ甘いよね。

 

 と、話がそれちゃったけれど、とにかく私が比較的早くに立ち直れたのはミヤコさんのお陰ってこと。

 ママは間違いなく私に溢れんばかりの愛情を注いでくれたけれど、育ててくれた、という感じではなかった。私から見ても変わった人だったから、育児に向いている人ではなかった。

 

 ママとして愛してくれたアイ。

 

 母親として愛してくれて育ててくれたミヤコさん。

 

 ミヤコさんは毎年私とお兄ちゃんの誕生日を祝ってくれて、誕生日プレゼントをくれた。

 ミヤコさんは料理あまり得意じゃないけれど、その日は私の大好きな手作りコロッケを作ってくれた。私もお手伝いするんだよ!

 それだけじゃない、七五三、入学式、卒業式といった節目には仕事の時間を空けて私たちのことを優先してくれた。

 他にも運動会や文化祭も見に来てくれたし、授業参観にだって来てくれた。お兄ちゃんとクラスが違うから、先にお兄ちゃんのクラスに行って、途中で抜け出して私のクラスに来てくれていた。

 お兄ちゃんは、「別にオレのことはいいからルビーの授業をみてくれ」なんて言っていたけれど、ミヤコさんは必ずお兄ちゃんのクラスに先に足を運んでいた。普段、私を優先的に構っているから、授業参観はお兄ちゃん優先だよ、みたいに。

 お兄ちゃんはなんだかんだ言うけれど、ミヤコさんが来ている時は率先して授業中に手を挙げて答えて、そして「これで満足だろ」みたいにミヤコさんに目を向けるらしい。

 なんだかんだいってミヤコさんにアピールしているお兄ちゃん、きゃわ~っ!

 

 私が死ぬ前の人生では、私は重い病気でずっと病室にいて学校なんて通えなかったから、全ての行事が新鮮で物珍しくて楽しかった。

 一人でも楽しかっただろうけれど、もし入学式や卒業式で、授業参観で、他のクラスメイトの親が来ているのに私一人だったら、物凄く寂しかったと思う。

 ミヤコさんは社長で忙しいんだから無茶を言うなとお兄ちゃんにいつも言われていて、私も分かっていたから来られなくても仕方ないと思っていたけれど、ミヤコさんが必死でスケジュールを空けて、時には職場からハイヒールのままダッシュで駆けてきてくれたりして、滅茶苦茶嬉しかった。

 ミヤコさんの姿が見えた途端、世界の色が変わったと感じるくらいに、子供の頃の私は感じていた。

 

 そんなミヤコさんの苦労を私は分からないけれど、分からないなりに考えることは出来る。

 壱護社長が失踪し、社長業を引き継ぎ、女手一つで自分が産んでいない双子の子供を育てる、そう聞いただけで私もムリゲーだって思うよ。

 アイという看板アイドルを失った苺プロは事務所の力を失っていき苦境にたっていた。

 そんな中でもミヤコさんは所属しているタレントと社員のお給料をきちんと支払い、健全経営をしていた。

 社長といっても弱小事務所だからミヤコさん自身のお給料も目が飛び出るほどじゃない。ベビーシッターやお手伝いさんを雇える余裕もないし、そもそもミヤコさんも私達の面倒を誰かに見せるつもりもなかったらしいけれど、一人で面倒見てくれた。あ、五反田監督のお母さんには頼っていたみたい。近所だし。

 

 あれ、何を話していたんだっけ、私すぐに横道にそれちゃうんだよね、ってそうそう社長として事務所経営もしながら母親もしてくれたってこと。

 ぶっちゃけ、私もお兄ちゃんも生活面では何不自由なく暮らせていたからね。

 社長なんだから、好きなだけお給料もらっちゃえば、なんて思ったりもしたけれど、そういうわけにもいかないらしい。

 お兄ちゃんはときどき、あいあーる情報とか、ぴーえるとか、びーえすとか? そういったのを見て、ミヤコさんの会社が健全経営していることを確認していたみたい。だつぜーとかふんしょくけっさんとか、そういうのはなさそうだから安心して良いって。

 そうしたお金面と、生活面と、誰かと比較なんて出来ないけれど、恵まれていた方なんだと思う。

 お兄ちゃんも言っていた、ミヤコさんは経営面でも家庭面でも有能だって。あれだけ美容面にお金を使っていても、我が家の経済事情はとても良いって。

 

 

 だから、そんなミヤコさんの誕生日をお祝いしたことがないことに気がつき、私はたいそうショックを受けました! ガーン!

 祝ってもらってばかりでお祝いしていないなんて、そんなのダメダメ!

 それをお兄ちゃんに指摘されたことに、さらに倍でショック。

 こういうのは私が先に言い出すべきことなんだけど、まあ先を越されちゃったものは仕方ない、むしろここからが重要。

 当日はサプライズで驚かすから、それまでにお芝居の稽古をちゃんと進めないといけないし、ミヤコさんにバレないようにしないといけないし。その辺は演技もしているから大丈夫と思うけれど。

 そしてお兄ちゃんと話した、母親として祝う、ってところ。

 ううう、なんか妙に緊張しちゃうなぁ。

 私にとってママはただ一人だけだし、ミヤコさんのことを呼べるかなー?

 って、そうだ、いいこと思いついちゃった。

 

“ミヤコママ”

 

 ならどうかな?

 これならちゃんとママって呼んでいるし、ママとも区別がつくし、口にするのも恥ずかしくない感じ。

 うん、これでいこう!

 となると、むしろお兄ちゃんの方が心配かもしれない。

 お兄ちゃんの方から言ってきておいてなんだけど、ミヤコさんのことを母親として呼ぶお兄ちゃんが想像できない……

 でも言い出しっぺだし、ここは絶対に私が言わせちゃおう。

 お兄ちゃんが“ママ”って言うとも思えないし、これは楽しみだね。

 ミヤコさん、喜んでくれるといいけれど、どうかな。もしかしたら嬉しさのあまり泣いちゃったりしないかな。

 やっば、お兄ちゃんがどうするのかと、ミヤコさんの反応を想像したら楽しみが過ぎる!

 

 よーっし、気合入って来た、この勢いで稽古も頑張って前倒しで終わらせられちゃったりしてね。

 

 ふふっ、楽しみにしていてよね、ミヤコママ?

 

 

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