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SF 書評

【ブックレビュー】たったひとつの冴えたやりかた(著:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア)

更新日:

【作品情報】
 作品名:たったひとつの冴えたやりかた
 著者:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
 ページ数:387ページ
 ジャンル:SF
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 ゾンビ度 : ★★★★★★★★★☆
 こういう人におススメ! : 特殊設定下のミステリー好き

 

■作品について

16歳の誕生日、両親からプレゼントされた小型のスペース・クーペを改造して宇宙に旅立った少女・コーティー。
ところが彼女が冷凍睡眠から目覚めると、頭の中に未知のエイリアンが棲みついていた!?
エイリアンと共に宇宙を旅していくコーティーだったが、彼女たちを待ち受けていたものは?

表題作を含めた三編を収録した一冊。

■良かった点

タイトルが良いですよね。
タイトルが気になって手に取りたくなる本の一冊ではないでしょうか。
SFとしては有名で古典に近い部分もあるかもしれないが、文章は読みやすく、すらすらと進めていける。
表題作に関しては少女の頭の中に棲みついたエイリアン、それだけを聞くといやな感じを受けるかもしれない。
しかし、少女とエイリアンの交流は微笑ましく、人と未知の生物の共生を感じさせてくれる。

と思いきや、そう簡単にはいかないのである。
少女につきつけられる現実。
それを知り、少女は何を考え、どう決断するのか。
コーティーが選んだ「たったひとつの冴えたやり方」とは何か?
その結末を読むと、なんとも切なくなるものだ。

本書には表題作を含めて3編が収録されている。
それらは別の物語でありつつ、実はつながっていたりもする。
そういった点を楽しむことも出来る作品。

SFの古典で凄い名作だよ! とか言われて期待して読むと肩透かしを食らうかもしれない。
でも、それはきっと、それまでに培った読書量とか、読んだ本の種類で変わってくると思う。
若い頃にこういう作品を読むと良いんじゃないかなぁ。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

「たったひとつの冴えたやり方」というタイトルはとても良いが、そのやり方については特にどんでん返しがあるわけでもなく、読んでいて想像のつく落ちである。
だからストーリー、展開が素晴らしいというより、その世界観とかが評価されているのではなかろうか。
昔の作品、だというのもあるでしょうけれど。

 

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