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マリア様がみてる 百合CP

【マリみてSS(乃梨子×笙子×日出実)】仲良しだよっ!?

更新日:

 

~ 仲良しだよっ!? ~

 

 

 とうとう夏休みに突入し、笙子のテンションはあがりまくっていた。むしろ、振りきれていたかもしれない。
 女子高校生ですよ、夏休みですよ、盛り上がらないわけがないじゃないですか、と。しかも、今年の夏は一味違って、もしかしたらひと夏のアバンチュールだってあるかもしれないわけだし。え、お相手? それはもちろん内緒ですが。
「ちょっと笙子、くっつきすぎ、暑いでしょー」
「えー、いいじゃん乃梨子ちゃん、えへへーっ」
 笙子が腕を組んでいる相手は乃梨子、現在、絶賛デート中。
「っていうか、二人にくっつかれたら、私が歩きにくいでしょうが」
「あ、ご、ごめんなさい」
「ごめーん」
「……といいつつ、二人とも腕を離さないのよね。ま、いいけど」
 笙子の反対側で乃梨子の腕を掴んでいるのは日出実。即ち、三人でデートしているわけである。
 日出実も笙子にとって大事な友達であるが、同時に、乃梨子を巡るライバルでもある。ここで譲るわけにはいかず、更に力を込めて乃梨子の腕にしがみつく。自慢のバストを、乃梨子の腕に押し付ける。夏は薄着だから、効果だって抜群のはず。
「ほら二人とも、お店に入るから、こんな広がって歩いていたら邪魔だから、離れて」
「……はーい」
 乃梨子にはあまり、効果がなかったのだろうか、いやいや単に照れているだけに違いない。ようく見れば、顔だってほんのりと赤くなっている、ような気がしなくもない。
 とりあえず、腕を解いてショッピングビルへと足を進める。今日の目的は、水着を購入することである。
 やっぱり夏といえばプールや海であって、新しくて可愛い水着を買わないわけにはいかないのだ。
 本当ならもっと早くに、新作水着が発表されてすぐくらいには買いに行きたかったのだが、お肉とかお肉とかお肉とか、その辺が色々と気になって行けなかった。今は大丈夫なのかと言われると、まあ、そこそこに。

 目的のお店に到着すると、カラフルでかわいらしいデザインの水着が多数、出迎えてくれた。
「うわーっ、これ可愛いっ、あ、そっちのも。目移りしちゃうねー」
「本当ですね、選ぶのにも凄い迷っちゃいます」
 と、笙子と日出実、二人できょろきょろしていると。
「じゃあ、二人はゆっくり選んでいていいよ。私は……これでいっか」
「「ええっ!?」」
 あっさりと、乃梨子は手近にあった水着を手にして頷く。見れば、シンプルなタンキニ。いや、別に悪いわけじゃないし、それはそれで可愛らしのだけれど。
「そ、それは駄目っ!!」
「そんなの駄目ですっ!!」
「うわっ、な、何、二人して」
 期せずして、日出実とハモると、二人で目を合わせて頷き合う。ライバルであると同時に、共同戦線を張る仲間でもあるのだ。
「それも可愛いけれどさ、せっかくだから色々と見ようよー、もっといいのがあるかもしれないし」
「そ、そうですよ、デザインだって、他にも色々とありますし、乃梨子さんにもっと良く似合うのがありますよきっと」
「そうそう、例えばもっと生地面積の少ないやつとか」
「あと、もう少し肌の露出の高いやつとか」
 乃梨子が手にしているタンキニでは、本当に単なるタンクトップとショートパンツといった格好で、普段身につけている服とあんまり変わりがない。せっかくの水着なのに、それは嫌だ。どうせだったらやっぱり、ビキニなんかにして欲しい。おへそが出ているのが最低条件だ。
「と、いうことで、さあさ、一緒に見てまわろー」
「ええ、行きましょう、行きましょう」
 息もぴったりに、日出実と笙子で乃梨子を引っ張っていく。
 色々な水着を乃梨子や、自分達にあわせて、きゃあきゃあとはしゃいでいく。

