書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(乃梨子×可南子)】素直

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~ 素直 ~

 

 

 最近、可南子の態度が素っ気ない。
 乃梨子が話しかけてもあまり相手にしてくれないし、目が合いそうになるとそらされるし、思い出すだけで重いため息が口から出てしまう。
 何か、可南子の機嫌を損ねるようなことをしたのだろうかと考えるが、該当するような事項が思い浮かばない。
「ねえ瞳子、どうしてだと思う?」
 だからこうしてもう一人の友人である瞳子に相談することになる。
「さあ、私に聞かれましても(この鈍ちん娘が……)」
 もちろん、瞳子だって答えなど持っていないのは分かっている。それでも、泣きつかずにはいられないというところ。
「まあ、愚痴や泣き言ならいつでも受けてあげますわよ」
 やれやれ、といった感じで肩をすくめる瞳子だが、そんな瞳子の心遣いが嬉しくて、つい甘えてしまう。
「うぅ、ありがとう瞳子~~」
 と、瞳子に泣きつく。
「あらあら、乃梨子さんたら、仕方ないですわね……でゅふふ」
「だってさぁ……(あ~、瞳子って結構おっぱい大きいんだよね……)」
 瞳子は見守る顔をしながらも口の端から涎を垂らし、乃梨子は瞳子の胸を堪能する。なんだかんだで、ダメダメな少女二人である。
「はぁ……でも、本当にどうしてだろう」
 ある程度満足したところで、瞳子から離れる。名残惜しいが仕方ない。
「何が、ですか?」
「ほえぇっ!?」
 背後からかけられた声、まぎれもない可南子の声に驚き、奇声をあげる乃梨子。
 振り返れば、無表情で乃梨子のことを見下ろしてきている可南子がいた。
「な、な、何が?」
 まさか瞳子に抱き着いていたところを見られたりしていなかっただろうかと、不安になる。一方で、久しぶりに可南子の方から話しかけてきてくれたことで、嬉しさも膨れ上がる。
「……お二人で、何をしていたの?」
 乃梨子の問いには答えようとせず、可南子は視線をそらしながら訊いてくる。
「何って、べ、別に、ちょっと話をしていただけで」
 まさか本当のことを口にするわけにもいかず、曖昧に言葉を濁す。
「そうですわ、可南子さんには関係ないことですわ。私と乃梨子さんが、二人でガールズトークしていただけですもの」
 縦ロールを揺らし、なぜか誇らしげに言う瞳子。
「ぐっ……そ、そう」
 可南子は唇を噛みしめ、背を向けて立ち去ろうとする。
「あ、ま、待って可南子さん」
 久しぶりに可南子と話すことができると、どうにか引き留めようと声をかける。可南子は立ち止まり、顔だけを乃梨子に向ける。
「なんですか?」
 冷たい視線を据えられて思わず怯みそうになるが、この機会を逃すわけにはいかない。瞬時に頭の中で考え、思いついたことを口にする。
「と、瞳子がね、美味しいケーキのお店見つけたんだって。良かったら今度三人で」
「――お二人で行ったらいいじゃないですか」
「な」
 冷たい口調で突き放すと、可南子は今度こそ振り返ることなく去って行ってしまった。がっくりと肩を落とす乃梨子。
 乃梨子と二人というのがまずいのなら、瞳子を含めた三人であれば可南子ものってくるのではないかと考えたのだが、どうやら甘かったようだ。
「……まったく、乃梨子さんも本当にダメダメですわね」
「な、なによぅ」
 呆れたような瞳子を睨もうとするも、力が入らない。なんでこんなことになってしまったのか、ちょっと前までは良い雰囲気だったというのに。
「まあ、私は別にいいのですけれど……そ、それで乃梨子さん、良かったら先ほどのケーキのお店、一緒に行って差し上げてもよろしくてよ?」
「ゴメン、そんな気分じゃないし、帰るわ……」
「ええ、そんなっ! 乃梨子さんのいけずぅっ!」
 ハンカチを噛み、悔し涙を流しながら身を捩る瞳子を置いて、乃梨子も失意のままに帰宅するのであった。

 

