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【ブックレビュー】神様のいるこの世界で、獣はヒトの夢を見る(著:紺野千昭)

更新日:

【作品情報】
 作品名:神様のいるこの世界で、獣はヒトの夢を見る
 著者:紺野千昭
 ページ数:408
 ジャンル:エンタメ、ファンタジー
 出版社:講談社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 大事なものに気づかせてくれる度 : ★★★★★★☆☆☆☆
 こういう人におススメ! : 手軽に読みたい

■作品について

神の差配により、罪を犯した者は身体の一部が異形化させられてしまう世界。
生まれながらに身体に変異をもつ原罪種として、罪人を捕らえ裁く治安維持組織の職に就く主人公ヨシュアは、みなし子の女の子カナンと共同生活を始める。
しかしこれをきっかけに、ヨシュアは避けがたい運命の波に飲み込まれていく。

数年後、成長したカナンは王政打倒を掲げる革命軍に所属することに。
革命軍を率いる女性ノアとカナンの友情とその蹉跌、そして暴かれる神の真実。
運命に翻弄されながらも真実のために起ち上がった人間たちの戦いは、壮絶なクライマックスへと向かう。

■良かった点

ダークファンタジー。
その世界では、人が罪を犯すとその罪の重さによって体の一部が異形化してしまう。
神は常に人を見ていて、それ故に悪行をおこなうことができない、という。

しかしながら主人公のヨシュアは生まれながらにして身体に変異をもっている。
それは前世で悪行をおこなってきたからだということ。
ヨシュアは人になるため神を信仰し、行動するが・・・
ある日、カナンという少女を助けて共同生活を行うことで、ヨシュアに変化と、抗えない大きな波が訪れる。

影を背負った主人公が、曇りのない子供と接しともに生活することで心境や行動に変化が訪れる。
そういう設定というか物語自体は決して珍しいものではないし、むしろよくあるともいえる。
それでも、カナンの純粋さや可愛らしさには、そりゃあやられちゃうだろう。
もともとヨシュアは陰を背負った主人公とはいえ、決して性格が悪いとか優しくないとか、そういう奴ではないのだから。

物語は二部構成。
最初は、ヨシュアがカナンと出会い、そして別れるまで。

後半は前半より数年が経過し、カナンが成長してからの話。

出自から、否応なく巻き込まれるカナン。
カナンのために身を挺したヨシュア。
カナンを利用しようとする様々なものたち。

王族とはなにか、神とは何か、異形化はなぜ発生するのか。
世界の真実が明かされた後に待っているのは救いなのか、断罪なのか。

色々と重そうだけど、ラノベではあるので読んでいてそこまで重く感じないのは、やはりキャラクターに起因する。
そのノリであったり、関係性であったり。
猫娘のイズリルが可愛い。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

一冊で完結。
この後どうなるかは読者の想像に任せるのだろうけれど、読んでみたくもある。
でも、綺麗に終わっていますからね。

 

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