「乃梨子ちゃんには、この水色のやつが似合うと思うな」
「えー、そうですか。それよりもこっちのボーダーの方だと思いますけど」
「でもでも、乃梨子ちゃんのスタイルだったらこっちのデザインの方が引き立つよー」
「いえいえ、こちらのリボンがあしらわれている方が、乃梨子さんの魅力を存分に」
「こらこら、君たちは私のスタイリストかね」
 呆れた様に言いつつも、乃梨子の顔も笑っている。
「それじゃあ、試着してみましょう」
「そうだね、これとこれと、それと……えーっと、それも」
「って、ちょっと、なんで私ばっかり?」
「いいからいいから、ほらほらーっ」
 二人で乃梨子の背中を押して、試着室へと誘う。
 笙子と日出実は顔を見合わせ、ぐっと親指を立てた。それぞれの利害は一致しているのだ。
 それぞれ手にした、ホルタービキニ、ワンピース、チューブトップビキニ、スカパン、諸々の(二人の好みの)水着を乃梨子に押し付ける。どうせ購入するのは一着なのだから、この場で様々な水着姿を拝んでおかなければ損である。
 中にはもちろん、かなりエッチで際どい水着も入っている。
「乃梨子ちゃーん、手伝おうかー?」
「いらないよ、そんなもんっ」
 試着室の中に入ろうとして、顔を手で押し返される。
「ひ、ひにょいにょ、にょりこひゃん」
「だーっ、だから覗くなっちゅーの!」
「そ、そうですよ笙子さん、駄目です、ずるいですっ」
 後ろから日出実にも羽交い絞めにされ、泣く泣く諦める。
 そんなこんなで、お店の人も迷惑するような『二条乃梨子水着ファッションショー』を終え、満足そうな表情を浮かべる笙子と日出実の背後に、怪しい影。
 振り向くと、迫力の笑顔を浮かべた乃梨子がいて、二人の肩を抱きかかえてくる。
「さーて、それじゃあ次は笙子と日出実、二人の番だね?」
「え? あー、わ、私達はそこまで気合い入れなくてもいいかなって」
「そうですね、私なんか、スタイルもよくないですし」
「そんなこと言わずに、ほら、こんな可愛い水着、一杯あるよ?」
「って、こ、これ、お尻丸出しじゃないですかっ!?」
「こっちは、貝殻って、なんでこのお店にこんな水着がっ!?」
「これ、紐じゃないんですかっ? や、らめっ、いやーーーーん!!!」
 その後、三人はお店の人に厳重注意を受けた。

 

「まったくー、二人のせいで私も怒られちゃったじゃない」
「乃梨子ちゃんだって、最後の方は随分と乗り気だったくせにー」
「まあ、確かに楽しかったけどね」
 あれだけ騒いで何も買わない、なんてことはなく、三人はちゃんとそれぞれお気に入りの水着を購入した。乃梨子のスカパンは、笙子と日出実の二人が断固として阻止し、無事におへそが出るタイプの水着になった。
「……で、二人とも、暑いんだけど」
 ビルを出るなり、さっそく二人とも両腕にしがみついてきた。
「そ、そんなことないよ、私はそんなに暑くないけど」
「わ、私もです。今日は比較的、涼しいですよね」
「猛暑日だって言っていたけど……」
「とっ、とにかく、海、楽しみだねーっ! 早く行きたいよね」
 三人は海への旅行を計画していた。しかも日帰りではなく、お泊まりである。乃梨子が山百合会のコネを活用して、小笠原家の保有する海辺のペンションに格安料金で泊まれるようにしたのだ。
「ねえねえ、ついでに他の旅行の買い物もしていこうよ。ぱんつとか」
「そ、それはナイスアイディアですね、行きましょう、是非に」
 理由はどうあれ、買い物が好きじゃない女の子はあんまりいない。仲の良い友達同士なら尚更で、きゃあきゃあと騒ぎながら旅行に向けての買い物を楽しんだのであった。

 

