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ノーマルCP マリア様がみてる 乃梨子

【マリみてSS(乃梨子×祐麒)】夕陽に向かって

投稿日:

~ 夕陽に向かって ~

 

 夜ご飯も食べ終わってリビングでごろごろしている時間帯。今日は菫子さんも仕事が早く終わったようで、一緒に夕食をとった。
 その菫子さんに電話がかかってきたのが、三分ほど前。特に珍しいことでもなかったので、乃梨子はそのままテレビで流れているニュースに耳を傾けながら、足の爪を切っていた。
 ニュースがスポーツコーナーに入ったところで、うろうろと歩きながら電話をしていた菫子さんが、不意に声をかけてきた。
「リコ。あんた、明日って空いている?」
「ん? 別に、特に何も予定はないけれど」
 爪を切りつつ、顔も上げずに答える。
 明日は日曜日。志摩子さんとの約束は来週の日曜日だから、明日は予定も無く暇なのだ。図書館にでもいくか、パソコンでHP作成の続きでもするか、そんなところだろう。
「……うん、ここに丁度いいのが一人いたよ……あー、構わないから使ってあげて。見てくれもそんなに悪くはないし」
 電話で話す声に、なにやら不吉なものを感じた。
 乃梨子は、新聞紙に落ちている切り終った爪をゴミ箱に捨てると、相変わらず立ったまま受話器に向かって話している年上の友人の方へと向かった。
「―――はいはい、それじゃあ、また」
「ちょっと菫子さん。今、何か変な話、していなかった?」
 受話器を置いた菫子さんが、にやりと笑う。この笑みを見ると、ろくなことではないと予想をつける。
「ああ、悪いけれどリコ、ちょいとバイトしてほしいんだけれど」
「バイト? 何の? そもそもリリアンではアルバイト禁止なんだけれど」
「保護者のお手伝いといえば大丈夫だろう。それにバレなきゃ問題ないだろ。どうせ一日だけだし」
 リリアンOGのお嬢様とも思えない発言である。
 というか、なんだ。人の予定を聞くだけ聞いて、人の意思は確認せずに働かせようというのか。
 抗議しようと口を開きかけたところ。
「頼むよ、リコ。世話になっている人が困っているから助けてあげたいんだよ。ね?」
 と、頭を下げられてしまった。
 お世話になっている菫子さんに、こうまでしてお願いをされると無下に断ることは出来ない。
「うーん、仕方ないなあ。今回だけだよ」
 思わず、引き受けてしまった。
 だが乃梨子は、この後に後悔する。引き受ける前に、少なくとも仕事内容についてきちんと確認をとっておくべきだったと。

 

