マリア様がみてる 百合CP

【マリみてSS(江利子×志摩子)】餌付け

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~ 餌付け ~

 志摩子のことは確かに美しい少女だとは思っていた。だけど、それだけだった。単なる美少女であれば、美しいと思うだけでそれ以上の興味を江利子が示すことはない。お人形みたいに遠くから眺めて愛でれば、それで十分だ。
 ただそれだけに、二人きりとなると何を話したら良いのか困ってしまう。
 今現在、昼休みの真っただ中、薔薇の館でなぜか志摩子と二人きりだった。他のメンバーは色々と用事があったり、都合が悪かったりで、集まらなかったのだ。
 江利子も志摩子も、お喋りというタイプではない。それはまあ、友人や仲間達が集まっていれば、その中でお喋りくらい普通に行うが、自らが場をリードするというほどではない。だから今も、二人は無言でお弁当を食べている。
「……あ」
 箸をのばしかけて、少し躊躇する。苦手なおかずが入っていたからだ。食べられないわけではないが、あまり好きではない。かといって残すのも躊躇われる。とりあえず避けておいて、他のおかずから先に手をつける。江利子は、嫌いなものは後回しにする性格だった。
「あの」
 すると、意外なことに志摩子が話しかけてきた。
「ん、どうかしたの?」
「それ、食べられないのですか?」
「ああ、そんなことないわよ。ただ、好きではないので後回しにしているの」
「嫌いなんですか!?」
 今までより一回り大きな声を出した志摩子にびっくりする。随分と落ち着きもなくなってきているようで、何が志摩子を変えさせたのか分からず江利子は戸惑う。
 江利子が避けたのは、塩胡椒で味付けされた焼き銀杏だった。父親と男兄弟が三人ということで、時々こんなお酒のつまみのようなお弁当のかずが入ってくることがある。銀杏独特の苦みが、江利子は苦手だった。
「嫌いというまではいかないけれど、食べたいとは思わないわね」
 と、顔をしかめながら箸で銀杏を突っつく。
「も、勿体ないですよ」
「えと、何が」
「銀杏は、美味しいですよ」
 言われて、改めて弁当箱の中を見つめる。
 志摩子を見る。
 なんだか、物凄く真剣な表情をしている。どうやら志摩子は、相当に銀杏が好きなようである。普段、ほとんど話すことなどしない江利子に対し、ここまで積極的に、顔色を変えて意思を伝えてくるくらいだから。
 志摩子の表情を見て、江利子の『面白いものセンサー』が反応した。
「そんなに美味しいの? じゃあ志摩子、一つ食べる?」
 箸で銀杏を一つ摘み、志摩子の方に差し向ける。
 志摩子が「え?」という風な顔をして銀杏を見つめる。
 江利子はにっこりと笑顔を浮かべつつ、無言で再度勧める。志摩子は戸惑いながら、銀杏を見つめている。
 葛藤しているような姿を見ると、よほどに銀杏が好きなのだろうか。西洋人形のような容姿をしながら銀杏が好きというのは、ギャップがあってなかなかに面白い。更に言うなら、江利子に「あーん」をさせられそうになって、恥しさと食べたさと両方が複雑に入り混じって悩んでいる姿が、そそられる。
「はい、遠慮せずにどうぞ」
 もじもじとしている志摩子だが、江利子が推してきているということ、さらに食べたいという欲求があるのだろう、少し恥しそうにしながらも、おずおずと小さな口をゆっくりと開いた。目を閉じ、恥じらいながら口をあけておねだりをする美少女の姿に、背徳的なものを感じる。
「志摩子、のせてあげるから舌を出して」
 言うと、わずかに舌を突き出してくる。
 ここに、ウィンナーソーセージやチョコバナナでも差し出して舐めさせ、しゃぶらせたら、どれだけ美しく卑猥な絵になるだろうか。
 実際には、小さな銀杏を一つ、口の中に放り込むだけ。