 そんなこんなで日にちはあっという間に流れ、旅行の日。
 電車の中で、笙子と日出実、どっちが乃梨子の隣に座るかで揉めたり、乃梨子にお菓子を食べさせる順番で揉めたり、まあ細かなことは色々とありつつも目的地に到着した。
「うっわーーーーーーーっ!! すっごいねーーーー!!」
 笙子が飛び跳ねるようにして喜びを表現している。
 日出実と乃梨子も、素直に感嘆していた。
 前面に広がるは綺麗な海、砂浜。真っ青な空に大きな白い雲、潮風は心地よく、暑っ苦しい海、という感じはしない。
 人も多そうだが、ごった煮のビーチという感じはまったくしない。適度に人でにぎわっていて、それでいてうんざりするような訳でもなく、非常に楽しく遊べそうであった。
 三人は早速、海へと繰り出すことにした。ペンションに顔を出すのは、ひとしきり遊んだ後でもよいだろうということで。
 そしてビーチに舞い降りる、三人の妖精、などというのはちょっと大げさだが、充分に可愛らしい水着姿の女子高校生三人。

 笙子は淡いブルーのホルタービキニ。デニムの生地にスタッズを施し、上下ともに大きめのリボンがアクセントとなっている。

 日出実はオフホワイトのワイヤードビキニ。胸元のラッフルフリル、ちりばめられたラインストーンが無地のホワイトに華やかさを出している。日出実は少し恥しいのか、手でパレオをおさえてもじもじしている。

 そして乃梨子は、ボーダー柄チューブトップのビキニ。ワイヤーとパッド、さらにサイドの紐によってバストアップされ、綺麗な谷間メイクもされている。

 三者三様の目でもって、お互いの水着姿をちら見する。いや、笙子にいたっては遠慮することもなく、ガン見して興奮している。
「うひょーっ、やっぱり乃梨子ちゃん素敵、だけど日出実ちゃんも可愛いなぁ」
「私は、笙子さんも乃梨子さんも、羨ましいです……胸が」
 二人の胸と見比べて、自分の胸を悲しそうに見る日出実。
「そんなことないよ、私だってこれ、寄せて上げているから。それに私、日出実くらいの大きさの胸だって、好きだよ」
「え、え、えっ」
 にっこりと乃梨子に微笑みかけられ、わたわたと赤くなる日出実。すると途端に、ヤキモチをやいた笙子が割り込んでくる。
「えーっ、じゃ、じゃあ、私はっ?」
「もちろん、笙子の乳も捨てがたい。柔らかくて気持ちいいもんね」
「ふおおおおっ、ま、マジですかっ!」
「さ、そんなことより、早く海に入ろうよ」
 笙子の反応を見事にスルーする乃梨子。
「うわ、ちょっと待ってよ乃梨子ちゃん、って、熱っ、砂、熱っ!」
「あはは、何やってるんですか、笙子さん」
「わーん、待ってよ二人とも~っ」
 ちょっとしたバカンスは、こうして始まった。

 