 それから数日経っても、可南子との関係は変わらなかった。どうにかしようとは思っても、可南子からの拒絶オーラによってなかなか近づくこともままならない。解決のめども立たなかったので、ある時、それとなく志摩子に相談してみたが。
「――うふふ、二人とも可愛らしいわね」
 なんて、のほほんと笑いながら言われてしまった。
「私たちは、そのような悩みとは無縁だものね、桂さん」
「ねー、志摩子さん」
 と、しかも桂とイチャコラしながら。
 ついでに言うと二人ともなぜかテニスウェア姿で、更に志摩子の方は試合でもしていたのかと思うくらい汗をかいて顔がほてっていて、特に太腿に激しく汗をかいているようだった。
「そういうときはね、乃梨子。素直になった方がいいわよ。貴女は天邪鬼なんだから」
「そ……そうかなぁ」
 とりあえず、これ以上留まっていても良いことはなさそうだし、むしろお邪魔そうなので外に出る。
 志摩子からアドバイスは貰ったものの、具体的にどうすれば良いのか分からない。どこかで一人静かに考えようかと、足は自然と薔薇の館へと向かう。今日は、山百合会の活動はお休みの日だったから。
 誰もいない薔薇の館はどこか寂しげだけれど、今の乃梨子にはぴったりかもしれない、なんて考えてもしまう。
 自分用に紅茶を淹れて席に座り、窓の外を見つめながら思いを馳せる。
 可南子とは、しばらく前は一緒に出掛けたり、普通に話をしたりできていた。それどころか、キスまでして、それでいて可南子は怒りもしていなかった。だから、別に乃梨子のことを嫌いだなんて思っていないだろうと考えていた。ところが急に、態度が素っ気なくなった。何が可南子の気に障ったのか、明らかな過失が自分にあるならば直しようもあるのだが、思いつく限り特に無いのだ。
 となると、特に意識せずにしていた行動が可南子を怒らせたのかもしれない。
「……そんなの、分かんないじゃん」
 頭を抱える。
 分からないものを、どう直せというのだ。第三者の目線で見ることの出来る瞳子にも尋ねてみたが、明確な答えは得られなかったし。
 せっかく一人でゆっくり考えても、悶々とするばかりで良いアイデアなど浮かんでこない。時間だけが無駄に過ぎていく。
 そんな風に思い悩むことに神経が集中していたせいだろう、誰かが階段を上ってくる音に全く気が付かなかった。
「…………あ」
 声がして初めて気が付き、ふと首を捻って入口を見てみると。
 扉のところで立ち尽くす可南子の姿があった。
 今日は仕事はないし、何のために薔薇の館までやってきたのだろうか、なんてことが頭の中をぐるぐると回る。
「邪魔したようね」
 ふ、と可南子は顔を背け、出て行こうとする。
 それを見て乃梨子は、自分でも思いがけないほどの瞬発力を見せ、入り口まですっ飛んで行って扉を閉じようとした可南子の手首を掴んだ。
「ま、待って、可南子さん」
 今、この場には二人しかいない。可南子の怒りを、乃梨子の何が悪かったのかを明確にするには絶好の場だと思えた。
「何よ、離してよ」
「離さない、ねえ、ちょっと待ってよ」
 逃げようとする可南子だが、乃梨子は必死に引き止める。
「……もう、分ったから離して頂戴。痛いわ」
「あ、と、ごめん」
 ふう、と息を吐き出す可南子。乃梨子が手を離すと、手首の部分が少し赤くなっていて、可南子はそれを見て眉をひそめる。
「ご、ごめん。でも、色々と話しておかないといけないと思って」
「何をかしら?」
 諦めて部屋の中に入り、後ろ手で扉を閉める可南子。それでも、それ以上は部屋の中に入ってこようとしないので、入り口の近くで二人、立ったまま向かい合う。
「可南子さんさ……なんか、怒っている?」
「私が? 何にかしら」
「それが分からなくて……でも、私に対して怒っているよね?」
「さあ。乃梨子さんがそう思うのなら、そうなのではないかしら」
 つっけんどんに言い返してくる可南子に、最初は弱気だった乃梨子も、段々と腹が立ってくる。元々、気の弱い女のことは無縁な性格なのだ。
「な、何よその言い方。大体、私が話しかけようとしても無視するか、どこか行っちゃうかで、だから私は可南子さんを怒らせたんじゃないかって、知らないうちに可南子さんを怒らせるようなことをしたんじゃないかって、不安に思ったんじゃない」
「別に、そんなことはありません。はい、これで満足した?」
「何よその言い方、そんなんで納得するわけないじゃない」