 志摩子は小さな粒を口の中に取り込んでゆっくり咀嚼して飲み込む。途端に、花が開いたような笑顔が広がる。
「美味しいです、とっても。シンプルですけれど、味付けがとても良いですね」
 ほくほくとした、とても満足そうな笑顔を浮かべる。今まで見たことがないような志摩子の表情で、そこまで美味しいのかと江利子も思い始める。
 かといって、自ら積極的に食べよう、というほどの気にもならない。
 さてどうしようかと考え、妙案を思いつく。
「ねえ志摩子、今度は志摩子が私に食べさせてくれないかしら?」
「――はい?」
「美味しいという志摩子が食べさせてくれたら、なんだか私も美味しく食べられるんじゃないかと思うの」
「え、あの、えっ?」
 思いがけない申し出に、おろおろし始める志摩子。つい先ほど、江利子に食べさせられたのに、自らが食べさせるのはまた異なる恥しさがあるのだろうか。そんな志摩子を見るのも楽しそうだが、とりあえず退路を断つために先に行動する。
 弁当箱を志摩子の方に移動させると、上半身を前に少し倒し、わずかに顔を上向けると、口を開ける。
 箸を手に取り、躊躇いつつも銀杏をつまむ志摩子。江利子は目を閉じることなく、志摩子の挙動を追いかける。見られていることを意識しているのか、志摩子の動きがぎこちなく、一度取り落とし、拾い直す。
「えと、え、江利子さま」
「あーん」
 美少女に食べさせてもらえるというのは、なかなかにおつなものである。その美少女というのも、学園で一、二を争うほどである。
 ゆっくりのびてくる箸先の銀杏。志摩子の目をみつめたまま、受け入れを待つ。見つめられて、志摩子が恥しそうな表情を浮かべて瞳を揺らすが、江利子はそらさずに見続ける。
 箸先の銀杏が口の中に侵入してくる。口をすぼめて銀杏を取り、塩、胡椒の味が口の中に広がっていく
 咀嚼して飲み込む。
「……ど、どうですか?」
「むー、やっぱり苦みが苦手かなぁ」
 顔をしかめる。
 志摩子がどうしてあそこまで美味しそうな顔が出来るのかが不思議だった。
「その苦みが良いのですけれど……むぅ」
 唸る志摩子が、なんだか可愛い。よっぽど銀杏が好きなのであろう、どうすれば美味しく食べさせられるだろうかと悩んでいるようである。
 ここまで銀杏にこだわる志摩子に、ますます興味がわき、同時に今まで感じられなかった志摩子の可愛さが急速に増大していく。
「少し、甘みが増せば私にもあいそうなんだけれど」
「甘み、ですか。でも砂糖で味付けというのもなんだか違う気もしますし、他の少し甘めのおかずと一緒に食べてみるとか」
 顎に指をあて、考える志摩子。
「そうだわ、いいことを考えたわ!」
 パチン、と手を叩き合わせる江利子。
 自分の箸を取り、また銀杏をつまみあげ、志摩子に向ける。
「え、また、ですか?」
 戸惑いつつ、一度食べたからだろう、素直に口を開ける志摩子だが。
「あ、今回はちょっと違うから」
「え?」
「はい、唇ではさんでくれる」
「えと、え?」
「それで、口移しで食べさせてくれるかしら」
「え……え、えっ!?」
 目を見開く志摩子。
「な、なんでですかっ?」
「口づけって、甘いイメージじゃない」
「だ、だからって」
「あと、志摩子の唾って甘そうだし、はい」
 それ以上の問い返す時間を与えず、志摩子の口元に銀杏をつきつける。志摩子は考える間もなく、咄嗟に唇で挟む。
「はい、お願いします」
 待ち受ける。
 志摩子は銀杏を口に挟んだまま、どうすればよいのか困っている。江利子が「ん」と催促するように首を少し突き出すと、ためらいつつも志摩子は立ち上がった。席についたままでは、出来ないからだ。
 ゆっくりとテーブルの横を通り江利子の前まで回ると、座っている江利子を見下ろす。口に銀杏を含んでいるので、声を出すことはできないが、困っているのはよくわかる。本当にするのかという困惑と、そして恥じらい。先ほどより一層、顔が赤くなっている。