 菫子さんの仕事は、実は謎である。というか、単に乃梨子が知らないだけかもしれないが、とにかく職業不明だ。だから、例えどんな仕事をしていたとしても、あの人だったら不思議ではないと思うが、コレは一体どういうことなのだろうか。
 沢山の人が群がっている。子供や家族連れもいるが、多くは若い男の人で、その中の幾つかの視線が乃梨子にも集まっているのが、肌で感じられる。
 何の罰ゲームだと叫びたかったが、どうにかして堪える。笑顔でいろといわれていたけれど、とてもそんなことは出来ない。せいぜい、不機嫌そうな顔にしないようにするので精一杯である。
 時々、話しかけられたり質問されたりするが、事前に渡されたマニュアル通りに返答するだけで、アドリブも、お愛想もない。仕方が無いではないか、そんな知識もないし、だいいち恥しい。
 乃梨子が今日、お手伝いとしてやってきたのは、とある新作ゲームのイベントのお手伝いだった。裏方だとばかり思っていたのだが、ゲームのキャラクターらしき格好をさせられて、イベントの表舞台に立たされている。どうやらアクション系のゲームらしいのだが、その中のキャラクターの一人、"殺人メイドのリベリア"といって、シックなメイド服を着ていながら凄腕の暗殺者という、訳の分からない役をやらされている。
 裏方の力仕事なら、わざわざ乃梨子に頼んだりしない。本来、このメイド服を着る予定だった女の子がドタキャンで、代わりとなる女の子を捜していて乃梨子にお鉢が回ってきたというわけであった。
 乃梨子はひそやかにため息をついた。
 露出度が少ないのはいいが、こんな姿を知り合いにでも見られたらどうしてくれるのか。キャラクターの設定のため眼鏡(ダテ)をかけているし髪形も変えているが、見る人が見たら分かるだろう。
 もっとも、リリアンに通うような生徒が、こんなゲームのイベントに来るとは思えないけれど……
「―――あの」
「―――ああ、はい」
 声をかけられ、俯いていた顔を慌ててあげる。やけくそだとばかりに、精一杯の笑顔を浮かべながら。
 しかしその一瞬の後、乃梨子の笑顔は凍りついた。
「あ、やっぱり二条さ……っっっ?!」
 先を口に出させぬよう、こっそりと、だけど思いっきり乃梨子は踵で相手の足の甲を踏みつけた。
 ちなみに、なぜか随分とヒールのあるパンプスなので、破壊力はかなりのものだと推測されるが、メイドにして暗殺者というキャラにとって、とても動きやすいとは思えない。
 痛みに声も出せず、立ったまま悶絶している相手を睨みつける。
「な、な、な、なんであなたがここにいるのよっ……?!」
 見られた。よりにもよってこんな姿を見られてしまった。
 恥しさと怒りと情けなさで、乃梨子の顔は急速に赤みを帯びてゆく。
「……ちょっと、こっちに来て下さる?」
 幸い、丁度イベントの休憩時間に入った。急く心を抑えて、乃梨子はあえて丁寧にそう言った。
 乃梨子一人でずっと出ずっぱりなわけではなく、他にも何人かの女の子がゲームキャラクターに扮してイベントに参加している。"二丁拳銃のエレンディア" やら、"破戒シスターのカエラ" やら、"音速舞妓のユウナ" やら、訳の分からないキャラが揃っている。
 彼女達から離れるようにして、イベントを行っている店の影の目立たない場所へと移動して、改めて口を開く。
「な、なんでこんなところにいるんですか、祐麒さん……っ」
 睨み付ける。
 祐麒は、まだ足の痛みに顔をしかめていたけれど、乃梨子の問いには躊躇いなく答えた。
「なんでって言われても、たまたまだけれど。なんかイベントやっているみたいだから、ちょっと覗いて見てみたら二条さんの姿が……」
 そこまで言いかけたところで、祐麒は改めて、乃梨子の足元から頭のてっぺんまでゆっくりと視線を動かしていった。
 何か言ってやりたいが、何を言ったらいいのか思い浮かばず、ただ体を羞恥で熱くしながら両の拳を握り締め、祐麒の視線に耐える乃梨子。
「二条さんの姿が……いや、その、この場合、何をどういえばいいのか」
「どうとでも言えばいいじゃないですか。馬鹿にするなり、笑うなり」
 言葉を濁した祐麒に対し、半ば自嘲気味に乃梨子は言う。
 眼鏡をかけて、髪の毛を両脇で結わいて、メイドの服を着て。こんな格好を見られてしまったのだ、もはやどうにでもしてくれという感じだ。
「バイトしているんでしょう? 笑わないよ、別に。それに……」
「それに、なんなんですか」
 噛み付くような乃梨子。
 怒ってでもいないと、やってられないのだ。
「……いや。その、祐巳たちは知っているのかな、と」
 聞いた瞬間。
 乃梨子は一歩距離を詰めて祐麒の目の前に立つと、祐麒のシャツの襟元をぎゅっと握り、顔を近づけて。
「……もし、祐巳さまに言ったりしたら、許しませんからね」
 低く小さな声で、告げた。
 乃梨子のあまりの迫力に押されたのか、祐麒の方は声も出ず、ただ無言で小さく頷く。嘘をついていないか確かめるように瞳の中を覗き込み、とりあえず解放してあげようかと思ったとき、不意に後ろで黄色い声があがった。
「きゃっ、リコちゃん大胆~っ!」
「バカ、声出すなっつの」
「ほら、気づかれちゃったじゃない」
 そこにいたのは、先ほどのエレンディア、カエラ、ユウナのコスプレをしていた三人。なぜか目をきらきら輝かせて、乃梨子の方を見つめている。
「あ、あの、何か……?」
 とりあえず、振り返り聞いてみると。
「あー、なんでもないの。ごめんね、続きをどうぞ」
 と、これはシスターの格好をした人。
「続きって?」
「だからー、今リコちゃんたち、チューしてたんでしょう?」
 舞妓の格好をした女の人が、嬉しそうに言ってくる。