 またも扉に手をかけようとする可南子を抑える。
 明らかに投げやりな答えに、乃梨子が頷けるわけもない。
「言いたいことがあるなら、はっきり言ってよ。その方がすっきりする」
「別にないわよ、もう、私となんか話していないで、瞳子さんとでも仲良く話していればいいじゃない」
「なんでここで瞳子が出てくるのよ、関係ないじゃない」
「とにかく、別に私は怒ってなんかないから、もういいでしょう」
「だから、良いわけないじゃない、ああもう、なんなのよ一体!」
 と、ちょっと大きな声で言ってから、ふと思った。
 なぜいきなり瞳子の名前が出てきたのか。確かに、このところ可南子の相談ということでよく瞳子と話をしているし、一緒にいることも多い。
 もしや、もしやと考える。
 ――可南子は、やきもちをやいているのではないかと。
 瞳子と仲良くしているように見える乃梨子に対し、つっけんどんな態度をとるのもそれならば納得できる。
 それが本当のことなら嬉しくてにやけそうだが、乃梨子もキツイことを口走ってしまった手前、今さら笑うなんて出来やしない。でも、ここで喧嘩別れになるわけにもいかず、にっちもさっちもいかなくなる。
 どうすれば良いのか、考えているうちに可南子が出て行きそうな素振りを見せる。まずい、このまま行かせては駄目だ。
 そこで、志摩子のアドバイスが蘇る。
『素直になれ』
 と。
 でも、今さら素直になんてなれるわけもない、それは性格だから。
「――と、瞳子とは別に、本当に関係ないから。ただ、普通に話をしているだけ」
 この言葉だけでは、弱い。さっきも同じことを言っているから。
 だから乃梨子は、勇気を振り絞って次の言葉を続ける。
「そもそも、わ、私が話したいのは、可南子さん、なんだから」
「……え」
 顔が熱くなるのを感じる。
 可南子の視線も感じる。
「……ふ、ふぅん。私と、何が話したいのかしら」
「なんだって、別にいいのよ。お天気の話でも、ドラマの話でも、ご飯の話でも、とにかく、そうなの。ってゆうか、大体、可南子さんは私が瞳子と話しているのが気に入らないとでもいうの?」
 勢いに乗って瞳子のことを言ってみると、可南子の表情が微妙に変わった。
「別に、乃梨子さんが瞳子さんと何をしようが、私は構いませんよ。何とも思ってなんかいませんから」
「だったら、なんで瞳子の名前を出したのよ」
「それは、私よりも瞳子さんとお話していた方が楽しいのかと思って」
「だから、私が話したいのは可南子さんだって、言っているじゃない。それとも、瞳子と仲良くして欲しいとでもいうの、可南子さんは」
「そっ、そんなこと言ってないじゃないですか。瞳子さんと仲良くしないなら、それはそれで、私としては別に」
 なんだか、お互いに話が変な方向に行っている気がするが、頭に血が上っているせいかよく分からない。
「大体、乃梨子さんの言うことは信用できません、本当なのかどうか」
 ぷいと横を向いてしまう可南子。
「ほ、本当に決まっているでしょう」
「どうしてですか」
「だって私、今、可南子さんとキ、キスしたいし」
「はへ!?」
「あ……う……」
 思わず口にしてしまったことに、赤面する。
 だけど、ここで動揺している姿なんて見せられないと、乃梨子は精一杯の虚勢を張る。
「か、可南子さんが信用できないっていうから、証拠を見せようと思ったのよ。そういう意味でしたい、ってことだから、それ以上の意味にとらないでよね」
「そ、そういうことですか。でも、言葉だけじゃ、信用できないわ」
 頬を膨らませ、拗ねるような顔を見せる可南子。
「それじゃ、確かめてみる?」
「出来るなら、どうぞ?」
 お互いに正面から睨み合うが、二人とも赤面して動揺しているので、迫力には微妙に欠けている。
「どうぞ、って言われても」
 可南子との身長差で、届かない。
 察したのか、可南子は軽く前かがみになり、長い髪の毛を指でかきあげる。その仕草が色っぽくて、胸が高鳴る。
「……どうしました、やっぱり、言葉だけですか?」
 なかなかキスしようとしない乃梨子に、片目だけ開けて挑発する可南子。
「そんなわけ、ないでしょう……っ」
 乃梨子は可南子の首に手を回し、背伸びをすると、小さく可憐な蕾に自らの唇をそっと押し付けた。
 マシュマロの感触が、唇に伝わってくる。
「……これで、分かった?」
「これくらいじゃ、まだ分かりませんね。今日び、仲の良い友達同士でキスするくらい、当たり前ですから」