 別に、江利子の言うことに従わなくてはならないわけではないが、先輩の言うことだから逆らえないのか、ゆっくりと近づいてくる。
 美少女の恥じらう姿は生唾ものだなぁと、江利子も少しドキドキしながら志摩子が近づいてくるのを見つめる。目を閉じることなく真っ直ぐに見上げているので、逆に志摩子の方が恥しそうに視線をそらす。
 志摩子の両手が江利子の肩に置かれる。ふわふわの髪の毛が首筋に触れる。
 少しずつ大きくなってくる志摩子の顔、志摩子の唾液に濡れて光る銀杏と、桃色の唇。
 触れる。
 柔らかく、しっとりとした感触。同時に口内に押し込まれる銀杏。
「……ど、どうですか?」
 顔を離し、顔を真っ赤にしてもじもじとしながら尋ねてくる志摩子。
「うーん、まだ甘みが足りないかしら?」
「え、そ、そうなんですか」
「だって志摩子、すぐに離れちゃうんだもの。もう一回、お願い」
「うぅぅ、は、はい」
 再度、志摩子に咥えさせて構える。
 先ほどよりはスムーズに、それでも真っ赤な顔をして寄ってくる。直前で目を閉じ、長く綺麗な睫毛が震えるのが視界に入る。
「ん……」
 唇が重なる。
 志摩子の舌が銀杏を押し込んでくる。今回はすぐに離れることなく、じっくりと志摩子の唇を堪能する。更に、求めるように吸うと、志摩子の唾液が流れ込んでくる。
「……ん……志摩子、もっと……」
 離れかける志摩子に呟きかけると、一瞬動きが止まり、再び志摩子は唇をおしつけてきて、志摩子自ら唾を流しこんできた。
「んっ、んっ……」
 口の中に、なんともいえない甘いような味が広がる。気のせいかもしれないが、そう感じるのだ。くちゃくちゃと銀杏を咀嚼し、混ざり合った志摩子の唾液と共に喉に流し込む。
「ふ……ぅ」
「ど、どうでしたか、今度は」
「うん、甘くて、美味しかったと思う。ね……もう一個、くれる?」
「はい……」
 ぽーっとした表情で、今度は志摩子は、箸も使わず指で直接に銀杏をつまみ上げて口の中に含み、江利子の耳の下を指で抑えるようにして、口づける。
「江利子様……口を、開けてください」
 一旦、顔を話した志摩子であったが、江利子の顔に手を添えて上を向かせる。江利子が口を開けると、志摩子は自分の口をくちゅくちゅと音を立てながら動かし、やがて口を尖らせるようにして口先からドロリとした唾液の固まりを出してきた。上から落ちてきた志摩子の唾を、開いた口で受ける。白く泡立った唾液はそれでも終わることなく志摩子の口から流れ、少しそれたのが江利子の口の端から零れ、筋を作って首筋に線を作る。
「あの、まだありますけれど、ど、どういたしましょうか……」
「ええ、全部なくなるまでお願い、志摩子」
「は、はい」
 江利子に訊いてきてはいるが、志摩子とて止める気はないのであろう。ただ、残されている理性といったものが、江利子に請われて行うのだという言い訳、理由を求めているだけだ。その証拠に、江利子が頷く前から銀杏を用意していて、すぐに次を押し付けてきた。先ほどよりも長く、離れる際には微妙に名残惜しそうな顔をしており、そんな表情を江利子に見られていたことに気が付き、恥しそうに俯く。
 ここまで大胆になっていながら、尚、恥じらう志摩子に、江利子の鼓動も高鳴っていく。
「志摩子、立っていると疲れない?」
「え、えと、で、でも」
「ほら、いいから」
 腕を掴んで引っ張ると、それまで立っていた志摩子は、座っていた江利子に向かい合うようにして江利子の太腿の上に腰を下ろした。体勢上、大きく股を開く格好となり、とても美少女のお嬢様が見せる姿ではない。志摩子も羞恥に顔を朱に染め、スカートの裾を手で抑えている。
 リリアンのスカートは長いので下着が見えるような事はないが、それでも少し裾がめくれ上がっているし、真面目な美少女の志摩子が見せる微エロなポーズに興奮する。
「続きは、志摩子? お昼休み、終わっちゃうわよ」