 ごくり、と唾を飲み込む。
 目の前には、乃梨子のうなじと背中の白い肌。
「こ、この任務は私がやるわ」
「ずるいです、笙子さん、これは私がやりますっ!」
 バチバチと視線で火花を散らす笙子と日出実。
 何を争っているかといえば、日焼け止めをどっちが塗るかということ。当然、二人ともある程度の(かなりの)邪な気持ちを抱いている。
 ビキニのブラを解き、腕で胸元を抑えた格好の乃梨子が口を尖らす。
「ちょっと、そんなことで言い合ってないで、早くしてよー」
「でも、笙子さんが」
「日出実ちゃんが」
「……こら、二人とも」
 ちょいときつめに乃梨子が目で諌めると、二人とも怯えたように身をすくませ、誤魔化すように笑う。
「じゃ、じゃあ、二人でやろうか。私が左側やるから」
「あ、はい、それじゃあ私は右側で」
「え、ちょっと、何で二人がかりで……って、あはははくすぐったいって、あははっ」
「動かないでください、乃梨子さん」
「うまく塗れないよー」
「あははははっ、わ、脇はいいからっ背中だけ、うはははははっ!」
 日焼け止めを塗るだけで大騒ぎで、ようやく乃梨子が塗り終えた頃には、微妙に疲れてしまっていた。
 笑いつかれた乃梨子は、ほくほく顔をしている笙子と日出実を見て、にやりと口元を歪ませる。
「……さて、それじゃあ今度は笙子と日出実の番ね」
「え? 乃梨子ちゃんに塗ってもらえるのは嬉しいけれど……な、なんか微妙に怖い気がするのは何故っ!?」
「じゃ、まずは笙子からね」
 言いつつ、乃梨子は笙子の背後に忍び寄り、背中に塗り始める。笙子が恐れているのとは裏腹にごく普通で、乃梨子の手が優しく背中を撫でてくれるのを心地よく感じ、うっとりとしていると。
 いきなり、ひんやりとした感触が胸元を襲ってきた。
「ひゃんっ!? ののの乃梨子ちゃん、な、何っ?」
「何って、笙子は胸が大きいから、この辺も入念にしておかないと。ほら、谷間の奥とか隠れている部分もくまなく、ね」
 言いながら、日焼け止めを笙子の盛り上がっている胸、谷間の部分に指を差し入れてクリームを塗りつける乃梨子。
「ひあんっ、あ、ちょ、乃梨子ちゃ……んっ」
「そうそう、おっぱいで隠れている部分といえば、こっちもそうよね」
 続いて乃梨子は笙子の胸を下から持ちあげるようにして、下乳に隠れていた部分に指を這わせる。
「水着で持ちあげられているのにこれだけ隠れるって、本当、大きいわよね」
「の、乃梨子ちゃん、み、水着の中まで塗らなくても……ふぁん」
 指先がビキニのブラの中に侵入していた。後ろから抱きつく格好になっていて、笙子は反抗することもできず、頬を赤くして熱い吐息を漏らす。
 たゆん、とした柔らかな感触を堪能したところで、ようやく乃梨子は満足げに笙子から離れた。
「さて、次は……日出実ね」
「ひっ?」
 唖然として見ていることしかできなかった日出実に、今度は視線を移す。
 クリームにぬらぬらと光る指がうねうねと動き、日出実を脅かす。
「ふふふ……日出実も綺麗な肌をしているわね」
 逃げることも出来ずにいた日出実の背後にまわり、するりとトップスの紐をほどく。日出実は慌てて胸元をおさえる。
 しばらくは笙子の時と同様に、ごく普通に背中に塗っていく。
「あの、乃梨子さん、私は笙子さんみたいに胸ありませんから、心配は御無用で……」
 背中をほぼ塗り終えた頃、おそるおそる日出実が言うと、乃梨子は微笑み。
「そうねぇ……でも、パレオに隠れた部分はきちんと塗らないとね」
 と、腕を伸ばしてパレオをめくりあげ、内股に指を這わす。
「ひぁんっ!?」
 びくっ、と日出実の体が震える。
「ああああの、そ、そこは自分でも塗れますから」
「でも、今は腕が自由にならないでしょう? 遠慮はいらないから」
 胸を抑えるために両腕は塞がっている。乃梨子はそんな状態なのをいいことに、好きなように指を動かし、食い込みのあたりまで塗っていく。
「は、あぁ……」
 反抗したくとも、乃梨子の指、加えて背中に押し付けられている乃梨子の胸の感触に意識が奪われ、どうにもならない。
「ねぇ日出実、ちょっと腰、浮かせてくれる?」
「ふぇ……? えと」
 ぼーっとしつつも、無意識的にお尻を上げる日出実。
 乃梨子は水着のお尻の部分を掴んで引っ張り、食い込ませた。日出実のお尻がぷりん、と出るが、乃梨子がいるので他の人には見えない。
「きゃあっ!? ちょっ、乃梨子さんっ!?」
「ほら、遊んでいるうちに食い込んでくるじゃない、その時お尻が焼けないように、ね」
 手の平が日出実のお尻を撫でる。
「うん、いいお尻だ、日出実は安産型だねー」
「や、そんな……(あぁ、乃梨子さんの赤ちゃん、産みたいですぅ)」
 トリップして、やばいことを考えだす日出実。
「こ、これ以上されたら、濡れちゃいますぅ」
「大丈夫、ちゃあんとたっぷり、漏れなく塗っているから」
「そ、そんな、漏れちゃうなんて……駄目ですぅ」
 ガクガクと震えだす日出実。
 満足げに塗り終えた乃梨子が体を離す頃には、すっかりグッタリとしていた。笙子もまだ微妙に呼吸が荒く、遊ぶ前からなんだか体力を使った三人なのであった。

 