 ――――――――は?

 束の間、思考が止まる。
 そして乃梨子の優秀な脳みそはすぐに答えをはじき出した。
 彼女達三人は、乃梨子の背後から様子を見ていた。即ち、乃梨子は背中を見せていた格好になる。乃梨子が祐麒に対し、襟元を掴みあげ顔を寄せて脅迫、もとい説得していた姿が、きっと彼女達に三人には乃梨子が背伸びをしてキスをしているように見えたのではないか。薄暗い場所ということもあり、はっきりと見えたわけでもないだろうし、その可能性は高かった。
「ちっ、違いますっ! なん、なんで私が!」
「照れることねーだろ」
 言葉遣いが悪いのは、両手に拳銃(もちろんモデルガン)を持った少女。
「照れとかそういうのじゃなくてっ。凄い勘違いですからっ!」
「えーと」
 後ろにいる祐麒は、まだ状況がよくつかめていないようで、困惑したように突っ立っている。
 なんでこんなに状況把握能力に欠如しているのだ。これでは、一人で赤くなって騒いでいる乃梨子だけが間抜けみたいではないか。
「いいなあ、彼氏が応援に来てくれて、休憩中にこっそり逢引」
「でも、キスはやりすぎじゃね? 一応、まだ仕事中だし」
「あら、恭子ってば意外と硬派なのね。キスくらい良いじゃない」
 三人が乃梨子を肴にして、てんで勝手なことを喋っている。一方で祐麒は、いまだによくわかっていないようで、乃梨子としてみればさっさと理解してほしいような、かといって理解されたらされたで嫌な気もして、間にはさまれる形で一人、持って行き場の無い怒りとも憤りともいえるような心の内を持て余していた。
「……ねえねえ、そこの彼氏」
 話がどうなったのか分からないが、シスターの子が祐麒を指差した。
 他の二人も、同時に祐麒のことを見つめる。
「今日のリコちゃんのメイド姿、どう思う?」
 どうでもいいことを尋ねてきた。
 乃梨子は、余計なことを言うなという意味を込めて、後ろに立っている祐麒の方に半身を向けて睨みつけようとした。
 しかし、その直前。
「……や、似合ってて可愛いなと」
 三人娘の勢いに押されたかのように、さらりと口からそんな言葉が零れた。
 そして直後、振り返った乃梨子と目が合う。祐麒の言葉を聞いて、我知らずのうちに顔が赤くなってゆくのがわかる。
 一方で祐麒の方も、自分の言葉に驚いたのか、それとも恥しくなったのか。手で口元をおさえ、微妙に赤くなる。
 三人娘は、顔を見合わせてにんまりと笑っている。
 だから乃梨子は。

 どうしようもない苛々とした、もやもやとした気持ちを押し出すかのように、思いっきりヒールで祐麒の足を踏みつけたのであった。

 