急かすように言うと、志摩子はテーブルに手を伸ばして弁当箱を近くに寄せ、手づかみで銀杏を取り、また口に咥える。
 江利子の脚の上に座ったことで、先ほどまで存在していた高低差がほとんどなくなり、志摩子は真正面から顔を近づけてくる格好になった。必然的に、真正面から抱き合うような形になり、志摩子の胸が江利子の胸に押し付けられる。制服の上から、志摩子の胸に押されてたわむ江利子の胸。同時に、志摩子の胸も形を変える。
「志摩子って、実は巨乳?」
 押し付けられる感触、弾力が物凄いし、それなりの力で押し付けられているはずなのに体の距離があまり近づかない。江利子も実は胸が結構大きいのだが、江利子一人ではここまでなるまい。
「わ、私は、そんなこと……んっ」
 胸の話は恥しいのか、誤魔化すように首を突き出してきて口をふさがれた。今度は後頭部に手をまわされ、がっちりホールドされた状態。脚の上にも乗られていて、江利子としては体の自由を奪われていて志摩子に身を任せるしかない。
「美味しい、ですか?」
「……志摩子も、味わってみる?」
「え……きゃっ、んっ!?」
 唯一自由に動く手を志摩子の頭にまわして自らの方に引き寄せるが、触れる直前で止める。そして。
「味わってみたかったら、どうぞ」
 そう言って口を開いて見せる。口の中には、江利子と志摩子の唾液にまみれてぬらぬらと光る銀杏。粒で残っているわけでなく、江利子に噛まれ、砕かれて、ぐちゃぐちゃになっている状態のものが舌の上に固まりとして残っている。
「え……そ、その」
 意図を悟り、志摩子は答えに困る。
 そもそも、そんな状態にまでなってしまっていたら、もはやもともとの味などなくなってしまっていると思われる。
 それでも江利子は、口を開けて志摩子の決断を待つ。
 江利子は、きっと大丈夫だと思っていた。
 十秒ほど、時間が流れ、やがて。
「え……ええと、そ、それじゃあ、せっかくですから……」
 江利子の予測通り、志摩子は恥じらいながらも小さく頷いた。
 ここまで来ている時点で、おそらく志摩子には拒否する意思などないのだ。
「そ、それでは、失礼します……い、いただきます」
 目を閉じ、口を重ねる。
 江利子が口をすぼめるまでもなく、志摩子の方から啜ってきた。江利子がのばした舌を感じ取り、唇で挟んで砕かれた唾液まみれの銀杏の欠片を吸い取り、舌で掬い取る。わずかでも残すまいとするかのように、思いのほか力強く。
 真面目な美少女としか思っていなかった志摩子が、江利子の口の中にある食べかけの銀杏、お互いの唾液にまみれた残骸のようなものを夢中になって美味しそうに啜っている。紅潮した頬で、うっとりするような表情で。そのことにあり得ないほど興奮する。江利子はずっと、志摩子と唇を重ねている間も目を開けていたのだ。そうでないと、表情や仕草といったもの全てを堪能できないから。
 江利子から受け取るため、志摩子は上位の位置に座しながら、上半身を反らせるようにして無理矢理に顔の位置を江利子より下にしている。そうなると、江利子の胸は志摩子の胸によって持ち上げられるようになる。苦しいが、それ以上に気持ちもよい。
「志摩子……どう?」
「は、はい、今までにない味わいです」
「美味しい?」
「え、ええと」
 まだ恥じらいがあるのか、大胆な振る舞いをしながらも素直に頷かない。
「甘みが少し足りないかしら?」
「えと……あっ。……あ……ん」
 今度は志摩子の方が、餌をおねだりする雛のように口を開けて待ち受ける。
「志摩子、こっちを見て」
「え……あ……」
 言われて目を開くと、途端に目の周りが赤く色づいていく。それでも志摩子は、くちゅくちゅと動く江利子の口元から目を離せない。江利子の薄いピンク色の唇のすぼまりからぬらりと溢れだす唾液は、粘着性を帯びているのか途切れることなくのびてゆき、志摩子の口に吸い込まれていく。