 微妙なエロイベントもあったが、海で遊んだ三人はようやく宿泊するペンションへと足を向けた。到着した時点で既にお昼だったので、遊んだ時間は三時間ほど、それでも十分なくらいに楽しんだ。
 ペンションは、これまた立派なものであった。
 大きくはないが清潔で、センスの良さを感じさせる。宿泊客も女性限定ということで、安心して過ごすことが出来る。
 食事を終え、お風呂を終え、入浴後の冷たいジュースで気分もさっぱり、満足感に溢れてのんびりとしていたのであったが、就寝前になって揉め出した。
 原因はといえば、どのように寝るか、ということなのだが。
 ペンションの部屋はツインルームだった。三人で泊まることは前々から決まっており、いくらなんでも二人と一人で泊まるなんて出来ないので、三人一室でお願いしていた。ベッドは大きめということもあり、女の子であれば二人で寝ても問題ないのだが、ではどのような組み合わせとするか、というところで揉め始めた。
 要は、笙子も日出実も乃梨子と一緒に寝たい、ということである。
 お互いに一歩も引かず、「がるるるーっ!」と唸りあい、決着がつかずにしばらく時間が過ぎたところで、乃梨子がキレた。
「ええーい、二人ともいい加減にしなさいっ!!」
 乃梨子の剣幕に、争っていた二人の動きが止まる。
「大体、今日は二人とも朝からそんなんばっかりだったじゃん。一体、どうしちゃったっていうのさ!?」
 電車の座席配置に始まり、日焼け止めをどっちが塗るか、海の家やペンションでどこに座るか、遊ぶ時の組み合わせ、お風呂の順番、細かいことを挙げればきりがないくらい、笙子と日出実の二人は小競り合ってきた。
 普段なら笑って済ませられるような事だが、せっかくの旅行で、しかも数がそれだけ重なって、さすがに我慢ならなくなったのだろう。
「前から思っていたけれど、二人って、実は仲が悪い?」
「え、そ、そんなことないよ~」
「そ、そうですよ」
「私、そんな仲悪い人たちと旅行なんて、嫌だよ。気分、悪くなるしー」
「えええええっ!? ちょ、そんな、仲良しだって、ねえ日出実ちゃん?」
「そうですよねえ、笙子さんっ」
 二人は慌てて、取り繕ったように笑顔を見せて握手する。
 実際、二人は仲が良いのだが、乃梨子を巡っては対立してしまうのだ。
「本当にぃ? それじゃあ、証拠を見せて欲しいな」
「え、ほら、こんな仲良しだよ」
「はい、無問題です」
 だが、そんな二人を、細い目で見つめる乃梨子。
「うーん、それくらいじゃあ、信じられないなぁ」
「じゃ、じゃあ、どうすれば信じてくれるの?」
「もっと、本当に仲良しなんだよってところを見せてくれれば」
「そ、そう言われましても……」
 戸惑う日出実と笙子。
 しばし、乃梨子は考えを巡らすようにしていたが、やがて何か思いついたようにパチンと指を鳴らす。

「そうだね、じゃあ、チュウするとか」
「チュウ……えええっ、日出実ちゃんと、私がっ!?」
「そう、ほら、仲良し友達だったら、それくらいするみたいじゃない」
「え、で、でも」
 おろおろとする日出実。
「……なんだ、やっぱり仲悪い?」
「そっ、そんなことないよっ! うん、じゃあチュウしよう、日出実ちゃんっ」
「え、あの、笙子さん!?」
(こんなことで旅行、駄目にしたくないでしょ? チュウくらいだったら、我慢してよ)
(う……そ、そうですね、や、やむを得ないですよね)
「どうしたのー、二人してこそこそと。出来ないなら、もう、今後は……」
「すすす、するよっ、今しますからっ」
 慌てて向かい合う二人。
「え……と、じゃあ、どっちからする?」
「ふえっ!? ああああの、お、お任せします」
「それじゃあ……」
 ベッドの上に、ぺたんと女の子座りをしている日出実。
 正面に座った笙子が前に手を突いて軽く腰を浮かせ、ゆっくりと日出実に顔を寄せていく。
 近づいてくる笙子のアイドル並の顔を見て、日出実は今さらながらに鼓動が速くなり、顔が熱くなるのを感じた。目を開けてなどいられなくなり、きゅっと目を瞑る。
 ちょん、という感じで二人の唇が触れる。
 僅かだけれど、確実に感じた温もりに、胸が高鳴る。
「ど、どう? これで信じたでしょう?」
「えー、今のじゃ触れたか触れないか分からないくらいじゃない。もっと、ちゃんと見せてくれないと」
 しかし、乃梨子は納得していないように首を振る。
 笙子と日出実は戸惑ったように見つめ合うが、今さらやめるわけにもいかなかった。
 再度、顔を寄せていく笙子。
「んっ……」
 今度は、五秒間ほど唇を重ね合わせた。
「これなら、どう?」
「まだよそよそしいかなぁ。仲良しならもっとこう、それらしく見せてくれないと、分からないかなぁ」
「うっ……そ、それじゃあ」
 更に体をにじり寄せ、女の子座りをしている日出実の足に跨るくらいに近寄り、日出実の肩をつかんでキスをする。
 少し薄い日出実の唇は、しっとりと濡れていて、マシュマロのように柔らかくて、ほんのりとミントの香りがして、とても美味だった。
 だけど、これ以上どうすれば、乃梨子に仲が良いと思ってもらえるのだろうかと思案していると、不意に口の中にぬめりとした感触が襲いかかって来て驚いた。
 日出実の舌が、侵入してきたのだ。
「ふぁ、ん、ちゅっ」
 思いがけない日出実からの積極的な動きに戸惑いつつも、笙子もごく自然に舌で応酬する。歯ぐきを舐めてくる日出実の舌を押し返し、絡め、吸う。
 ちゅっ、ちゅっ、と音が漏れる。
 これだけやれば……と思っていると、胸に刺激がやってきた。