「それじゃあ……んっ」
 再び、唇を重ねる。
 今度は、可南子の口内に舌を差し込んだ。可南子の舌が迎え入れ、二つの舌が生き物のように蠢き、絡まり合う。
「んっ……は、ぁ」
 可南子の手のひらが乃梨子の頬を挟むと、顔を引き離す。
「もう……分かりました、から」
「……待って。あの、証拠を見せるのは、今ので分かってもらえたと思うから、今度はその……そ、そういうの抜きで、してもいいかな?」
「な、なんで」
「それは、だから、私がこういうことしたいのは、可南子さんだけだから」
「っ……し、仕方ないですね、そういうことなら……」
 可南子を扉に押し付けるようにして、乃梨子は体重をかけてしがみついた。二人の体が密着し、乃梨子は可南子の胸に手をあてながら、キスを求める。乃梨子が突き出した舌を可南子の唇が挟み、舌を出し、ベロチュー。更に可南子は口の中で唾液をくちゅくちゅと溜め込み、乃梨子の口内に流しいれる。乃梨子の顔を両手で固定して逃げられないようにするが、乃梨子とて拒むつもりなどなく、流し込まれる甘い唾液を飲んでいく。
「んっ、んっ……は、ぁ」
 二人の混ざり合った唾液が、口の端から零れて垂れる。
 乃梨子は制服の上から、可南子の胸を撫でる。すると、可南子は時折身を震わせ、甘い息を吐き出す。
 一方で可南子は乃梨子のお尻に指を這わせており、細く長くしなやかな指が強く揉んでくるたびに、乃梨子の口から呻きともとれる声が漏れる。
 長い長い、キス。
 お互いの歯茎を舐め、口腔をなぞり、唾液を啜り合い、口内を蹂躙する。静かな薔薇の館の室内に、くちゅくちゅ、ちゅぱちゅぱ、じゅるじゅる、という淫らな音が響く。
 やがて、ようやく口を離すと、二人とも力尽きたかのようにずるずると床にくずおれる。
「はぁっ……は、あ、ふぅっ……」
「んっ……あっ、あはぁっ……」
 ここ数日間の隙間を埋めるかのように、激しく求めあうキスだった。
 肩で息をしながら視線をあげると、長い髪の毛を乱し、ほんのりと首筋に汗を光らせている可南子が目に入る。スカーフが乱れ、スカートの裾も乱れ、淫らな色香を漂わせた可南子の姿が。
「……そ、それで」
「ん?」
「結局、乃梨子さんは、私のことを好きだということで、いいのかしら?」
「え? えと……あの、まあ、そうです、はい」
 改めて言われると照れるが、頷くしかない。
「そうですか……まあ、そこまで言うのであれば仕方ないですね、乃梨子さんの気持ち、受け入れてあげてもいいですよ」
「そ、そう、ありがと……って、さっきまで可南子さんだって夢中になってキスしていたじゃない!」
 可南子だって乃梨子のことを好きだから、あれほど激しいキスをしてきたのではないのか。それなのに、なぜか乃梨子が一方的に可南子を好きなようになっているのはなぜ。
「ま、まあ……私だって、乃梨子さんのこと、嫌いじゃないですし」
「す、素直じゃない……」
「そんなことないですよ」
「全然、素直じゃないじゃないっ、大体……」
「素直ですよ、体の方は……ね」
「ふえっ?」
 次の瞬間、
 乃梨子は唇を塞がれ、同時に胸を揉まれていた。
「っ、ふ、にゃぁっ!?」
「ふふ、乃梨子さんのおっぱい、可愛いですね」
「なななな、ちょ、な」
「お互い様ですよ、先ほどは私の胸、散々に嬲ったじゃないですか」
「そ、それをいうなら可南子さんだって、私のお尻」
「ああ、こうですか」
「ひにゃあっ!?」
 今度は、スカートを捲られて太ももを撫でられた。尻餅をついていたから、お尻までは手が伸びなかったのかもしれないが、内腿から足の付け根のあたりまで触れられて、思わずビクビクと震えてしまった。
「え……と、か、可南子さん」
「と、瞳子さんとばかり仲良くしていたから、そのお仕置きです」
 ぶーと、頬を膨らませる可南子。
 それを見て乃梨子は。
「なーんだ、やっぱりやきもちやいていたんじゃん」
「ちっ……違います、そんなんじゃありません!」
「だって、そうとしか考えられないじゃない。ふふ、可南子さんも可愛いところ、あるじゃない」
「ああもうっ、そんな減らず口を叩くような人は、こうです」
 そう言って、
 乃梨子はまたしても、唇を塞がれるのであった。

 

 

つづく

 

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