 唾を流し、唾の滝が互いに繋がったまま顔を近づけてゆき、唇を押し付ける。今日だけで何回も堪能した志摩子の唇だが、甘くて、吸いついてきて、とろけるようで、飽きることがない。
 存分に唾液を志摩子の口内に流し込んだところで、口を離す。零れた分を、志摩子の舌が舐めとる。
「どう、だった?」
「はい、とても甘くて、美味しいです……ひゃ、あ、江利子さま?」
 志摩子が変な声をあげたのは、視線を下方に転じたから。
「なんだか志摩子の下半身が窮屈そうだったから」
 唯一自由に動く手で、江利子は志摩子のスカートを少しずつ持ち上げ、膝上まで捲っていた。下着が見えるわけではないが、リリアンのスカートの長さに慣れていると、違和感と羞恥を覚えるであろうくらいの位置。
「あら、志摩子の足って、意外とむちむちしているのね」
「そんな、江利子さま」
「ふふ、でも柔らかくって触り心地はとてもよいわ。私は好きよ」
 言いながら江利子は志摩子のスカートの下に潜り込ませた手で、志摩子の太腿を少し強めに掴むようにして揉む。
「ず、ずるいです、江利子さま」
「んっ……ちゅ」
 応戦するかのように、志摩子が口をふさいでくる。志摩子の口から銀杏が一個、二個と、連続して押し込まれてくる。さらに上半身を揺らすようにしながら胸を押し付けてきて、圧迫感と同時に、こすられる胸に心地よい刺激が走る。
「ふぁっ……あ」
「ん、どうかしたの?」
「いえ、その、銀杏、なくなっちゃいました」
「そう……それじゃあ、終わりね」
 江利子が言うと、志摩子は今初めて自分の体勢に気がついたかのように、慌てて江利子の上から退いてスカートやタイの乱れを直す。江利子は悠然と、曲がったタイを直す。
「早く食べないと、お昼休みが終わっちゃうわね」
「そ、そうですね」
 黙々と、残りのお弁当を食べる二人。志摩子は恥しいのか、ほとんど顔を上げることなく俯いたまま残りを食べ終えた。
 後片付けをして、やがてどちらからともなく立ち上がり教室に戻ろうとする。
「……今日はありがとう、志摩子。おかげでこれから、少し銀杏への苦手意識が取れそう」
「あ、はい、お役に立てたのなら」
「でも、まだ完全にというわけではないから。良かったら、また今度手伝ってくれる?」
「…………わ、私でお役に立つのでしたら」
「もちろん」
 即答すると、志摩子も小さく頷いた。
「あの、江利子さま」
「何?」
「も、もしよろしければ、今度私が銀杏料理をお持ちしようと思うのですが。江利子さまにも銀杏の良さを分かっていただきたいですし、その」
「本当? ありがとう、志摩子さえよければ、是非お願いしたいわ」
「わ、私はもちろん構いません」
 横に立つ志摩子は、恥しそうにじっと斜め下方を見るようにして、江利子に視線を向けてこないが、白い肌はピンク色に染まり雄弁に志摩子の感情を物語っている。
「それじゃあ、お願い……また、ね」
「はい、それでは私、次の授業の準備がありますので、失礼します」
 あくまで江利子の視線を避けるようにお辞儀をして、足早に薔薇の館を出て行く志摩子。その後ろ姿を見ながら、これは思いがけない僥倖が転がり込んできたものだと、江利子は内心で歓喜する。
 つまらないと感じていた志摩子が、まさかこんなにも魅力的だったとは。清純そうに見えて実はかなりの淫靡さを持ち合わせ、理性も残っているから葛藤するが欲望に流されていく、そんなうら若き聖女。
 ぞくぞくした何かが背筋を駆け上る。
 だけど。
「――さて、ひょっとして餌付けをされちゃうのかしら、私?」
 まあ、それならそれでいいかもしれない。
 あんな綺麗で清純そうな下級生の美少女に餌付けされる自分。

 今まで興味がなかった志摩子が、一気に江利子の目に魅力的に映った、そんなある日の昼休みだった。

おしまい

 

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