 夕方になり、イベントもようやく終わった。肉体的にはそれほどでもなかったが、精神的に疲弊した乃梨子はゆっくりとした足取りで表に出た。
 ごく普通の服装に戻り、靴もスニーカーで歩きやすくなった。それにもかかわらず、足は重く感じる。
「……なんで、まだいるんですか」
 全ては、この目の前の人物のせい。
 目を細めて見つめると、祐麒は困った顔をしながら髪の毛をかきまわす。
「いや、絶対に待っていろって、あの娘達から言われちゃって」
「だからって、馬鹿正直に待ちますか」
 乃梨子は目を合わせないようにしてスタスタと歩き、祐麒の目の前を通り過ぎようとした。
 瞬間。
 頬に、ひやりと冷たい感触。
「ひあっ?!」
 悲鳴を上げて飛び上がる。
 バクバクしている心臓をおさえながら、すわなにごとかと首を九十度捻じ曲げてみれば、鼻の先にあるのは水滴の浮かんだ清涼飲料水の缶。
「バイト、お疲れ様」
「……どうも」
 ここで断るのも意地を張っているみたいだったので、素直に受け取り蓋を開けて口をつける。冷たく爽やかな液体が喉を滑り落ちてゆくのが心地よい。疲れ気味の体の中を伝い、染み渡ってゆく感覚。
 相手がどんなに嫌な奴であろうとも、心地よいことにかわりはないし、飲み物に罪は無い。乃梨子は無言で飲み続ける。
「豪快だなぁ」
「……あいにく、リリアンには今年から通い始めた若輩者ですので」
 缶から口を離し、一息。
 よほど喉が渇いていたのか、既に半分以上は飲み干していた。確かに、ちょこちょことお淑やかに口を付けていくお嬢様方に比べたら、遥かに豪快だろう。あの、青信号の由乃だって、小さな口でそれなりに上品に飲むのだ。
 ずいぶんと汗をかいている缶の表面を見つめると、水滴に映る乃梨子の瞳。滴はやがて静かに流れ落ち、アスファルトの上に小さな染みを作る。意味も無く、スニーカーで踏み潰してみる。
「で、コレを渡すためだけに待っていたんですか?」
「そうだなあ……いや」
 どこか、もったいぶるような仕種。どうしてか、見ていると苛々する。
 乃梨子は横目で祐麒の様子を窺いながら、再び缶に口をつける。
「……メイドさんのその後の様子を見に」
「ぶっ!」
 噴いた。
 無様にむせ、汚れた口元を手の甲で拭いながら、祐麒のことを見上げる。
「……言っておきますけれど」
 呪いを込めた声を出し、詰め寄る。
「今日のこと、誰かに話したりしたら、末代まで祟りますよ」
「わ、分かってる、喋らないって。今日のことは、内緒ということで」
「そう、私達二人だけの秘密です」
「二人だけの秘密か……」
「……って、何、繰り返して言ってんですか、恥しい! てゆうか、へ、変な勘違いしないでくださいよ、まったく!」
「いや、してないし。まあ、秘密にするのはいいけど、写真に残しておくくらいはいいでしょう?」
「うん、まあそれくらい……って、写真?!」
「ああ、これ」
 と言って見せられたのは、携帯電話で撮られた写真で、画面には見事に乃梨子のメイド姿が映っていた。
 確かに、あのイベントの最中、色々と写真を撮られていた。最初はどうしようかと思っていたが、次第に気にしても仕方がないと諦めてしまったのだ。それに仮装しているから、ぱっと見では乃梨子だと分からないだろうと、楽観するようにしていた。
 しかしまさか、祐麒が撮っていたとは思わなかった。
「うわ、最悪、変態。ちょっとその画像、消してくださいよっ」
 携帯電話を奪うべく、飛び掛る乃梨子。
「え、写真はいいって言ったじゃん。盗撮ってわけじゃないし、別に、誰にも見せないし」
 慌てて、電話を手にした腕を高く上げる。それをとるべく、更にジャンプする乃梨子。
「あれは間違いっ。ってゆうか気持ち悪いからやだっ!」
