~ 人格転移!? 祐麒⇔乃梨子編 ~
「な、な、な、なんでこんなことに!?」
祐麒の体に入ってしまった乃梨子は頭を抱えた。
着替えやトイレ、お風呂のたびに色々と面倒な事を考えたり、したりしなくてはならないのも嫌だが。
それ以上に、乃梨子の身体に祐麒が入ってしまっているということが問題だ。
「わ、私の体でいやらしいこととかしないでくださいよ! 見るのも、触るのも禁止ですからね!」
「そんなこと言われたって、こっちだって好きで見たり触ったりするわけじゃないっての」
乃梨子の言葉に、口を尖らせて不満げに応じる祐麒はもちろん見た目乃梨子なわけだ。
「なっ……わ、私の体に興味がないとでもいうんですか!?」
「は?」
「あっ……いえ、そ、そうじゃなくて。祐麒さんくらいの男の人なら、女性の体に興味を持つものではないですか」
「そりゃ、人並みにはあるけれど……それならもっとこう、セクシーで大人っぽいボディの方を……あイタっ!?」
「ほっ、本当に失礼ですね!」
「いや、ちょっと殴るのは俺の体なんだか加減してくれないと。それに、殴られるのは二条さんの頭だよ?」
「あああ、そうだった。ちょっと、何してくれてるんですか! 人の体、傷物にしないでくださいよっ」
「俺がやったんじゃないってば」
「と、とにかく、お風呂に関しては私が一緒に入って洗いますから、祐麒さんは目隠しして絶対に見ないでください」
「えー、そこまでするの?」
「当たり前です、そうでないと、何をされるかわかったもんではないですからね」
腕を組み、不満そうにそっぽを向く乃梨子。
……後日
「ねえ乃梨子ちゃんと祐麒くんって一緒にお風呂に入っているんだって?」
「ぶはーーーっ!?」
なんだかとんでもない噂が校内に広まることになっていた。
~ 人格転移!? 祐麒⇔三奈子編 ~
「わお! 男の子の体に入っちゃうなんて、こんな経験めったにできるもんじゃないわよね」
三奈子は、祐麒の体に入ったことについてそんな風に言っていた。
随分と呑気なものいいだとも思うが、三奈子は持ち前の好奇心と行動力でもって、男の体になっても精力的に活動した。
いずれ、これをネタに何か書けるとかなんとかいいながら。
一方で三奈子の体に入ってしまった祐麒は、そんな三奈子の行動に翻弄されていた。
ただでさえ三奈子となって家族をだまし、一学年上の授業を受け、女だらけのところで生活しなければならないのに。
それでも、三奈子と色々と連絡をとりつつ暮らすことで、どうにかやってきていた。
バレないのが不思議だが、常識的に考えて中身が入れ替わってしまったなんて誰も本気で考えないのだろう。
「……なんか、最近の三奈子さまって大人しいわよね」
「三奈子さまらしくないっていうか、常識人っぽいっていうか……」
そんなひそひそ声も耳に届いてくるが、一体ふだんの三奈子はどのように思われていたのだろうか。
今日もどうにか一日やり過ごし、疲れた体で校舎内を歩いていると。
「ねえ、なんでも花寺学院の生徒会長さまがこられているそうよ?」
なんて声が聞こえて、慌てて祐麒も外に出てみた。すると、確かに三奈子の姿がそこにあった。
三奈子は祐麒の姿を見つけると微笑み、近づいてくる。皆は、何事かと遠巻きにしてみている。
「ちょっ……どうしたの三奈子さん? なんでこんな目立つこと……」
近づいてきた三奈子にこっそりと訊ねる祐麒だったが。三奈子は軽く微笑むと、不意に口を開いた。
「築山三奈子さん。あた……いや、俺はあなたのことが好きです! 心の底から愛しています、結婚を前提につきあってください!」
大きな声でとんでもないことを言ってきた。周囲の生徒が驚き悲鳴をあげる中、さらにとんでもないことを三奈子はしてきた。
「え、あ、みな……っ!!?」唇に重ねられる柔らかな感触。いきなり抱きしめてキスしてきたのだ。
先ほど以上の悲鳴が響き渡る中、わずかに口を離した三奈子は祐麒の顔で笑う。
「……ふふ、祐麒くんが私に告白したっていう既成事実、これで皆に認めてもらっちゃったね」
そんなことを口にして、三奈子はにっこりと無邪気に笑うのであった。
~ 人格転移!? 祐麒⇔克美編 ~
「……祐麒、気持ちいい?」
「うん……うぁ、克美さん…………っ」
絡みつくような熱い吐息、荒い呼吸、汗にしっとりと濡れて光る肌。
祐麒の上で、克美は悩ましく淫らに腰を蠢かしている。
どのポイントで祐麒が気持ち良くなるかは知り尽くしている。そのうえで自分自身も気持ち良くなるように動く。
克美は腰を動かしながら、指では祐麒の乳首をいじって更に快感を増幅させている。
反応する祐麒の姿を見るのが楽しくて、更に動きを大胆にしていく。祐麒が可愛らしい声を漏らす。
下腹部に力を入れてギュっと絞り上げるようにしてあげて、そして深く呑み込む。奥まで届くのがゾクゾクする。
もっと、もっと貪欲に快楽を貪ろうとした次の瞬間。
「……っっ!?」今までと全く異なる快感が克美を襲った。どうしたのかと思い目を開けると、なぜ自分の上に自分が跨っていた。
「…………えっ?」
自分自身が驚きに目を見開いている。なんだこれは。「え……ゆ、祐麒?」自分の発する声が、祐麒の声色になっていた。
信じられないことだが、祐麒と体が入れ替わってしまったようだと悟る。
「な、何コレ、ナニが起きてるのっ!?」自分の顔、自分の声で困惑している祐麒を見て、克美は先に立ち直った。
「な、なんで俺が……うあぁっ!? ちょ、何を……はァンっ!!」
下から腰を突き上げると、祐麒が悩ましい悲鳴をあげた。克美にも、凄まじい快感が襲い掛かる。
それでも腰を動かすのを止めず、更に手を伸ばして小さな乳房を掴んで揉みしだく。
「あっ、あ、そん……あはぁっ!」大きく口を開けて涎を垂らす自分の顔をした祐麒。
「自分の事だから分かるの……ここ、気持ち良いでしょう?」遠慮なく自分の弱点を責める。
「ああ、凄い……祐麒も、いつもこんな気持ち良くなっていたんだ……ああっ、くる、何か、くる……っ!!」
太腿が痺れる間隔。何かがせりあがってくる。堪らずに、克美は克美自身の中へと放出する。
体を弓のようにしならせ、絶頂を迎える祐麒。
そして……
「凄いよ祐麒、男の人ってこんな気持ち良くなるんだね、もう、癖になって止められないよ」
「あ、だめ、克美さ……もう、何回も連続で……死んじゃう、死んじゃ、あ、ああっ!!」
「ふふ、可愛い祐麒……」祐麒の背後から深く突き入れ、乳房を愛撫する克美。 完全に男女の体にはまってしまった克美と祐麒は、それこそ昼夜を忘れたかのように愛し続けるのであった。