(え、日出実ちゃん、そ、そこまで……?)
 シャツの上から胸を揉まれている。
 一方、日出実も驚いていた。笙子と同じように、そのささやかな膨らみを撫でられていたから。
 実は、笙子を背後から抱きしめるような格好で、乃梨子が二人の胸に手を伸ばしていたのだ。しかし二人はそのことに気がつかず、お互いの相手が揉んできていると思っている。
 乃梨子の手が動くたびに、キスしている口元から熱い息が漏れる。
 やがて乃梨子は笙子のシャツをまくりあげて、形の良い大きなバストを表に出し、日出実の手を掴んで笙子の胸に導く。
「あ……あっ」
 直に触れられる刺激に、声が漏れる笙子。
「笙子さんのおっぱい……凄い大きくて、気持ちいいです」
 うっとりとした表情で、日出実は笙子の胸の形を変えてゆく。
「ずる……い、日出実ちゃ……あん」
 防戦一方の笙子の代わりに、乃梨子は今度は日出実のシャツのボタンを外して前をはだけさせると、笙子の手を日出実の胸に持っていく。
「んっ! だ、駄目です、笙子さんっ」
「敏感……なんだ……はふぅっ!」
 日出実の乳首を指で転がしていた笙子だったが、反撃するように自分の乳首をつままれて背中を反らす。
「んーと、それじゃあ次は、おっぱい同士でキスしようか」
 乃梨子は笙子の脇の下から腕を回し、笙子のたわわな果実を持ち上げる。「重っ!」と言いながら、照準をあわせて日出実のおっぱいに接触させる。さらに場所を調整し、お互いの乳首同士をこすり合わせるようにする。
「あ、んあっ、や……あっ」
「しょ、笙子さん、凄っ、気持ち、い……」
 二人は、今までにない、痺れるような快感が胸の先端から全身に駆け巡るのを感じていた。弓のように背をそらし、腰は離れながらも胸だけは一生懸命に押し付け合うようにしている。
 夢中になっていた二人はバランスを崩し、ベッドに倒れ込む。
「おー、日出実の方が上とは、ちょっと意外」
 単なる偶然だが、日出実がのっかる格好となっていた。
「こっちも、邪魔だよね」
 そう言って、日出実のズボンと、笙子のショートパンツを脱がせてあげる乃梨子。ショーツに包まれただけの二人の下半身がむき出しになる。
「うあっ……ふぁ、あ」
「ひあん、やぁ、んっ」
 笙子と日出実は足と足を絡ませ合い、体を互いに押し付け、求めるように唇を貪る。
「うーん、確かに、二人は仲良しだったね、うん。これじゃあ、ベッドは二人一緒でいいよね。うふふ、いいもの見せてもらっちゃった……ふわぁ~、それじゃ私、そろそろ寝るねー、おやすみー」
 もう一つのベッドにもぐりこむ乃梨子。
 隣のベッドからは、夜遅くまで声がしていたが、乃梨子の耳に届くことはなかった。

