【作品情報】
作品名:拝啓 交換殺人の候
著者:天祢 涼
ページ数:240
ジャンル:ミステリ―
出版社:実業之日本社
おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
交換殺人度 : ★★★★☆☆☆☆☆☆
こういう人におススメ! : ちょっと風変わりなミステリ―を好む
パワハラのトラウマに苛まれる秀文は、退職から半年が過ぎても社会復帰できずにいることに絶望を感じていた。
首を吊るために朽ち果てた神社の桜の木にのぼると、白い封筒が大きな洞に差し込まれているのを見つける。
〈どうせ死ぬなら殺してみませんか?〉と書かれた手紙は交換殺人の依頼状だった。
手紙を置いたのは白いセーラー服と紺色のスカートを纏った少女だと判明するが……。
奇妙な往復書簡の先に待つ殺人計画の行末は! ?
交換殺人。
ミステリ―ではしばしば出てくるものですが、実際に行われることってあるのでしょうか。
実際には、リスクばかりが高くなりそうですよね。
そんな交換殺人をネタにした一作。
主人公は会社でうけたパワハラが原因で退職し、その後も精神的に問題を抱えて再就職もままならず、絶望して自殺しようとしている男。
首を吊るために向かった朽ち果てた神社の桜の木で見つけた封筒。
そこには、自殺するくらいなら殺人をしないかと、交換殺人をもちかけることが書かれていた。
そこから始まる、交換殺人に向けた往復書簡。
いかに交換殺人を行っていくのか、タイトルからそう考えて読み進んでいくと、異なる展開にアレっと思わされる。
どのように交換殺人をするのかではなく、この手紙の主はなぜ、交換殺人なんかしようと考えているのか。
しかも探ってみると相手はセーラー服を纏った女の子。
主人公は、そんな子が殺人なんかするべきではないと、むしろ手紙に諭すようなことを書くようになり。
女の子の方は、早く主人公に殺人に向かわせるよう手紙を書き。
お互いの思惑が微妙にすれ違いつつ物語は進行していく。
そんな中で分かる、少女が殺人を望む理由。
ミステリ―要素もあるけれど、ミステリーというよりはサスペンス、なのかな。
2時間ものドラマという感じか。
タイトルから想像する嫌な感じの物語展開ではないので、そこはご安心(?)を。
主人公にしても少女にしても、いずれにしても一気に解決することではないのでモヤモヤするかも。
ハッピーエンドではないけれど、バッドエンドでもない。