~ 人格転移!? 祐麒⇔祐巳編 ~
ある日突然、祐麒と祐巳の心が入れ替わっていた。
「こ、これが祐巳の体か……や、柔らかい……」
自分自身の体とは思えない柔らかさに、思わず陶酔しそうになる。
だが、そんなことを悠長に言っている場合でもない。こんな状況、誰に言っても信じてもらえるわけがないのだ。
だから二人は、出来る限りいつもと同じ行動をしようと話し合った。もちろん、お互いのことを演じるわけだが。
「ねえ祐麒。お口でしてくれない?」
「…………は?」いきなりの祐巳の言葉に、目が点となる祐麒。今ここは祐巳の部屋である。
「約束したじゃない、『いつもと同じ行動をしよう』って。いつも私、してあげているでしょう?」
「え、いや、そ、それは……」
「祐麒、口でされるの好きじゃない? そんなに気持ちいいものか、私も知りたいし……ね、いいでしょう?」
ずい、と跪いている祐麒の顔に押し付けてくる祐巳は、さらにシャツの中に手を伸ばして胸を揉んできた。
「私も祐麒の事気持ち良くしてあげるから……ふふ、ここをこうされると気持ちいいでしょ? 分かるんだから、自分の体だし」
「あ、ちょっ……ん、やっ……」今まで感じたことのない快感に、つい声が漏れる。
こんなの駄目だ、おかしいと思う反面、また別の気持ちがこみあげてくる。
乳首をつねられ口を開く。祐巳が、祐麒の体で興奮しているのが分かる。そしてまた、自分も。
「…………あ……ん……ちゅっ……」
「ふぁっ!? な、何これ、す、すごっ……あ、ゆ、祐麒ぃっ」
祐巳の手が祐麒の頭を掴んでおさえる。
そして一か月ほど後、祐麒は祐巳の肉体で、祐巳に完全に躾けられていた。
~ 人格転移!? 祐麒⇔令編 ~
「な、なんで私が祐麒くんになっちゃったの?」
令は唖然としつつ、自分自身の顔を、体をぺたぺたと触っている。
信じられないが、まぎれもない自分自身の体が目の前にあるのだから、信じるしかない。
「え……やっぱり、俺の中にいるのは、令さんですか?」
祐麒もまた、いきなり令の体に入り込んでしまったことに驚き戸惑っている。
「でも、これは本当に…………あっ!?」
「え、な、何、どうしたの??」
いきなり大きな声をあげて動きを止めた祐麒に不安を覚える令。何か、自分の体で変な所でもあったのだろうか。
「いや……れ、令さんって、着やせするんですね……胸、大きい……」
と、祐麒は手で胸に触れていた。それを見て、真っ赤になって悲鳴をあげる令。
「い、いやああーーーーーーーっ!!! だめっ、触らないでーーーーーっ!!」
「うわあっ!?」
「きゃあっ!!」
祐麒の体になっていたことで、思った以上に力があった。そして祐麒も、令の体ということで思ったより力が出ない。
祐麒の行動をおさえようと飛びかかった令は、期せずして祐麒をベッドの上に押し倒す格好となってしまった。
ちょうどそのタイミングで部屋の扉がノックされ、声とともに扉が開かれる。
「令、祐麒さん、お茶をお持ちした……あら、まあ!」
令の母の目に映っているのは、ベッドの上で令を押し倒して胸まで触っている祐麒の姿なわけで。
「ごめんなさい、邪魔しちゃったわね。令、子供はもう少し後まで我慢するのよ。それじゃ祐麒さん、娘をよろしく」
ほほほ、と笑って出て行く母親。残された二人は。
「……え、えと、やだ、既成事実!?」
「いやいやいやいや令さんっ!?」
~ 人格転移!? 祐麒⇔由乃編 ~
「す、凄い……体が軽い! 走っても息切れしない!」
祐麒の体に転移した由乃は、その体力や力強さに感動していた。
手術して心臓が治って運動もできるようになったとはいえ、生まれついて病弱だった体がようやく人並みに近づいた程度。
それでも十分に素晴らしいことだったが、祐麒のこの身体の生命力に満ち溢れていること。
凄い速さで走ることができるし、重いモノだって平気で持ち上げられる。そのことに感動する。
「お、重い……疲れる……こんなに軽そうな体なのに……」
一方で由乃の身体に入った祐麒は、華奢で細い由乃の身体に苦戦していた。
体重は祐麒よりずっと軽いのに、走ると体が重くてすぐに疲れてしまうし、思ったように進めない。
今までなら楽々持つことの出来ていた物が持ち上がらない。
女の子の体はこんなにも弱いものなのかと、まさにその身で実感していた。
「凄い、凄いよ祐麒くん! こんなに走っているのに全然疲れないもん!」
「ちょ……ちょっと、待って……はぁ、はっ、こ、こっちは、ちょ、限界……」
元気はつらつの由乃に対し、息も切れ切れで今にも倒れそうな祐麒。
「そっか……あ、そうだ。じゃあ、アレできるかな?」
由乃は目を輝かせながら、へたりこんでいる祐麒の側までやってきた。
「いったい何を……って、え、ちょ、まさか、うわぁっ!?」
「うわっ、凄い! お姫様抱っこができる!」
由乃は、祐麒の体を使って、由乃の身体に入っている祐麒を両手で抱え上げたのだ。
「あはは凄い凄いっ! 本当に、こんなこともできるんだ! 私が祐麒くんをお姫様抱っこなんて」
「ちょ、よ、由乃さん、まずいって。こんなところ見られたら……」
抱かれたまま赤くなって由乃の首にしがみつく祐麒だったが。
当然のように翌日の『りりあんかわら版』で一気にラブラブカップルとして話題になる二人なのであった。