 ちなみにお風呂から出た後に三人がジュースだと思って飲んだものは、実はお酒だったのだが、三人は知る由もなかった。

 

 翌朝、目が覚めた日出実は驚きで硬直した。
 なぜなら、笙子と二人、抱き合うようにして寝ていたのだから。しかも、笙子のシャツはめくれ上がっているし、日出実のシャツは前のボタンが全部外れてしまっている。
 なんでこんなことに、と慌てて昨夜のことを思い出そうとして、一気に赤面する。思い出してしまった、笙子とキスしたことを、胸を触りあったことを。
「はうぅ、な、なんで、あんなことに……」
 顔を抑える。
「うぅ……おはよ……あれ、何これ、頭いたい~」
 隣で寝ていた笙子がもぞもぞと動き、うっすらと目を開く。
「おはよ、日出実ちゃん。ん、あれ、随分セクシーな格好だねー」
 目をこすりながら、体を起こす笙子。
「しょ、笙子さん、昨夜のこと、覚えてますか?」
「え、何、昨夜のこと? えーと、確か日出実ちゃんとキスしたんだよね。えーと、あれ、その後は?」
「お、お、覚えていないんですかっ!?」
「うーん……なんで、頭痛いの? 何があったんだっけー?」
 と、二人で話していると、隣のベッドに寝ていた乃梨子もまた動きだした。
「おはよー、二人とも……凄い格好だね?」
「え、ええと、乃梨子さんは昨夜のこと、覚えていますか?」
「昨夜? なんかあったっけ? お風呂から出て、それから……寝た記憶しか……」
 眠そうな顔をして髪の毛をかく乃梨子を見て、日出実は愕然とする。どうやら二人とも昨夜のことはほとんど覚えていないらしい。日出実だけが、あの痴態にまみれた笙子との絡みを覚えているのだ。
 ショックを受け、日出実が呆然としていると、乃梨子が首を傾げながら口を開いた。
「あれ? あとさぁ、日出実が穿いているぱんつ、笙子のやつじゃない? そんで、笙子のぱんつが、日出実のでしょう」
「えっ? あ、あれ、本当だ。なんでだろ、荷物整理した時に間違えちゃったのかな」
 声もなく、日出実は真っ赤になる。

『……笙子さんのぱんつ、可愛いですね』
『日出実ちゃんのぱんつだって、とってもかわいいよ。私もそれ、買おうかって思ったし』
『それじゃあ……穿いてみます?』
『え、ちょ、そんな、ぬ、脱がさないで……あ……これが日出実ちゃんの温もり』
『私も、笙子さんの温かさを感じます』
『日出実ちゃん……』
『笙子さん……』
 互いのを交換し、そしてまた抱き合う。
 不思議で何ともいえない感触が、下半身を包み込んでいた。

 

 そんなことを、した記憶がある。
 ギャース!!
「とりあえず着替えて、朝ごはんにしようか」
「そうだね、って、日出実どうかしたの、ムンクの叫びみたいになっているよ」
「うー、ベッドがあわなかったのかな、腰が痛いよう」
「そんなんで今日、大丈夫なの? 今日は春日たちも来るんだよ?」
「大丈夫、大丈夫、そんな深刻な痛みでもないし、なんかすんごいスッキリした気分なんだよね」
「ふーん……日出実?」
「はははははいっ、だ、大丈夫ですっ」
 動揺しまくりつつも着替え始めるが、時間が経つごとに鮮明になって来る夜の出来事。あんなことやこんなことを、笙子としてしまったのだ。
 ちらと笙子を見るも、すぐに赤くなって目をそらしてしまう。
 あと一泊、どんな顔をして笙子と、乃梨子と接すれば良いのか分からない。
「ほら日出実早く、行っちゃうよー」
「え、い、イクっ!?」
「はぁ? 大丈夫、日出実」
「あわわわわっ、な、なんでもないですっ、大丈夫ですっ!」
 おろおろしながらようやく着替えを終え、乃梨子達の後を追う日出実。
 今回の旅行は二泊三日。もう一度、夜が来る。

 果たしてどうなるのか、自分でもよく分からない気持ちを抱えたまま、二日目に飛び出していくのであった。

 

 

おしまい

 

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