「勿体無い、せっかく上手く撮れたのに」
「勿体無くないっ! その写真で、ヘンなことする気でしょ、イヤらしい!」
「んなことしないって!」
「嘘ばっかり!」
「本当だって。なんだよ、何かしてほしいのかっ?」
「そんなわけないでしょっ?!」
 と、つい我を忘れてやりあっていると。
 背後から生温い声が聞こえてきた。
「……うわ~、こんな往来でイチャイチャ、らぶらぶぅ~」
「見せ付けてくれるわね」
「お二人さん、もうちょっと気ぃつかえよな」
 一瞬、誰だか分からなかったが、着替え終えて出てきた三人娘であった。
 そして、今回ばかりは乃梨子も祐麒も、彼女達の言っていることの意味がすぐに分かった。
 何しろ今の二人ときたら、祐麒の携帯電話を取ろうと、あるいは守ろうと揉みあって、まさに抱きついたような格好で密着しているのだから。
「ちょ、ちが、みんな……っ」
 反論しようとするものの。
 乃梨子は祐麒の肩に手を置き、もう片方の手で祐麒の手を握り(実際には手の中の携帯電話を握ろうとしているのだが)、爪先立ちで背伸びをするようにして祐麒に抱きついており。祐麒の手は乃梨子の腰にまわされており。変な体勢でバランスを取ろうとしているから、二人ともすぐに離れることが出来なくて。
 しかも、そのことに気がついたためか二人とも顔を赤くしていて。
 何をどう言ったところで、誰も聞く耳持ってくれなさそうな状況であった。
「リコちゃん、メール頂戴ね。ふふ、続きどうなったか、教えてね~」
「甘みは抑え目でな」
「え、私はベッドシーンまで詳細に聞きたいけれど」
「わ、恥しいけれど、聞きたいかも」
「あの、いやちょっと、あなたたち、ねえ」
 呼びかけるものの、三人は勝手な想像を繰り広げ、黄色い声をあげながら帰っていってしまった。
 残されたのは、抱き合う格好で固まったままの二人。
「……って、い、いつまで抱きしめているつもりですかっ?! どさくさに紛れてっ」
 弾かれたようにとびすさる乃梨子。
「なんだよ、そっちから抱きついてきたんじゃないかっ!」
「お尻、触ったじゃないですか」
「触るかっ! 腰だよ、腰」
 荒い息をして、対峙する二人。
 だが、やがて。
「……不毛だね」
「不毛ですね」
 居心地悪そうに、二人とも目をそらす。
 乃梨子は、祐麒に背を向けた。
「―――帰ります。別に、送ってくださらなくて結構ですから」
 機先を制して言っておく。
 下手に送ってこられて、また誰かに見られでもしたら厄介なことになる。
「二条さん」
 歩き出した背中に、声がかかる。
「まだ、何かあるんですか?」
 振り向きもせずに、言い返す。
 どんな憎まれ口がとんでくるのかと、心の内で身構えていると。
「一つだけ。か、可愛い、って言ったのは、別に嘘でもお世辞でもないから」
「ななな、な、なっ……」
「一応、そんだけだから」
 背を向けたままで良かったと、乃梨子は思った。
 とてもじゃないけれど、今の自分の顔なんて見せられたものじゃない。しかし何で、今になってわざわざ小恥ずかしいことを言ってくるのか。恥しさのあまり、乃梨子の顔にまで熱が集まってくるではないか。
「そ、そ、そんなこと言われても、懐柔なんかされませんから」
「あっ」
 突き放すように言って、乃梨子は駆け出した。

(―――って、なんで私、これじゃあ逃げてるみたいじゃないっ!!)

 頭の中でそう叫びながらも。
 乃梨子の足は止まらない。

 顔が熱く、赤い。

 きっとそれは、正面から射す夕陽のせいだと、乃梨子はまるで怒るかのように自分自身に言い聞かせるのであった。

 

おしまい

 

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